65 『ヤマト』 『弟Mの憂鬱』登場。
クルワラ共和国はまだ出来て100年の新興国だった。
ヒルメリア都市連合国の交易都市の南、アリステーゼ王国の西に位置している小国である。
国内の鉱山から鉄が取れるため鉄の産出と海に面しているため漁業が主な国内産業であった。
クルワラ共和国とその南に位置するトリワラ王国は、元は同じトリワラ王国だったが、100年前、トリワラ王家のやり方に納得がいかない民衆との戦争によってトリワラ王国より独立をしたのが、今のクルワラ共和国である。
当初は、民衆のための政治を謳い、選挙による大統領の選出を行い政治を進めていたが、今から20年前に軍部の押す一人の大統領が生まれたことにより状況は一変した。
クルワラ共和国第25代大統領ダイン・ゴードナー。
すでに20年間、大統領の椅子に座っていた。
元々、大統領の任期は、4年1期と決まっていたが、軍部の後ろ盾を得ているダイン・ゴードナーは、力ずくで法律を改正していき、また、政敵を次々に粛清し絶大な権力を誇った。
クルワラ共和国は、トリワラ王国の奴隷制に反対して独立したにも関わらず、その思想を捨て奴隷制を取り入れた大統領でもある。
当初は、国の経済のためという言い訳で国民も納得していたが、取り入れたが最後、自らに反抗する民衆を次々奴隷送りにし、恐怖政治を作り上げられてしまった。
そして、国の経済のためにも関わらず、国はどんどん衰退し、周辺国の中では最貧国の中のひとつに成り下がっている。裕福なのは大統領とその身内だけという状況であった。
クルワラ共和国の北東地域の荒野では、1人の男が歩いていた。
男の名は、正木 大和。ギルド『パンプキン・サーカス』の『弟Mの憂鬱』である。
金色に近い茶色の髪、黒い目、身長は175cmくらいであろうか、耳の先が少し尖っており、ハーフエルフということがうかがえた。
ただ、着ている服は、着流しの着物であり、腰には2本の刀を差していた。
また、背中にも5本の刀を紐で一纏めにしたものを担いでいた。
この背中の刀は、『グランベルグ大陸』でPVPにて得た刀である。
ヤマトの『グランベルグ大陸』内での別名は、『刀狩り』もしくは、『死すコン』であった。ちなみに、『死すコン』と呼んでいたのは、『パンプキン・サーカス』の女性メンバーだが。
ヤマトはすでに3日何も食べておらず、飲んでもいない。ただ、ひたすら荒野を姉を捜し求めて歩いていた。
そんなヤマトの足もついに止まり、その場に倒れた。
「・・・あ、姉貴・・・・・・。」
前方に手を伸ばした状態でついにヤマトは力尽きた。
薄れゆく意識の中でヤマトが最後に見たのは、姉の幻影だった・・・。




