40 『ミサキ』 ドアを壊した犯人はお前だ!(冤罪確定)
「にゃーの家のドアが・・・・・。」
呆然と破壊されたドアの横に立ち尽くすニーナ。そんなニーナの頭をポンッポンッと軽く叩いて慰めるハイド。
そして、ハイドは、初老の男性と男達の方へ向いた。
「それであんたら誰だ?」
ハイドが、初老の男性と男達を睨む。
「これは、もしかして、『抗う心臓』のハイド様でいらっしゃいますか?」
「ああ、そうだが。俺に何か用か?」
「いえ、ハイド様だけでなく、特徴的なかぶりものをかぶった方と・・・うちの屋敷に忍び込んだニーナ様を是非、我が家の晩餐に招待させていただきたいと主人が申しておりまして。」
「私も行ってもいい?」
ミサキは、いつの間にかベッドから壊れたドアの前まで戻ってきていた。
ハイドは、何言ってんだ、お前も数に入っているだろと言おうと思ったが、ミサキの視線が一瞬ハイドを捉えたため、発言するのをやめた。
「それは、やめておいた方がよろしいかと思いますが?大人の晩餐ですので、お子様向けの御食事の用意ができておりませんので。」
「構わない。こう見えて、意外と私、大人だから。」
「・・・仕方ありません。できれば御遠慮いただきたかったのですが、4名様を招待ということにさせていただきます。」
初老の男性は、しぶしぶといった感じだった。
「それでは、聖堂の鐘が6つ鳴る頃に迎えの馬車を寄越しますので、それにお乗りになっていらっしゃってください。」
聖堂とは、シャナール教の建物である。
大きな鐘がついており、朝8時から夕方6時まで1時間毎に時刻の数だけ鐘を鳴らす習慣があるのだ。
「ドレスコードはあるのかしら?」
「いえ、特に御座いませんが、ただ、ドレスで来てくだされば、私の主人も喜ぶとは思います。」
「そう、わかったわ。まるで首を切られた時に飛び出る血の様に鮮やかな赤色のドレスを着させてもらうわ。食事で汚れてもいいように。」
ミサキの目はハイドがいつか見た時のように赤く輝いているように見えた。
「・・・それでは、楽しみにお待ちしております。」
初老の男性は、ミサキの冷たい雰囲気にも臆することなく礼儀正しく頭を下げた。
「それと・・・。」
馬車に戻ろうとする初老の男性は、ミサキの言葉に振り返った。
「何でしょう?」
「あなたが壊したドア、直しなさいよ。」
「お前かにゃ!にゃーの家のドアを壊した奴は!絶対許さない!」
ニーナは、初老の男性に詰め寄ろうとするが、ハイドがニーナの肩を掴み止めた。
「ニーナ、語尾の『にゃ』を忘れてるぞ。」
「しまった・・にゃ。」
ハイドは、倒れているドアが外側に向けて倒れていることからも、ミサキが内側から壊したんだろと思っていたが、あえて口に出すことはなかった。
「喜んで、すぐに手配させていただきます。」
初老の男性は、再び、丁寧なお辞儀と共に馬車に乗り去っていった。
去り際の初老の男性の口元が上に釣りあがって不気味な笑いを浮かべているようにもハイドには思えた。




