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回想
「はっ……はぁ……かはっ…」
どれくらい走ったのだろうか。喉が焼けるように熱い。胸が苦しい。ままならない呼吸に意識が薄れる。樹の根に何度も足をすくわれ、その度に出来た傷が激しく主張してくる。
もう追ってくる足音が聞こえ無くなっていることに気づき、重たい足を止めた。
力が入らず、どさりと地面に倒れこむ。僅かな力を振り絞り、近くの樹にもたれかかった。
辺りを見渡すが自分と樹しか無い。無我夢中に走っている最中で逸れたのだろう。
包み込んでくる静寂が凄まじい疲労感と共に眠りへ誘おうとしてくる。
「…………みんな……何処……だ………よ………」
意識が落ちるなか、俺は数時間前のことを思い返していた。