54 『エルダ』 エルダ、激怒!ラインベルトの浮気相手登場!唸る、エルダのロケットパンチ!今、エストラ男爵領で最高潮を迎える物語!あなたはついてこられるか?・・・という夢を見た。
「ラインベルト様、アレクシスとシーターが尋ねて来ております。」
ルーベル爺が、ラインベルトの執務室に入ると顔を真っ赤にしたラインベルトと口からヨダレが零れ落ちそうになっているエルダがいた。
「・・・少し待つように伝えましょうか?」
エルダが執務室の椅子に座り、その上にラインベルトが座っている。
ルーベル爺は、そのような執務室にあるまじき光景であっても、まったく気にすることなく平静を装っていた。
できれば、エルダには、もうちょっと謹みというか常識をわきまえて欲しいのだが、今更エルダに言っても無駄ということも理解していたからだ。
「ル、ルーベル爺、これは違うんだよ。エルダが、護衛をするには、この格好が守りやすいというから、しょうがなくというか、無理やり力ずくというかゴニョゴニョ。」
「わかっております、ラインベルト様。それで、どうされますか?」
「行くよ、すぐ行く。」
ラインベルトは、エルダの上からおり、急いで部屋を出て行った。エルダもその後に続く。
「大応接室でございます。」
ルーベル爺はそんな2人の姿を見ながら、ひとつため息をついて先に行ったラインベルトに追いつけるように歩き出した。
ラインベルトとエルダが大応接室に入ると、すぐにシーターが、「あ、ラインちゃん、久しぶりー。」と笑顔でハグしてきた。
「あ、お久しぶりです。」
ラインベルトもハグし返すが、その様子を見ていたアレクシスの目の前には鬼の形相でそんな2人を見ているエルダがいた。
なにかまずいと感じたアレクシスが、すぐにシーターをラインベルトから引き離した。
「何よ、アレクシス。」
状況の分からないシーターは不満そうな顔でアレクシスを見るが、ラインベルトは、背中越しに感じる凍てつくような冷たい空気を感じて、少し振り返ったが、一瞬だけ見たエルダの表情に焦り、すぐに前を見てエルダの顔を見ないようにした。
「う、うしろの女性は、どなたですか、ラインベルト様?」
アレクシスがどうにか声を絞り出す。
その時点でシーターはエルダの顔に気付き、まずいとばかりにアレクシスの背中へと隠れた。
「こ、こちらは、つい最近、僕の騎士になったエルダです。エ、エルダ、こちらは、アレクシスとシーター。挨拶をして・・・くれないかな?」
エルダは、一歩、二歩と歩みを進めるが、通常の挨拶を交わす距離とは到底思えないほど近くで止まり、「どうも、ラインベルトの唯一無二の騎士、エルダだ。」と、どこのヤンキーだとばかりにアレクシスの眼前まで近づき挨拶をした。
「アレクシスだ・・・こっちはシーター。」
「シーター・・・覚えておこう。」
「あ、そ、そうだ。アレクシスとシーターは、まだ結婚しないのですか?」
ラインベルトの言葉に、アレクシスの後ろに隠れているシーターが、「えっ、いや、私達はそんな関係じゃないっていうか、まだっていうか、もう、嫌だな、ラインちゃん。」と明らかに照れはじめた。
それを見ていたエルダの表情が180度変化した。満面の笑みである。
「そうか。そうだったのか。これは、申し訳ない。私としたことが、てっきり、ラインベルトに言い寄るハエかと思い、つい警戒してしまった。そうか。結婚か。」
バシバシと尋常でない力でアレクシスの肩を叩き笑うエルダ。
アレクシスは、否定をしようかとも思ったが、その力の強さに下手に言い訳しない方がよいと思い、黙って微妙な笑いを浮かべた。
「それで、その後ろの方達は?」
ラインベルトは、アレクシスの後ろに立っているレキエラ達を見た。
「そのことですが、ちょっと長くなりますのでソファーに座って話してもよろしいですか?」
アレクシスに言われ、ラインベルトとエルダとアレクシスとシーターとレキエラと後から入ってきたルーベルトは、ソファーに座った。
レキエラの元部下達は立ったままだった。




