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85 ディートヘルムはとことんツイてない


午後2時になり、ディートヘルムは、王城内の自室で待機していた。



ディートヘルムの父親であり、アリステーゼ王国の現国王であるイグナーツに午後3時に呼び出されているからだ。



部屋の中には、ディートヘルムの他に4人の護衛の騎士が四隅に立っていた。



この騎士達は、ディートヘルムのお付きの騎士である。



「入りますよー。」



王子のいる部屋に入ってくるとは思えないほどの気軽さで、グラハムが手に何かを持って入ってきた。



「んっ?何持ってんだ、グラハム?」



王子も王子でグラハムの態度を気にした様子も無く、グラハムが持っている物の方が気になっていた。



「ローマン王子様の差し入れで今が旬のモーゼの実ですよ。」



グラハムが、持っている皿の上には、モーゼの実が綺麗に切り分けられていた。



「ああ、俺も今朝、ルッツの果物屋で食べたが、今年のモーゼの実は本当に出来がいいぞ。」



グラハムは、持っていた皿をディートヘルムが座っていたソファーの前のテーブルに置いた。



「どれ、ルッツの店のとどっちがうまいかな?」



ディートヘルムは、モーゼの実が乗っている皿に手を伸ばそうとするが、グラハムにその手を叩かれた。



「駄目ですよ、ディートヘルム王子。毒見がまだ終わっておりません。」



そう言うと、グラハムは、素手でそのまま皿の上のモーゼの実を一切れ掴んで、口に運んだ。



「んんん・・・これは、確かに美味しいですね。」



グラハムの顔には、美味と浮かんでいるようだった。



「もう、いいだろ?」



「駄目ですよ。遅効性の毒だといけませんから、もうしばらくお待ちください。」



「まったく、俺なんか殺しても誰も得しないから大丈夫だよ。」



ディートヘルムはブツブツと文句を言うが、グラハムは聞く耳を持たなかった。



ゴクッ・・・。



グラハムの食べている様子を見ていた護衛の騎士から、つばを飲む音が聞こえた。



「・・・食べたいのか?」



ディートヘルムが、音のした方に立っていた騎士を見た。



強く頷く騎士。



「・・・はあ、仕方ないな。食べていいぞ。」



ディートヘルムが言うと、ディートヘルムが見ていた騎士だけでなく部屋の隅に立っていた4人の騎士全員が皿群がった。



「ちょ、ちょっと待てよ、お前ら。何で、全員が食べるんだよ?」



ディートヘルムは、文句を言うが、グラハムの「まあ、いいではないですか。」と言う言葉に仕方なく、頷いた。



皿に残っていたのは、たった一切れだった。



「まったく、ローマン兄貴ともあろうものが皿ひとつ分しかくれないから、俺が食べる分が一切れしか残ってねぇー。気が利く兄貴の面目丸つぶれだぜ。」



まったくの八つ当たりでローマンの文句を言いながら、皿に残った一切れを手に取ろうとするが、その一切れをじっと見ている騎士の視線に気付き、ディートヘルムは動きを止めて、騎士の方を見た。



「・・・食べたいのか?」



ディートヘルムの言葉に頷く騎士。



「・・・・・・・はあ、もういいよ。好きに食え。」



「いいのですか?」



グラハムの確認の言葉に「いいよいいよ、どうせ、俺は今日ついてないんだからな。今更、この一切れが食えなくても、今日の俺の運の悪さにかわりはないさ。」と、ソファーの背もたれに深く寄りかかった。



「かしこまりました。おい、持って入ってくれ。」



グラハムが、ドアに向けて大声で声を掛けると、ドアを開け、メイドが二人、モーゼの実を切り分けた物が乗っている皿を2つ持って入ってきた。



ついでに、ディートヘルムの部屋の前に立っていた二人の護衛の騎士も入ってきた。



「ディートヘルム王子が好きに食べていいとおっしゃっている。遠慮せずに食べなさい。」



「えっ?」



ディートヘルムはポカンッとした表情になったが、そんなディートヘルムの表情など気にせずに、騎士達はおろかメイドまでが、モーゼの実を食べ始めた。



「・・・謀ったな、グラハム。」



「さて、何のことでしょう?頂いたモーゼの実が一皿分と言った覚えはありませんが?そもそも、我々は、今日、朝から誰かさんを探すはめになり、大変疲れております。多少、頂いたモーゼの実に手をつけたところで問題はないと思いますが?」



参ったとばかりに、ディートヘルムは苦笑いを浮かべた。



「こうなったら、絶対にモーゼの果樹園を作ってやるからな。」



騎士やメイドがモーゼの実を美味しそうに食べているのを見ながら、ディートヘルムは呟いていた。



登場人物


ディートヘルム・・・アリステーゼ王国王位継承権第4位の第4王子。なぜか呪われているかのようにモーゼの実を食べられない。


グラハム・・・ディートヘルムのお付きの騎士。「グラハム、お前もか!」と言ってもらえる誰かを殺すことを夢見る乙女男子・・・なわけはなく、ディートヘルムのことを心配しすぎるところのある心配性な騎士。だからと言って、BL系ではありません。


ルッツ・・・王都アウグスティンの果物屋。バイア〇ラがどこかに売ってないか探し続ける永遠の旅人って設定にしたら、さすがにこの小説終わってるでしょ?


ディートヘルムの部屋にいる騎士・メイド・・・常にディートヘルムの食べる物に目を光らせている狩人。どうすれば、ディートヘルムが食べている物をくれるか熟知している。ぶっちゃけ、モーゼの実以外ももらいまくってる。


謀ったな、グラハム・・・中世ヨーロッパに実在したアウアウブム・トリトリピューム・フリフリスキスキ13世が最後に言った言葉だったらいいのになぁーなんて。絶対に本当にこんな人がいたのかは調べないでください。時間の無駄です。


モーゼの実・・・桃。とりあえず、桃。とにかく、桃。全部書き直したと思ったら、まだこの投稿した文の中にも前の名前で2個残っていた曲者。絶対、いつか見逃すと思うので、あれ、この顔見たことあるなと思ったら、11109210101001011010101011808830101番までご連絡ください。あの世に繋がればいいなぁーと思って丑三つ時に適当に書いた番号ですので。(注:呪われたり、変なところに繋がっても一切対応致しません。)


*注:深夜のため、また作者の悪いくせが出ておりますので、生暖かい目で見守ってあげてください。泣きますから。しくしくしく・・・。

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