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ギルド『パンプキン・サーカス』の異世界冒険譚 ~亡国の英雄達 異世界に降臨す~  作者: 蒼樹比呂
第一章 ギルド『パンプキン・サーカス』
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62 クリオラの森の六種族


クリオラの森では、異常事態が発生していた。



何者かが、クリオラの森中心部にある湖の畔に生息する妖精を誘拐もしくは殺害したという情報が、クリオラの森に住む獣人達に広まっていた。



クリオラの森は、エストラ男爵領の北に位置する広大な森であり、真ん中に湖がある。



湖には、クリオラの森の東に位置するガジール山脈を水源とする川が流れ込んでおり、湖の西へと流れ出し、その川は交易都市グロースの北の海へと流れていた。



クリオラの森は、川と湖によって北と南に分断され、さらに古代に使用したと思われる石畳の道が、クリオラの森の真ん中を北から南に抜けていたため、その道によって東西に分けられている。



この古代に作られたと言われている石畳は不思議な構造をしており、魔物はこの石畳を越えて反対側に行くことはできない。



獣人達が集落を作っているのは、クリオラの森の西部分であり、それは石畳によって別けられた東部分は、魔物の強さが西部分よりも格段に強いため、獣人では住めないということも関係していた。



クリオラの森の西部分に集落を作っている獣人は、狼族、黒ウサギ族、白ウサギ族、ねずみ族、猫族、獅子族の6種類である。



黒ウサギ族と白ウサギ族は、同じウサギ族ではあるが、クリオラの森では、昔にいざこざがあって以来、別々に集落を作っている。。



温和な白ウサギ族、血の気が多い黒ウサギ族で考え方が合わないということが根本的な理由らしかった。



その6種族の代表が、今、狼族の集落に集まっていた。



問題は、クリオラの森の湖の精霊による攻撃をねずみ族が受けて、多くの犠牲者を出してしまったことだ。



今までは、精霊が怒ることがあっても、精霊は基本的に湖を離れることはなく、湖に近づいて来た者を攻撃するだけで済んでいたのだが、今回は、初めて精霊が湖を離れて、湖に一番近い場所に集落を作っていたねずみ族を襲ったのだ。



ねずみ族は、身長が1m程度しかない種族である。



獣人の中では、頭が良く、非常に勤勉で手先が器用な種族として有名である。



そのため、獣人の集落の家を作る時は、ねずみ族に頼むのが普通であった。



森の外に出ているねずみ族も大工家業をして生計を立てている者が多くいた。



ただ、身長が低い分、戦闘能力は低く、精霊の攻撃を受けた時、300人いた集落の人数が100人に減ってしまっていた。



今、ねずみ族は狼族の集落に身を寄せていた。



精霊をどうするのかという議題に対して、このクリオラの森に来たのが一番遅い獅子族は、交戦を主張し、クリオラの森に来たのが一番早い狼族は、精霊を崇めていることもあり精霊が静まるまでクリオラの森を出てはどうかと主張した。



このクリオラの森に来た時期の違いは、元々獣人はこのクリオラの森には生息してなく、別の地域から来たからだった。



この世界のほとんどの獣人の由来は、クリオラの森の南に位置するアリステーゼ王国の東のシャナール聖王国のさらに東の大森林地帯と呼ばれる地域だった。



この大森林地帯には、今、獣人の王国があり、その王国と揉めた者達がクリオラの森に移住して出来た集落がほとんどなのだ。



最近では5年前に獣人の王国の現在の王座にある獅子族の王と揉めた同じ獅子族の者が30人程度、このクリオラの森へとやってきた。



そのため、クリオラの森の獅子族は、精霊に対して何の感情も抱いていなかった。



逆に、狼族は、もう300年も前にこの地へと来たので、獅子族と精霊に対しての思いが違うのは当然といえば当然だった。



「だから、何度言えばわかるのだ、狼族の族長ガジュよ。精霊は、我らが獣人の仲間を手にかけたのだ。精霊滅ぼすべきと言う意見が何故おかしい。」



立派なたてがみを持ち、ライオンを二足歩行にした容姿をしていた。



身長は2mあり、獣人の中でも獅子族は最も力の強い部族として知られている。



名は、ギ・ガ・ゾルド。現在、大森林地帯の獣人の国を治めている国王の実弟であった。



5年前に兄である現在の獣人の王に破れ、このクリオラの森に30人程度の少人数で流れてきたのだ。



ちなみに、獣人には、体全体が獣のような者もいれば、体の一部分だけが獣のような者もいる。



これは、体全体が獣のような者が偉いとかいうことはなく、体の一部分だけが獣のような者でも強ければ、獣人の上位に立つことが出来た。



獣人は強さに基本的な価値を置く種族なのだ。



他の部族と子供を成した場合には、両方の特徴と引き継ぐものもいれば、片方の特徴を引き継ぐものもいるらしい。



そのため、人間と獣人の子にも関わらず、見た目がまったくの人間だったり、逆に見た目が獣そのものだったりする場合があるそうだ。



「落ち着け、獅子族の族長、ギよ。精霊は我らより先にこの地に住まうのだ。我らが精霊の地に住まわしてもらっておるのだから、精霊が邪魔だからと言って、精霊を害すのはおかしかろう。我らがこの森を出て行けばいいのだ。」



狼族の族長ガジュは、見た目が狼を二足歩行にした容姿をしていた。



身長は180cm。現在、ミサキと行動を共にしているハイドの実兄である。



性格は、ハイドよりも真面目で温厚だった。



「まったく、これだから臆病者の狼族は役に立たんのよ。おい、お前らは、どうだ?我と行動を共にせぬか?」



ギがその他の族長達をみるが、誰もギの意見に賛同する者はいなかった。



「チッ、所詮、臆病者共の子孫ということか!」



獅子族の族長ギは、捨て台詞を吐き、会議の場を後にした。



「まったく、獅子族の血の気の多さにも困ったものよ。」



狼族の族長ガジュは疲れた表情をしていた。



「すまぬが、これ以上被害が出ぬように、黒ウサギ族と白ウサギ族には精霊を見張ると共に間違って誰も湖に近づかぬように湖周辺を監視してもらってもよいか?」



黒ウサギ族と白ウサギ族の族長は、狼族族長ガジュの言葉に無言のまま頷いた。



ウサギ族は、獣人の中でも見張りや監視が得意な種族なのだ。



「ねずみ族には済まぬと思うが、どうか短気は起こさぬようにしてくれると助かる。」



「我らねずみ族は、獣人の中でも智を重んじる種族。今回のことは残念だが、愚かな行動に出るものはおらぬよ。」



ねずみ族の族長の言葉を聞き、狼族族長のガジュは会議の終了を告げた。


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