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ギルド『パンプキン・サーカス』の異世界冒険譚 ~亡国の英雄達 異世界に降臨す~  作者: 蒼樹比呂
第一章 ギルド『パンプキン・サーカス』
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63 『アオイ』 『科学者Mの憂鬱』登場。


「・・・まったく・・・ヤマトは・・・どこに行ったの・・・かしら?」



現在、正木マサキ アオイは、クリオラの森を北南に抜ける石畳の道を歩いていた。



石畳は、結構広く、日本の道路でいうと2車線分はありそうだった。



ただ、所々から草が結構長く生えていることもあり、あまり使われている様子はなかった。



アオイは『グランベルグ大陸』のギルド『パンプキン・サーカス』のメンバーの1人『科学者Mの憂鬱』だった。



身長は155cm程度しかなく、よく子供に間違われたが、すでに24歳であった。



子供に間違われる理由は、その幼児体形にあったのかもしれないが。



髪は金色に近い茶色で胸辺りまであり、目はクリッとしており、眼鏡をかけていた。



服は、森の中にも関わらず、白衣を着ていた。



そして両手で辞書のような厚い本を抱えていた。



この本は、『グランベルグ大陸』内の神級アイテムである『神々の記憶』であった。



『グランベルグ大陸』内のすべての魔法が記載されており、使用できる(条件あり)というチートアイテムであったが、アオイはその能力ではなく、もうひとつの能力の方を愛用していた。



この『神々の記憶』は、『グランベルグ大陸』内で行われた実験結果がすべて記載されているのだ。



自分の職業を『調合師』と思っているアオイにしたら、喉から手が出るほど欲しいアイテムだった。



そのため、このアイテムを『パンプキン・サーカス』が手に入れた時、強行に権利を主張した・・・自らは、そのアイテムを手に入れるための作戦にまったく参加していなかったにも関わらずだ。



しかし、他にそこまでこのアイテムを欲しがった人がいなかったこともあり、どうにか認めてもらえたのだ。それ以来、常にこのアイテムを手で持って行動していた。



ちなみにアオイは現実では、大学を卒業後、1年間はある研究所に勤めていたが、1年で退職し、現在は無職だ。



幸い両親が高給取りのため、ゆっくりと次の仕事先を探しているところだった。



その間に、弟であるヤマトのやっていた『グランベルグ大陸』にはまり、現在に至るであった。



空に映った魔法陣でどこかに飛ばされたことは理解していたが、それがどこかがアオイにはいまいちはっきりしなかった。



現実と変わらない光景から、もしかしたら、ここは現実かもとは思っていたが、それほどゲームに詳しくないアオイからしたら、もう少し情報が欲しいところだった。



「おい、それ以上、この道を進むな。」



アオイの前にウサギの耳をつけた男が森から飛び出してきた。



耳の色は黒、髪も黒、肌は、やや薄いこげ茶色ぽく、身長は175cmくらい(耳をのけてだが)だった。



着ている服は、何かの皮鎧のようなものを着けていた。



顔は、人の顔をしているため、コスプレかなとも思ったが、どう見ても、耳が直接頭から生えていた。



そういえば、『グランベルグ大陸』の種族にラビットマンという種族がいたと思い出したが、ギルド内にラビットマンがいなかったため、その姿が実際はどうだったかはっきりとは思い出せない。



「・・・えっと、・・・どなたですか?」



首を傾げながら、アオイはゆっくりとしゃべった。



アオイは、元々、かなりゆっくりとした話し方なのだ。



「黒ウサギ族のトーレだ。」



「・・・これは、これは・・・私は・・・アオイです。」



アオイはゆっくりとお辞儀をした。



「この先は、現在精霊が暴れているんだ。急いで引き返せ。」



「・・・精霊?」



「そうだ。死にたくなければ引き返せ。」



アオイは、ブツブツと独り言を言っていると思ったら、黒ウサギ族のトーレに引き返せと言われているにも関わらず、トーレを避けて、そのまま前に歩き出した。



「おい、何故、進むんだ!」



トーレは、アオイの肩を掴んだ。



「えっ・・・あの・・・精霊・・・見たい・・・です。」



「・・・俺の言葉を聞いてなかったのか?」



「いえ・・・聞いて・・・ました・・・です。」



「だったら、何故、前に進む?」



「・・・私が・・・死ぬのと・・・私の好奇心を・・・秤にかけたら・・・好奇心が・・・勝りました・・・です。」



トーレは呆れた顔でアオイを見ていた。というか、こいつ何言ってるんだ?という思いが顔に出ていた。



「それでは。」と言うと再びアオイは歩き始めた。



「チッ。」とトーレは言うと、アオイを無理やりお姫様だっこにすると森の中へと飛び込み逃げ出した。



アオイの進もうとしていた先から、顔と体は美しい女性で足は蛇のような全体が水で出来た生き物が近づいて来たからだ。



これが、このクリオラの森の精霊の姿だった。



「あっ・・・あれが・・・精霊?」



トーレにお姫様だっこをされたまま、アオイが呟いた。



「そうだ。あれが精霊だ。悪いが、集落に連れて行くぞ。」



トーレは、そう言うと、まるで森の中を飛ぶように走った。



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