表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

【手を繋げば】【夢朧】



 【手を繋げば】


 さあ、手を繋ぎましょうか。

新しい世界の始まりには、新しいふたりが必要でしょう。

 さあ、夢を語りましょうか。

新しい日々の貴女は幸せですか?

貴女が笑うその横で、僕は笑っていますか?

貴女が見つめるその先に、僕はいますか?


 思えば、実に長い遠回りをして来ました。

何しろ、色恋沙汰に乏しいふたりだったので、まるで割物を扱うかのような純愛でした。

傷付ける事を恐れ、踏入る事に迷う。そんなふたりでした。


 僕は所謂、捻くれ者でしたので、参考書通りの言葉からは全く愛を見出だす事が出来ませんでした。

 かと言って、大切に温めて来た言葉程嘘で塗固められたものはありません。

 言葉とは時に、実に頼り無く移ろうものです。


 僕が欲しかったのは、貴女のその体温でした。暖かな指先が僕の荒んだ心を包み、解すのです。

相手の未来を憂うならば成程、傷付ける事が必要でしょう。

相手の心を解すならば成程、相手の全てに踏入る事が必要でしょう。


 良いじゃないですか。

生涯、人は傷付け合う悲しい生き物です。

相手を癒す為に傷付け合うのならば、良いじゃないですか。


 さあ、手を繋ぎましょう。

言葉よりも、文字よりも、私達は感じ合えます。

新しい世界です。全てを超越したふたりで、良いじゃないですか。



 【夢朧】


 瞼に焼付く程、恋焦がれた夢があります。

それは、日常を謳っています。そんなに遠くない、未来の日常です。

 そこでは僕は貴女の夫(或いは彼氏)と成って、貴女の側にいます。

「嗚呼、幸せだ」と僕が呟くと、貴女はまんまるな瞳をパチクリとさせるのです。

「どうしたの、急に」君は言います。

「なんでも無いよ」

そう、なんでもありません。

 僕が欲しかったもの。夢にまで見た、何気ない日常の一コマ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ