96 ガドンガルと酒
ちょっと短いです。先ほどのに載せ忘れたものですので。
エストラ男爵領エストの東に馬車で1時間ほど行った場所にあるエストラ男爵領ハルム村。
ガジール山脈の麓に位置しており、ガジール山脈から流れ出る豊富で綺麗な水を使って美味しいエール酒を少量であるが造っていることで知られた村である。
その村に深夜20人ほどの怪我をしたドワーフが訪れていた。
突然、ガジール山脈のドワーフの集落にアリステーゼ王国のテトリナ子爵の兵士達とサイラス伯爵三男ハインリヒを名乗る男が侵攻したということだった。
アリステーゼ王国テトリナ子爵領は、ガジール山脈の麓にあり、エストラ男爵領の東に位置している。
ドワーフは決して弱い種族ではないが、奇襲だったため、なすすべも無くテトリナ子爵の兵達に倒され、もしくは捕まった。
ガドンガルの活躍により、どうにか逃げ出したドワーフ達は、同じアリステーゼ王国内ではあるのだが、ドワーフの集落に(少しではあるが、)上質のエール酒を売ってくれるエストラ男爵領ハルム村に逃げてきたのだ。
しかし、ハルム村には常駐の兵士はおらず、また、同じアリステーゼ王国の兵士達の行動ということもあり、どのようにすればいいか困惑していた。
そのため、ハルム村の属する領の領主であるエストラ男爵に急ぎ使いを送ったのだ
「急いで領主様にお知らせするのだぞ。」
ハルム村の村長であるグランドムは、困惑した表情で村の若者3人がエストへと馬で向かって行くのを見ていた。
「迷惑を掛けてすまん。」
村長のグランドムの横には、体中に怪我を負いながらも、痛む仕草ひとつ見せずに真っ直ぐに立つドワーフの姿があった。
「気にするな、ガドンガル。我らの仲ではないか。それより、何か必要な物はあるか?」
村長のグランドムは、無理やり笑顔を作り、隣に立つガドンガルに笑いかけた。
「そうだな。それでは、このハルム村の上質のエール酒を貰おうか。」
「・・・こんな時でもドワーフは酒なのだな・・・。」
グランドムは呆れながらも、すぐに村人達にドワーフにエール酒を配るように指示した。
「それは、違うぞ、グランドム。」
ガドンガルは、真面目な顔でグランドムを見上げていた。
「何が違うのだ、ガドンガル。」
「仲間を・・・そして愛する息子を亡くした今だからこそ、酒なのだよ。」
ガドンガルの表情は、どこまでも真剣だった。
これで、一応、2章のプロローグ的な話は終わりです。
次からは、いろんな人物が登場するいつものような話に戻ります。
だいぶストックが無くなりましたので、明日はとりあえず、1話か2話どこかで投稿する予定ですが、それ以降は、いつ投稿できるか未定ですので、申し訳ありません。
たぶん、毎日か1日ごとに1話づつなら、5月までは投稿できると思うのですが、それ以降は、ちょっと仕事が忙しくなるので、かなり投稿と投稿の間があくかもしれません。




