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ギルド『パンプキン・サーカス』の異世界冒険譚 ~亡国の英雄達 異世界に降臨す~  作者: 蒼樹比呂
第一章 ギルド『パンプキン・サーカス』
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31 『ヒロ』 レキエラ・ヴァン・ホーエンハイムに出会う


荷馬車に乗り、もと来た道を戻っていく。



その道中、馬に乗った10人ぐらいの集団に追われている馬車を発見した。



「あれ、盗賊じゃない?」



逃げている馬車と盗賊の距離はまだ200mぐらいはあったが、馬車と馬では進むスピードが全然違うため、すぐに追いつかれるだろう。



「こっちも盗賊が気付く前に逃げよ。」



「そうだな。」



「逃げるんですか?」



シーターとアレクシスの逃げるという提案にヒロは疑問を持った。



シーターとアレクシスなら10人とはいえ盗賊程度なんとかなると思ったからだ。



「ヒロちゃん、さすがに3対10じゃ無理だよ。ゴブリン相手とはわけが違うんだから。」



「そうだな。それにあの馬の乗り方を見るにかなり馬の扱い方がうまい。ああいう場合は、戦いの実力の方もかなりの強いと思った方がいい。」



「そういうものなんですね。」



「そうだよ。冒険者は英雄ではないんだから、自分の命を最初に考えなくちゃ。」



シーターとアレクシスの言葉は、ヒロが納得するには十分な説得力を持っていた。



馬車は可哀想だが、逃げ切ることを祈るしかなかった。



(悪い、馬車の人・・・。ん?)



馬車の人に申し訳なく思いながら、馬車の後ろの盗賊を見ていたヒロは、自分の中にある確信に気付いた。



(これ、盗賊に魔法かスキル届くんじゃないか?)



ヒロ達と盗賊はかなり距離があるのだが、なぜかそんな気がした。



「・・・ピエロスキル『ローションウォーター』。」



『グランベルグ大陸』の職業『ピエロ』のスキル『ローションウォーター』は、その名の通り、ローションを相手にぶちまけるというしょうもないスキルであった。



これを受けた相手は、10分間動こうとするたびに強制的に転び続けるという嫌がらせスキルである。



職業ピエロのスキルは、こういう相手への嫌がらせに秀でたスキルが多かった。



ヒロは、職業『ピエロ』を取りたいわけではなかったのだが、何故か『ピエロ』が盗賊系の職業とされていたので目標の職業を得るために取らないといけなかったのだ。



一瞬だが、馬車を追う盗賊達と盗賊の乗っている馬が青白く光った。



その次の瞬間、盗賊の乗っている馬が派手に転んだ。



当然、その馬の上に乗っている盗賊も地面へと投げ出された。



「ありゃ、盗賊達、転んじゃったよ?」



「ヒロ、何かしたのか?」



アレクシスは、ヒロの声が聞こえていたので、ヒロが何かやったと確信している様子だった。



「何かというか、スキルというか。」



「スキルって何?」



シーターが不思議そうな表情でヒロを見たが、スキルが何かと言われればスキルと答えるしかなかった。



「とりあえず、転んだ盗賊の所に行きましょう。10分間は転び続けるはずですから。」



シーターとアレクシスは顔を見合わせたが、スキルというものへの興味が勝ったのだろう、頷きあうと盗賊の方へと進路を変えた。



3人の乗った荷馬車が盗賊達の下へとついた時、盗賊達はうめき声を上げながら地面に這いつくばっていた。



全速力の馬の上からいきなり地面に叩きつけられたのだから、どこか骨折でもしたのかもしれない。



馬も動こうとしては再びこけるを繰り返しているものや、打ち所が悪かったのか、まったく動かない馬もいた。



3人の姿を見て、どうにか動ける盗賊は立とうとするがすぐに地面に派手に転んでいた。



「これは・・・悲惨だな。」



アレクシスは、可哀想なものを見る目で盗賊を見ていた。



「く、くそう。お前達の仕業か。あっ、ブオッ」



盗賊の一人が、どうにか立ち上がりかけたが、派手に転び頭を地面に打ちつけた。



シーターは、あまりの盗賊の一生懸命さに笑っては悪いと思ったのであろう、必死に表情で笑うのを堪えながら、肩を震わせていた。



ヒロは、麻痺の状態異常のついたナイフを『とめどない強欲の指輪』から取り出した。



そのナイフを持ち、盗賊達の間をすり抜けながら盗賊の腕に浅く切りつけていった。



ついでに、馬にも同様に浅く切りつけておく。



さらに、『とめどない強欲の指輪』の中からロープを取り出し、3人で手分けして盗賊の腕を背中で縛っていく。



最後に盗賊全員を一本のロープでつないだ。



それが終わると、ヒロは、盗賊の武器や持ち物を『とめどない強欲の指輪』の中にしまっていった。



10分後、麻痺状態が解けた盗賊達は諦めた表情で体を起こした。



馬も5頭は起き上がったが、半分の5頭は起き上がれなかった。



「で、これはどうしましょうか?」



ヒロの言葉にアレクシスが困った表情を作る。



「馬は使い道があるがな。」



「盗賊は、町まで運ぶのが面倒だしね。懸賞金ついていれば別だけどね。ここら辺のチンケな盗賊じゃ懸賞金もついてないだろうし、そもそも、エストラ男爵、お金持ってないから懸賞もつけられないだろうしね。」



シーターの言うとおり、基本的に領地内の盗賊に対しては、領主が懸賞を掛けるのだ。



懸賞がなければ、盗賊の持っている物を貰えるぐらいしか盗賊狩りのうまみはなかった。



ちなみにヒルメリア都市連合国に行けば、奴隷制があり、盗賊を売ることもできるため(都市が仲介になってくれる)、お金に換えることができた。



ただし、これは盗賊の罪が確定した場合のみであり、ヒルメリア都市連合国内での盗賊行為にしか適応されないのだ。



そのため、今いるエストラ男爵領ではこれら盗賊は邪魔なだけだった。



「それにしても、盗賊にしてはやけに落ち着いてますね?」



盗賊達は、諦めていることもあるだろうが、一言もしゃべらずにまっすぐ前を向いていた。



「ん?」



何かに気付いたのか、アレクシスが盗賊の1人に近づいていった。



「もしかして・・・レキエラ将軍ですか?」



アレクシスの言葉に盗賊の男の一人がため息をついた。



「今は、ただのレキエラだ。」



「ねえー、アレクシス、このおじさん知ってるの?」



「馬鹿!失礼はよせ。この方は、元ホルメスト王国の将軍レキエラ・ヴァン・ホーエンハイム様だ。」



アレクシスの表情はいつもにも増して真面目そのものだった。



「よしてくれ・・・確か、大剣使いの・・・ア、ア・・」



「アレクシスであります。」



覚えておいてくれたことがうれしいのか、アレクシスは子犬のような表情になっていた。



「あの~、アレクシスさん、私にも分かるように説明してもらえると助かるんですけど?」



アレクシスに馬鹿と言われ、非常に不機嫌になったシーターがそこにはいた。


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