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ギルド『パンプキン・サーカス』の異世界冒険譚 ~亡国の英雄達 異世界に降臨す~  作者: 蒼樹比呂
第一章 ギルド『パンプキン・サーカス』
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47 『ミサキ』 ハイド、第六感に目覚める。誰も俺を止められないぜ。(さすがハイドさん。気持ち悪ーい。)



「おいしいにゃー、おいしいにゃー。」



ミサキとハイドとニーナは、晩餐のあった部屋で改めて料理に舌鼓をうっていた。



部屋は、前と同じようにスライムで綺麗にした後である。



ミサキの後ろには、ドルトが執事らしく立っていた。



「それにしても、ミサキはポイズンスライム飲んでなかったんだろ?毒はどうしたんだよ?」



「私、毒耐性持ちだから、毒は効かない。」



「ああ、たまにそういう奴がいるとは聞いた事があるが、お前がそうなのか。」



こいつ、毒も効かないとなると無敵なんじゃね?という疑問がハイドの頭に浮かぶが、世の中には予想もつかない怪物がいるというのは傭兵時代の経験で知ってはいたので口に出すことはなかった。



「うれしそうね、ニーナ。」



ミサキは、笑顔で美味しそうに食事を頬張るニーナを眺めていた。



「おいしいにゃ、うれしいにゃ、幸せだにゃ。」



ニーナは今にも天に召しかねない笑顔である。



「そんなニーナに、もう一つうれしいお知らせがあります。」



「な、な、何かにゃ?これ以上の幸せがあるのかにゃ?」



「そうです。今度からニーナの家はこの部屋になります。わーパチパチパチ。」



1人で盛り上げ、手を叩くミサキ。



「本当かにゃ?にゃーの家がここになるのかにゃ。」



「ええ、そうよ。」



「信じられないにゃー。うれしいにゃー。幸せにゃー。」



ニーナは、うれしさのあまり、ナイフとフォークを手に持ったまま、あたりを駆け回る。



「・・・この部屋、さっき人が死んだばかりだけどな。」



ボソッとハイドが呟く。



「にゃ!・・・そう言えば・・・・。」



ニーナの足が止まった。そして、ゆっくりとミサキの方へと目を向けた。



「えー、ニーナ喜んでたじゃん。駄目だよ。もう決定。一度決まったことはぜったーい。反論は認めません。」



「お願いにゃー。どんな部屋でも文句いわにゃいから、この部屋だけは勘弁にゃー。ミサキお姉様、お願いにゃー。」



ニーナは、涙を流しながら、ミサキに抱きついた。



「そうね。そこまで言うなら考えなくもないけど・・・。」



ミサキは、両手をワサワサと動かした。



「し、仕方がないにゃ。お父さん、お母さん、にゃーは今日、新しい扉を開くにゃ。許して欲しいにゃ。」



「・・・これだけ部屋が多いんだから、勝手にどこの部屋でも使えばいいじゃねぇーか。」



ハイドの目が呆れていた。



「ちょっと、ハイド、余計な口出しはやめて。」



すでにニーナは自分の椅子に戻っていた。



「そう言えば、そうにゃ。勝手に使うにゃ。」



「ああ、なんてこと。ニーナに反抗期が来てしまった。ハイド、やっぱり、ドルトに殺すように命令しておけばよかった。」



ミサキの冷たい視線を無視するハイド。



「やっぱり、そういうことか・・・手を抜いてたんだな。」



ハイドが、ミサキの後ろに立つドルトを睨んだ。



「いえ、手を抜ける命令ではございませんでしたので、手は抜いておりません。ミサキ様からの命令は、ハイド様をパンツ一丁にすると共に、少し肌も傷つけろというものでしたので。残念ながら、命令は失敗に終わりました。」



ドルトは、本気で落ち込んでいるようだった。



「・・・命令が微妙なんだが、ミサキ、もしかして朝のことまだ怒ってたのか?」



「それは違う、ハイド。お前は間違っている。」



「何が、間違っているんだ?」



「お前は、いつから私に許されたと勘違いしていた。キラーン。」



ミサキは、右手を広げ、顔の前に持ってきてポーズを決めていた。



「カッコいいにゃ、ミサキお姉様。」



ニーナもミサキのマネをして同じポーズをしていた。



「それにしても俺もまだまだだな。」



ハイドは、頭をかきながら、苦笑いを浮かべた。



「まだまだどころか全然だろ、ハイド。お前は、片目がとか何とか言っていたが、その片目が見えないハイドが、両目をつぶったドルトにいいようにやられるとか。ありえないんですけどー。まじでー。なにそれ、超うけるー。プークスクス。」



ミサキの言葉には、相手への気遣いなど皆無だった。



「・・・・だな。」



ハイドは、現実にあったことだけに言い返せなかった。



「と言うわけで、ハイドさんには、明日からドルトの下について、特訓をしてもらいます。」



「特訓?」



「はい、そうです。ドルトのあの技は、元々、獣人の方が適しているらしいので、ハイドさんには、ぴったり。特に、毎夜毎夜、女性のお尻を追い掛け回している野性味溢れるハイドさんにはね。」



「お前は、どこまで俺の評判を下げれば気が済むんだってーの。」



「地の底まで。」



「・・・。」



「・・・。」



いつものように見つめ合う二人。いつものように愛は含まれないし、生まれない。



「ただし、ドルトは毎日怠惰に過ごしているハイドとは違い、これからしばらく大忙しですので、ドルトの暇を見ながらハイドが発情期の猿から人間になれるように頑張ってもらいます。」



「・・・怠惰に過ごしていたのはお前じゃね?」



「・・・食っちゃ寝を繰り返していたのは、ミサキお姉様にゃ・・・。」



「ニーナ、明日の食事抜き。」



「にゃー、何でにゃーだけ!酷いにゃー!」



再び、ミサキは、両手をワサワサと動かすと、ニーナはミサキから目を逸らした。



「まぁーしょうがねぇーな。それに・・・強くなれるなら、望むところだ。」



「うんうん。いい心がけだぞ、ハイドくん。」



ミサキは首を大きく何度も縦に振った。



「・・・・お前は俺の何なんだよ。・・・それよりも、ドルト、その首の傷、こいつにやられたのか?」



「・・・ええ、そうです。3時ごろ尋ねて来られまして・・・三撃持ちませんでした。」



少し悔しそうなドルト。



「まったくミサキは何をしているのかと思ったら・・・それから都市長を連れてきて、衛兵にも話を通したのか?」



「うん。」



「都市長はどうやって連れてきたんだよ?」



「聞きたい?聞きたい?本当に聞きたいの?」



グイグイとハイドに顔を近づけるミサキ。



「いや、いい。どうせ、脅迫か誘拐だろ。」



「ハイド、超エスパー。」



わざとらしく驚愕の表情を浮かべたミサキ。



「にしても、らしくねぇーな、ミサキ。お前なら、こんな手間かけなくて皆殺しで終了とかしそうなのに。」



「う~ん。最初は、そうしようかなって思ってたんだけどさ。」



ミサキが、ドルトの方を見た。



「なんでしょうか?」



「いや、ドルトがくれたお菓子美味しかった。ありがとね。」



ミサキは、含みのまったくない笑顔をドルトへと向けた。



「あっ、いえ。もしよろしければ、まだございますので。」



「わかったにゃ。」



ニーナ、関係ないのに即答。



「お前じゃねぇーよ、ニーナ。」



(それにしても、お菓子を貰ったからドルトが死ななくて済むようにこんな手間がかかることをしたなんて・・・未だにミサキはわからねぇーや。)



ハイドは、ただただ、苦笑いを浮かべるしかなかった。


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