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ギルド『パンプキン・サーカス』の異世界冒険譚 ~亡国の英雄達 異世界に降臨す~  作者: 蒼樹比呂
第一章 ギルド『パンプキン・サーカス』
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19 『エルダ』 本名はアサクラ エルダ


エルダは、ラインベルトと共に馬車に乗っている間に、この地方の事やこの世界の事の説明を受けた。



エルダが、話しやすい相手だったということもあっただろう、ついつい自分自身の現状まで話してしまっていた。



「な、なるほど・・・なるほど・・・少年、分かるぞ、分かるぞ。少年は間違ってはいない。絶対に間違ってはいない。」



フルフェイスの兜をかぶっているため顔は見えないが、泣いているということは理解できた。



「あ、ありがとうございます。エルダ殿。・・・ですが、すべて僕の力不足が原因なのです。せめて、僕にエルダ殿のような立派な体があれば、自ら魔物狩りなどでお金を稼ぐこともできるのですが。」



「人それぞれ行うべき運命というものがある。少年は魔物狩りなどではなく、他にやることがあるということだろう。出来ぬ事を嘆くより、出来る事に全力をかたむけるべきだと思うぞ。」



「そ・・・そうですよね。僕に出来る事。今出来る事に全力をかたむければ、いずれ道は開けますよね。」



「その通りだ、少年。」



「ところで、エルダ殿は、兜はとられないのですか?」



ずっとフルフェイスの兜をしたままのエルダを不思議に思ったのだ。



「ああ、これは大変失礼した。」



一瞬で、フルフェイスの兜とフルプレートの鎧と大きな騎士槍が消えた。



「えっ。これは一体・・・。」



一瞬の出来事に呆然とするラインベルト。



目の前には、この世界の旅人が着るような服を着た茶髪、黒眼の女性が座っていた。



年齢は20歳前後だろうか、髪型はショートボムで、胸が非常に大きかった。



体の線も細く、とても先ほどまでの防具をつけて動けていたとは思えないスタイルのよさだった。



「ふむ。脱いだ時全裸だったらどうしようかと思ったよ。はははは。まあ、目の前には少年しかいないから、別に問題なかったがな。はははははは。」



それは、大問題なのではないかとラインベルトは思ったが、早くに父と母を亡くし、祖父に育てられていたラインベルトからしたら、普通はそんなものなのかなと思った。



それよりも、なぜいきなり兜や鎧、騎士槍が消えたのか不思議に思った。



それがラインベルトの表情に出ていたのだろう、エルダが説明をしてくれた。



「私の両指を見てくれ。すべてに銀色の指輪がはまっているだろう。これすべてが武器や鎧なのだ。」



「その指輪がですか?」



「ああ、そうだ。右手の親指から先ほどの兜、フルプレートの鎧、騎士槍、騎士剣、弓、矢、騎士盾、斧、金槌、馬だ。」



「・・・はぁ、そう・・ですか。」



説明されただけでは、ラインベルトは、エルダが何を言っているのか理解できなかった。



「まあ、百聞は一見にしかずだ。見ていろ。」



エルダは、次々と武器を出しては消してを繰り返した。



「す、凄いです、エルダ殿。こんなの初めて見ました。」



「そうだろう。私も現実に見たのは初めてだ。はははははははは。」



「?」



たまにエルダはラインベルトの理解できないことを言うが、違う地方の方だからかなと流していた。



「そう言えば、最初にエルダ・リ・マルクーレと名乗られましたが、マルクーレという家名を聞いたことがないのですが、どこかの貴族の御身内の方なのでしょうか?」



「いや、それは、プレーヤー名というか、何と言うか、まあ、本名はアサクラ エルダっていうんだ。だから、エルダと呼んでもらって間違いはない。」



「プレーヤー名?」



「それは気にしなくてもいいぞ、少年。まあ、今の身分は・・・旅人みたいなものかな?だから、気にしなくてもいいぞ。」



「はあ?・・・わかりました。」



ラインベルトには、全然意味がわからなかったが、家を捨てたか何かでマルクーレという名についてあまり触れられたくはないのだと理解した。



「ラインベルト様、少し休憩に致しましょう。」



御者側の小窓が開き、ルーベル爺が声をかけ、馬車を停止した。



「座ったままでは、お尻が痛いでしょう。」



基本、この世界の馬車は、揺れが激しいので、座りごごちのよいものではない。だから、長距離を移動する場合は、休憩を挟みながら行くのが普通なのだ。



エルダとラインベルトは馬車を降り、近くの草むらに腰を下ろした。


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