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魔法使いグラン  作者: グラン
グラン編
5/22

王立ローレンツ・イニーツィオ魔法魔術学校

「いってきます!」


次の日はいつもより早めに家を出た。リアムから渡された紙に書かれてある時間は結構早く、まだ頭がはっきりしていない。

書かれてある住所はここから西に行ったところにあるみたいだ。


「よし! 行くか」


西へ西へと足を進めた。途中で流石に歩きでは遠すぎると気付いた。何よりこのままだと間に合いそうに無いので手段を馬車に変えた。他にも選択はあったが、馬車が一番安いからね。

まだ朝の早い時間だからか、いつもは賑わっている街が驚くほど静かだ。


「うわ、全然人いないな」


いつもはここの街と山くらいしか行かないから、西側は俺からしたらまだ謎多き場所である。


「兄ちゃん、今日試験か?」


「へ?」


手綱を握るおっちゃんが突然尋ねてきた。


「だって兄ちゃんがこれから行くところ魔法学校だろう?」


「うっ、そ、そういう事になるね」


おっちゃん俺の何ともいえない返しに苦笑いをし、それ以上何も聞いてこなかった。


ある程度行くと少なかった人がさらに少なくなったが、代わりに俺と年が近そうな子が増えてきた。


「やっぱ俺学校行くのか?」


「そうだよ。「うおっ!!!」」


いきなり耳元から声がして、驚きのあまり思わず飛び上がった。

あと少しで馬車から落ちて死ぬ所だった。


「おいおいリアムかよ……驚かすなよ……心臓が」


「まさかそんなに驚くとは思わなかった。すまなかったな」


こちらの目をしっかりと見据えて重々しく言った。

その反省ぶりに、見てるこっちの方が辛くなってくる。

まるで俺が虐めてるみたいだ。


「い、いや、そんな畏まって謝らなくても大丈夫だからさ」


「そうか。それは良かった。じゃあ行こう」


もう着いたみたいで、馬車から降りておっちゃんに代金を支払った。



しかし、彼の隣を歩くのは思っていたよりもキツイ。

凄いいろんな人に見られる!! リアムが。

めっちゃ綺麗って言われる!! リアムが。

すれ違う度に二度見される!! リアムが。



やっぱり……凄いな……リアムが。





「なあ、この先に何があんの? さっき馬車で学校って聞いたけど俺学校行くの?」


「それは着いてからのお楽しみだ」


ふうん。お楽しみか……いいね! そういうの大好きだ!


「一つ聞くけど、リアムは俺が今日来るって確信はあったの?」


「いや、全く無かった。だからしばらくは、来てくれるかどうか見るために毎日……半年くらい? ここへ通うつもりだったんだ。そしたら一日目に来たから本当幸運だよ」


「た、大変なことをするつもりだったんだな」


彼の計画に思わず顔が引きつる。いや、計画という程の計画でも無いが……


「あと、何で俺とパーティ組もうと思ったの?」


「一つじゃないな。まあ良いけど。そうだな、父上がパーティを組む相手の写真を下さって、その子達の視察を順番にしていたんだ。そしたら、グランが一番面白そうだったからグランと組む事にした。それだけだ」


なんでもない様に言うけど、よくよく考えると怖い内容だな。


「俺入ってたんだ……意外だな。お前凄い奴だって聞いてたけど、こんな平凡な俺でもその組む候補に入ってたんだな」


「グラン、お前は平凡ではない。少なくとも、俺が見た限りでは魔法の才能はピカイチだ。まあ、それは後から自分でも分かるだろう。さあ、もうすぐ着くぞ」


そう言われて彼が目を向けている方向を向いた。遠くの方に城らしき物が見える。

それは遠くから見てもかなり大きかった。


所々木で隠れて見えないが、さらに進むと徐々にその全貌が明らかになってきた。

汚れが一切ない真っ白な壁。窓には所々ステンドグラス大々的に嵌められていて太陽からの光を反射していた。とにかく大きい!!


もし俺が女だったら、きゃーー王子様がいそう! (ハート)、とか言ってそうだな。

ちょっと想像したけど、あまりの気持ち悪さに吐きそうだ。やめよう。



校門までの距離が地味にある。

近づけば近づくほど生徒で賑わってくる。


「なんとか、辿り着いたな。俺ん家からちょっと遠いな」


「後で魔法陣の呪文を教えて貰えるから以降は楽だよ」


「へー。そりゃどうも」


「では、改めて……ローレンツ魔法学校へようこそ。正式名称は王立ローレンツ・イニーツィオ魔法魔術学校だが、長いからみんなローレンツ魔法学校って省略してる」


じゃじゃーん、なんて言ってるが、顔が笑っていないから全く歓迎されている感じがしないぞ?


「中へ入って登録を行うぞ」


「えっ、ちょっ、俺まだ入るなんて!」


「行くぞ」


有無を言わせない目で俺を引っ張っていくのが怖いです。


「えっ、ちょま……えーー!!!!」




こうして何処と無く昨日より口調が柔らかくなった彼と共に、俺の学校生活は幕を開けようとしていた。

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