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90 ディートヘルムは笑う。グラハムも笑う。


「ローマン兄貴はこれからどうするんだよ?」



「そうだね・・・。まぁ、国王陛下に王都からの退去を命じられたからには、どこかに行かなくちゃいけないんだろうけどね・・・。まぁ、期限が2週間あるし、考えておくよ。」



「パスカルは?」



「僕・・・どうしたらいいんでしょうか?」



ウルウルした目でディートヘルムを見つめるパスカル。



「お任せください、パスカル様。パスカル様のことは、このエミーリアが、せ、せ、責任を取っていや、責任を持って面倒みさせていただきます。」



「うれしそうだな、エミーリア。」



エミーリアは、ディートヘルムのじとーっとした視線と目を合わす事はしなかった。



「本当、エミーリア?」



「はい、お任せください。」



「ありがとう、エミーリア。大好き。」



パスカルは椅子から立ち上がり、エミーリアに抱きついた。



エミーリアもパスカルをしっかりと受け止める。



「部屋でやれ、部屋で。」



「うん。部屋でやるよ。じゃあね。」



パスカルとエミーリアも会議室をあっさりと出て行った。



「・・・なんというか、意外とさっぱりしてるね。」



ローマンは、呆れたような表情であっさり出て行ったパスカルの背中を見ていた。



「・・・あいつ、ああ見えて、世渡り上手だからね。これから先のこと考えても、本当は特に心配してないんじゃない?」



ディートヘルムも呆れたような表情でパスカルを見送っていたが、「それじゃ、俺も行くわ。兄貴、元気でな。」と言うと会議室を後にした。



「体に気をつけてな。」



ディートヘルムは、ローマンの言葉に振り返らず片手だけ上げて答えた。



ディートヘルムの後ろからは、グラハムが付いて来ていた。



「大丈夫ですか?」



会議室の中にいたグラハムは、当然、会議の内容も聞いていた。それゆえ、ディートヘルムのことを心配しているのだ。



「まあ、何とかなるだろ。・・・それにしても。」



「それにしても何ですか?」



ディートヘルムは立ち止まり、振り返った。



「まさか、モーゼの実を食べられないより悪いことが起こるとは思わなかったな。でも、まぁ、無理やり結婚させられなかっただけマシかな。」



ディートヘルムの顔には笑みが浮かんでいた。



それを聞いたグラハムも、「・・ふっ、ハハハハ。確かにそうですね。」と笑い出し、その後、2人で笑いながら並んで歩いていった。








翌日、第3王子ローマン・ヴィリー・フォン・アリステーゼと第4王子ディートヘルム・イーヴォ・フォン・アリステーゼと第6王子ミヒャエル・ウッツ・フォン・アリステーゼと第7王子パスカル・ラルフ・フォン・アリステーゼの王位継承権の剥奪が発表された。



しかも、発表された紙には、この4名の者は、貴族籍も剥奪され、今後平民として扱うようにという一文が記載されていた。



アリステーゼ王国の歴史上初の事態であった。



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