43 『ミサキ』 あるドアの悲劇。いや、美少女の蹴りで飛ばされるなら本望か。
6時前には、ニーナの家には、ミサキ、ハイド、ニーナとかぼちゃのかぶりものをした人物が揃っていた。
ちなみに、ニーナの家のドアは、さすがに大商会『ガルバチョ商会』というべきか、すでに高級そうな新しいドアが取り付けられていた。
「新しいドアにゃー。綺麗にゃー。カッコいいにゃー。」
ニーナは、よほど新しいドアが気に入ったのか、ドアにスリスリしながら満足げな表情を浮かべていた。
ハイドは、バラック小屋というべきニーナの家に死ぬほど似合っていないドアという感想しか持てなかったが、本人が気に入っているなら、まあいいかと放っておいた。
先ほどから、ニーナの家の前を通る人の押し殺した笑い声が家の中まで聞こえてきているのだが、ニーナ本人は気にならないらしい。
「で、ミサキ、こいつ誰だ?」
ハイドは、かぼちゃのかぶりものをかぶった人物を指差すが、「それは秘密。」と教えてもらえなかった。
「ボクも連れて行ってもらえるのだろうな?晩餐と聞いたからには行かなくては、妖精の名折れ。絶対についていくぞ。」
虫かごの中では、ミルミルが、当然の表情で立っている。
「しょうがないから連れて行ってあげるけど、余計なことはしないで。」
「よかったにゃ。ミルミルも一緒に行けるにゃ。」
ニーナは、ドアから離れ、ミルミルの入った虫かごを持った。
「みんな、口をあけて。」
ミサキの言葉に疑問に思いながらも、全員口をあけた。
ミサキは、ミルミル以外の口の中に飴ぐらいの大きさの塊を入れていった。
「何だ、こりゃ?グッ、勝手に喉の奥に入っていきやがったぞ。何、飲ませやがった、ミサキ。」
「味はしないにゃ?」
「・・・・グッ。」
3人がそれぞれ不快そうな声を上げたが、ミサキは「一応ね。」というと、疑問には答えなかった。
「ボクにも寄越せ、ミサキ。」
ミルミルの言葉は当然無視するミサキ。
その時、ドアの外に馬車が止まったような音がした。
コンッコンッコンッ
「お迎えに上がりました。」
ミサキは立ち上がり、ドアを思いっきり蹴飛ばして外に出る。
ドアは、ミサキの蹴りによって吹っ飛び、外に止めてあった馬車にぶつかった。
「あら、悪趣味なドアの立て付けが悪かったみたいね。」
「にゃあーーーーーー。」
悲しそうに吹っ飛んだドアを見つめるニーナ。その目から一筋の涙が溢れている。
「ご愁傷様。」
ハイドはニーナを哀れに思いながら、ニーナの横を通り過ぎて家を出た。
「ニーナ、もうここに戻ってくることはないのだから、別に悪趣味なドアがどうなろうといいでしょ?」
それだけ言うとミサキは、馬車に乗り込んだ。
「どういうことにゃ?」
ニーナはハイドを見るが、ハイドも「さあ?」と手を広げながら、馬車に乗り込んだ。
そして、残りの2人が馬車に乗り込んで、ミサキ達はドンゴ・ガバルチョの待つ屋敷へと向かって行った。




