25 『エルダ』 豚を怒らせる ブヒィー
「そんなことよりも、ラインベルトの借金は、本当に白金貨100枚なのか?」
「ええ、間違いありませんよ。何なら証書も確認しますか?」
「ああ、頼む。」
サイラス伯爵は、懐から1枚の紙を取り出し、テーブルの上に置いた。その紙には、白金貨100枚と書かれていた。
「このように証書も白金貨100枚と。」
「なるほど・・・安いな。」
「そうでしょう。安い・・・へ?安い?何を言っているのかな?確かに私にとっては、白金貨100枚は安い金額だが、こう言っては失礼だが、エストラ男爵殿には逆立ちしても出せない金額ではないですかな?」
サイラス伯爵は、ラインベルトを馬鹿にした表情で見た。
エルダは、腰のアイテムボックスから、白金貨50枚が入った袋を2つ取り出し、サイラス伯爵の前に置いた。
「これで、借金はチャラだな。証書は貰うぞ。」
エルダは、テーブルの上の証書を取った。
サイラス伯爵は、エルダが置いた袋を開けて、中の金額を数えた。確かに白金貨100枚であった。
「間違いないな。」
エルダは、サイラス伯爵に確認すると、目の前で証書をこれでもかと細かく破り捨てた。
「エルダ・・・。」
涙目のラインベルトがエルダを潤んだ瞳で見つめた。
「エルダ様、よだれ。」
ルーベル爺に言われ、どうにか理性を保ったエルダ。ルーベル爺に言われなければ、思わず押し倒してしまっていただろう。
「なぜ・・・どこで、このお金を・・・。」
「どこでも、貴殿には関係ないだろう。それでは、失礼する。」
エルダが満足げな表情で立ち上がり、部屋を出て行く。
「サイラス伯爵様、今までありがとうございました。」
ラインベルトもエルダに続き、部屋を出る。
「失礼致します。」
最後にルーベル爺も部屋を出て行った。その表情は、どこかしてやったりといった表情だった。
「どういうことだ・・・・私の長きに渡る策略が・・・。」
茫然自失のサイラス伯爵。しかし、次第にその表情は怒りへと変わる。
「・・・もう、回りくどいことはやめだ。おい、あいつらへ使いを出せ。明日、エストラ男爵共の馬車が通るはずだ。その馬車を襲い、皆殺しにしろと。」
「はっ。」
騎士の1人が、部屋を急いで出て行った。
「素直に私に男爵領を渡さなかったことを後悔させてやる。」
サイラス伯爵の目は怒りに染まっていた。




