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ギルド『パンプキン・サーカス』の異世界冒険譚 ~亡国の英雄達 異世界に降臨す~  作者: 蒼樹比呂
第一章 ギルド『パンプキン・サーカス』
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8 『ヒロ』 エストラ男爵領の説明を受ける。



「へえ~、ヒロちゃんは、魔法で飛ばされて来たんだ?」



シーターは、エール1杯ですでに頬を赤く染めていた。



「そうなんですよ。・・ところで、俺、まだ、15歳ですけど、お酒飲んで大丈夫なんですか?」



「えっ、15歳だったら、もう立派な大人だから問題ないよ。」



どうやら、この国では、15歳から大人として認められているらしかった。



そのため、お酒も15歳からということらしい。



この15歳というのは、騎士になるために正式に騎士団に入団するのが15歳からということで、15歳から大人として扱われることになっているという話だった。



「それにしても、本当にヒロちゃんは何にも知らないんだね。」



最初にジュリが、「この子本当に何も知らないから、可愛がってあげてね。」とシーターとアレクシスに説明してくれたおかげで、ヒロは、シーターとアレクシスから(主にシーターだが)いろいろ聞くことができた。



それによると、この国はアリステーゼ王国で、この町エストはアリステーゼ王国の一番北西に位置するということがわかった。



この町エストを治めているのはエストラ男爵で、エストラ男爵領には他にゲラ村とハルム村という村があるそうだ。



エストラ男爵領の北には、広大なクリオラの森が広がっており、その広さはエストラ男爵領の5倍以上もあり、エストラ男爵領の北東には、ガジール山脈がある。



このクリオラの森は、アリステーゼ王国の北西にあるヒルメリア都市連合国とアリステーゼ王国の間に位置する森だが、多くの魔物が存在し、また獣人が部族単位で村を作っていることもあるため、どちらの国にも属さない森として認識されている。



ガジール山脈の反対側にはキワール帝国があるが、ガジール山脈の険しさから、基本的にアリステーゼ王国とキワール帝国の関わりはなかった。



エストラ男爵領を西に真っ直ぐ行くと、クリオラの森を通らずに、ヒルメリア都市連合国に行くことができるので、昔から、エストラ男爵領とエストラ男爵領の西に位置するヒルメリア都市連合国の交易都市グロースは、非常に深い関係だった。



しかし、現在、交易都市グロースの商人達は、エストラ男爵領の町エストではなく、サイラス伯爵領の都市サイラスに直接行くようになったため、エストの町が寂びる原因のひとつにもなっているらしかった。



「まあ、ぶっちゃけ、いつクリオラの森から魔物が来るかわからないエストより都会のサイラスの方がいいって人は多いよね。・・・いくら領主が糞野郎だとしても。」



「サイラスの領主ってそんなに糞野郎なんですか?」



「あれだけサイラスを大きな町にしたんだから商才はあるんだろうけど、このエストの町にしたことを考えればね。」



シーターの話によれば、ここ数年、不作続きだったエストの町が、サイラスに援助を頼んだ時にかなりぼったくられたらしい。



そのため、エストの町は、エストラ男爵所有の財産を大量に売らなければいけなくなり、さらに、その時できた借金のために食料不足にも関わらず、エストラ男爵所有の家畜をすべて売り払うことになって、今の状況が生まれたということがわかった。



「それじゃあ、別の貴族に援助を頼むことはできなかったんですか?」



「アリステーゼ王国の北西部の貴族をまとめているのがサイラス伯爵なんだよね。サイラス伯爵の許しがなければ、北西部の貴族達は助けてくれないよ。」



「そうなんですか・・・。」



「しかも、どうやらサイラス伯爵はこのエストラ男爵領が欲しくて、他の北西部の貴族達にエストラ男爵を助けることを禁じたらしくて・・・。借金が返せないなら、自分の3男に男爵籍を譲れって言ってるそうなの。」



シーターは、怒ったような表情でエールの2杯目をメグに注文した。



「エストラ男爵ってどういう人なんですか?」



「それはもういい子よ。本当にいい子。」



「いい・・子?」



「そう、2年前に父親を亡くして、エストラ男爵領を継いだんだけど、本当に12歳なのによくやってるのよ。」



「12歳ですか?」



「ええ、これがまた、かわいい子なのよ。それに私とアレクシスがヒルメリア都市連合国の貿易都市グロースでちょっと困ったことになっていた時に、たまたまグロースに来ていたあの子が助けてくれて、領主自ら、私達にこのエストに来ないかって誘ってくれたの。分かる、ヒロちゃん!私達、あの子に恩があるの!だから、この町を逃げ出すわけにはいかないでしょ、ヒロちゃん!ちょっと、聞いてるの、ヒロちゃん!」



どうやら、完全にシーターは酔っ払ったらしいとヒロは思ったが、だからと言って、さっき出会ったばかりの人だけにどういう対応をすればいいのか困るところだった。



「そ、そうですね。聞いてますよ、シーターさん。」



「それぐらいにしておけ、シーター。ヒロが困っているだろ。すまないな、ヒロ。ちょっと、シーターは酒癖が悪くてな。」



「いえ、大丈夫です。」



酒癖の悪い人間にあったことのないヒロとしては、全然大丈夫ではなかったが、ここは大人の対応をすべきだと思い、無難な返しをした。



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