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ギルド『パンプキン・サーカス』の異世界冒険譚 ~亡国の英雄達 異世界に降臨す~  作者: 蒼樹比呂
第一章 ギルド『パンプキン・サーカス』
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69 『ヤマト』 【朗報】パルテ、超いい奴だった。【悲報】サクラ、極々普通の女の子だった。


レッドミラー商会の馬車が、荒野を走っていく。便宜上、馬車と言っているが、この馬車を引いているのは馬ではなかった。



通常は、馬が引くらしいが、今引いているのは地球上でいうとカバのような生き物だった。



名前は、グルームベルと言う。馬ほどスピードは出ないが、馬とは比べ物にならないパワーで重い荷物を運ぶ時にはこのグルームベルと使うそうだ。



しかも、草食で食い溜めができる生き物であり、今走っているような荒野を行く時には重宝するらしかった。



「もうちょっと行くと草原地域に入るから、そうすれば景色もマシになるさ。」



サクラは、荒野が珍しいのか、馬車の窓からパルテの言葉も聞こえない様子で、ずっと外をうれしそうに眺めていた。



「だいぶ、元気が出たみたいだな。」



サクラの隣に腰掛けていたヤマトがサクラの肩を叩いた。



「へっ?あっはい。」



サクラがようやく気づいて、恥ずかしそうに窓の外から馬車の中に視線を戻した。



「ごめんなさい。私、出身が東京なので、こういう自然が珍しくて。」



「そうか。でも、田舎育ちの俺でも荒野は珍しいけどな。」



サクラは、「ご、ごめんなさい。」と顔を真っ赤にして俯いた。



「仲良くなったようで何よりだよ。ところで、知り合いだったのかい?」



「いや、同じ・・大陸から来たってだけだ。」



ヤマトは世界から来たと言うべきか迷ったが、ここは大陸としていた方が説明が楽と考え、同じ大陸と言っておいた。



今、ヤマトが乗っている馬車の中にいるのは、パルテとサクラとヤマトの3人だけだ。



レッドミラー商会の6名は、それぞれ3台の馬車の御者席に2人ずつ座っていた。



Cクラスのパーティー『レギウス護衛団』は、それぞれが馬に乗って馬車3台を囲むように走っていた。



このCクラスのパーティー『レギウス護衛団』は、全員男の4人パーティーだ。



年齢は、30代から20代で、名前の通り、主に商隊の護衛任務を率先して受けているそうだ。



本来、馬車3台の商隊を護衛するには、10人程度の冒険者が護衛につくらしいが、今回出発時に6人の冒険者パーティーとその時になって報酬で揉めてしまい、結局、『レギウス護衛団』だけが護衛につくようになったらしい。



「報酬で揉めたって、そんなことあるのか?」



「普通はないんだけどね。今回はちょっと依頼が急だったもんでね。前もって顔合わせができなかったのさ。こっちの言っていた金額をパーティーごとの金額でなく1人の金額と間違えて受けちまったのさ。」



パルテはやれやれといった仕草で両手を挙げた。



「でも、それは受けた冒険者の問題だから、本来こっちには関係ないはずなんだけどね。最近、冒険者の質も落ちたのかね。」



「そうか。それなら問題があれば、遠慮なく俺に言ってくれ。頭を使う仕事は駄目だが、体を使った仕事は得意・・だと思う。」



「悪いね。この珍しい・・刀だったかね、これを貰った上に仕事を手伝ってもらうなんて。でも、いいのかい。姉・・・いや、誰か探し人がいるんだろ?」



パルテは『弟Mの憂鬱』の悪評というかヤマトがサクラについた嘘に気を使ってくれたらしい。



「ああ、今にでも探しに行きたいが、また当てもなく探して倒れるのはごめんだしな。しばらく、一緒させて貰えると助かるんだが?」



「ああ、こっちは構わないよ。・・・それに他の大陸から飛ばされたんなら、お金も持ってないだろ?この刀分くらいは奢ってやるさ。」



パルテ達には、飛ばされたらしいことを説明していた。



「すまないな。サクラ共々よろしく頼む。」



ヤマトとサクラは頭を深く下げた。



「やめなよ。同じ釜のメシを食べた仲だ。もう、あんた達は私達の家族みたいなもんさ。」



パルテは少し恥ずかしげに笑った。



ヤマトとサクラもパルテに拾われた幸運をかみ締めていた。


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