22 『エルダ』 アダマンタイトの武器と防具を売る
翌日、ラインベルトとエルダは別々に出かけた。
エルダは、前日ルーベル爺に教えられたサイラスで一番有名な武器屋へと向かった。
その武器屋に並べられていた武器はどれも見栄えはいいが、実戦で役に立つかといえば微妙なものばかりだった。
「店主、これは、クリスタルドラゴンの水晶を使って作った水晶の剣なのか?」
エルダは、1本の剣を手に取った。
「いえ、それは、普通の水晶で作った剣でございます。クリスタルドラゴンから作った水晶の剣など神級で手前共の扱える商品ではありません。ほほほ。」
「・・・普通の水晶で出来た剣ではすぐ壊れて役に立たぬではないか?」
「見た目がよければ、問題ないのでございます。この店にある剣は、主にお金持ちの方が見栄えで買っていく剣が大半ですので。ほほほ。」
「なるほど。・・・そういうことか。確かに売るにはいい店かもしれぬ。」
エルダは、ルーベル爺の考えが理解できた。
前にミスリルの剣を見せた反応から、どうやら、この世界ではエルダの思っている武器の価値とだいぶ差があるということが分かっている。
エルダにとって、ミスリルの剣などもはや役に立たない物でしかないが、この世界の人々にとっては高価な物なのだ。
そんな彼らにミスリル以上の価値のある物で作った剣を見せればどうなるのか。
お金をどれだけ積んでも欲しがるだろう。ただ、それには、お金を積む方がお金を持っている必要がある。
それで、この武器屋を紹介したのだろうとエルダは考えた。
それでは、何で出来た剣を売るか。これは、中々難しい問題だった。この後いくらでも手に入るなら別に問題ないが、もしかしたら、この世界では二度と手に入らない物かもしれないからだ。
「ギルドの『金庫番』かギルドホームの金庫があれば、何でも売れるのだがな。」
エルダは、多くの鉱物や作った武器や防具を預けていたのだ。
「しかし、結婚の支度金としてはあまり少ない額だと恥ずかしいしな。」
もはやエルダの中で結婚は決定事項として決まったことだった。
悩んだ末に、エルダが選んだ品は、アダマンタイトの剣であった。
だいたい、この世界での市場価格を日本円で表すと、5000万円は下らない物であった。
「・・・こ、これは、まさか・・・アダマンタイト?」
店主の表情が固まった。
「いかにもそうだが、あまり買い取り価格が安いようだと、別の物に変えるが?」
エルダの中では、日本円だと100万くらいになればいいなと思ってだしていた。
「そ、そうですね。白金貨50枚は堅いかと。」
「白金貨50枚・・・。」
この時点でようやくエルダは、自分がこの世界のお金の価値を知らないということに気がついた。
白金貨があるのだから、黒金貨もあるのか?など意味のないことを考えながら、とりあえず50枚ということは、50円か500円か5,000円か5万円か50万円のどれかだと考えた。
白金貨というくらいだから、1枚1万円の価値はあるだろうから、そう考えると50万円。
(少ないな。違う物にするか?それとも、また前みたいにアダマンタイトの防具も足して、一式にするか?その方がいいかもな。何でも一式揃いの方が高いというしな。)
エルダは、お金の価値を店主に聞けばよかったが、聞かずに自分の中で話を進めたためにかなりの間違いを犯していた。
といっても、聞いたからといって、基準となる価値が分かっていないのだから同じだったが。
「店主、ついでにアダマンタイトの盾と鎧と兜をつけたら、どれくらいになる?」
店主の前にアダマンタイトの盾と鎧と兜を出した。
「・・・・・・・はっ、失礼しました。」
茫然自失になった店主。それも当然である。アダマンタイトの品など、いつでもどこにでもあるような品ではないのだ。
どこかのオーバースターのギルドのギルドマスターが使っているとか、どこかの将軍が使っているとかそういうクラスの品なのである。
「そうですね。・・・白金貨200枚は堅いかと思いますが。」
ちなみに、剣が50枚、鎧が100枚、盾が30枚、兜が20枚である。
「それで構わない。すぐに買い取ってもらえるのか?」
「少々お待ちください。すぐに当店専属の鍛冶師を呼んで状態を確認させますので。」
異世界転移者が現れる前に、この世界で手に入る最高級の物がアダマンタイト製の物として価格を設定しております。
これから価格破壊が起こることも考えられますので、値段は現在のものをしてお受けとめください。
あまりに問題があるようでしたら、後々価格を変更するかもしれません。




