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194 サイラス、最悪の1日(9)


ミサキとガドンガルとハイドの前から衛兵達が歩いてきた。



「おい、お前、その仮面は何だ?」



ミサキのパンプキンヘッドを見て、衛兵が近づいて来た。



「トリック オア トリート?」



「・・・?お前、何を言ってるんだ?」



「トリック オア トリート?」



ミサキは、ハロウィンで知らぬ者はいない言葉を繰り返す。



しかし、残念ながら、ここは異世界だ。その言葉を知っている者はいなかった。



「おい、お前達、この子は何を言ってるんだ?」



衛兵達は、ミサキの後ろを歩くハイドとガドンガルに尋ねたが、当然、ハイドやガドンガルにわかる筈は無い。



彼らも異世界の住民なのだから。



ただ、わかっていることは衛兵達が、ミサキのデスサイズの範囲内に入っているということだけだ。



そして、ミサキは人を殺すことを躊躇わないということだけだ。



次の瞬間、ミサキの体がふわっと軽く浮き上がり、そして、華麗に1回転した。



「えっ?」



それがミサキの側に寄ってしまった衛兵達の最後の言葉になった。



衛兵は5人いたのだが、ミサキの側にいた3人の首は、その回転に巻きこまれ、綺麗な切り口を残して、地面にポトリッと落ちた。



ミサキから離れて立っていた2人の衛兵は、いきなりの出来事で、思考が追いついていないのか、その様子を呆気に取られた顔で見ていた。



「・・・あっ・・・えっ・・・な、・・・・お、お前、何をしているんだ!」



ようやく思考が追いついたのだろう、残された2人の衛兵は、顔を青色や赤色に次々に変化させていた。



こうなることを予測していたハイドは、すぐに残りの2人を始末しようと動こうとするが、ミサキは手を横に上げて、ハイドの動きを止めた。



「まだ、城には距離があるぞ?」



ハイドが言いたいのは、こんなところで足止めさせられては、城にはたどり着けないという意味だ。



ハイドやガドンガルとしては、戦うのは城の城門からにしたかったのだ。



「ノー・プロブレム。・・・あなた達、2人でいいの?早く助けを呼ばないと・・・死んじゃうよ?」



最初の言葉はハイドに言って、そして、残りの言葉は、衛兵達に向かって告げていた。



そして、ミサキは、デスサイズを華麗にまるでバトンチアリーダーがバトンを回すように頭上で回転させた。



その光景を見た衛兵2人は、仲間の死体をそのままに城の方へと逃げ出した。



仲間を呼んでくるつもりだろう。



「おい、ノーなんとかってのはどういう意味だ?」



「問題なしってことよ。それより、ここは私の場所だから、あんた達は別の場所で遊んでね?」



ミサキはハイド達を振り返り、可愛く微笑んだつもりだが、パンプキンヘッドをつけているため、ハイドとガドンガルには、当然、その表情は見えていない。



「・・・なるほど、そういうことか。恩に着るぞ、ミサキ。」



ガドンガルは、ミサキの言いたい事が理解できたのだろう。ミサキにお礼を言うと、城へと続く大通りから横道へと歩き始めた。



「おい、どういうことだよ?」



ハイドは未だ理解できてない様子だったが、ガドンガルに「行くぞ、ハイド。」と言われ、仕方なく、ガドンガルについて横道へと歩いていった。



「私、ドワーフに興味ないから、恩に着なくていいわよ?・・・それに、ここじゃないと私的にもまずいから。」



ミサキは、キョロキョロと周囲を見ながら、何かを確認していた。



そして、しばらくその場で止まっていたミサキの前に多数の衛兵や兵士達が城方面から走ってきた。



「う~ん、相変わらず、私ってモテモテ。」



多数の衛兵や兵士達を見て、うれしそうに呟くミサキ。



「さて、それでは、シャル ウィ ダンス?」



ミサキは、衛兵や兵士達と踊り始めた・・衛兵や兵士達の血に彩られた華麗なダンスを・・・。







カンッカンッカンッカンッカンッ・・・・・。



サイラスの夜空に鐘の音が響いていた。



その頃、城では、宴が開かれていた。



参加者は、サイラスの一族の者達とその血縁の貴族、そしてテトリナ子爵だ。



「何事だ?」



サイラス伯爵が兵士に尋ねた。



「はっ、町に賊が現れたとかで、現在、衛兵や兵士達が賊を捕らえるために対応しているところであります。」



「まったく、この楽しい夜に無粋なことだな。城の兵士も投入してさっさと捕まえろ。・・・・そうだ、いいことを考えた。賊どもを捕まえたら、ここに連れて来い。この場で処刑をしてやろう。いい余興だろ?」



「はっ、かしこまりました。」



兵士は、サイラス伯爵の命令を伝えるために、宴の場を後にした。



「大丈夫ですか、サイラス伯爵様?」



テトリナ子爵は不安そうにしていた。



「大丈夫ですよ、テトリナ子爵。このサイラスの防御は完璧です。例え、王都の兵が攻めて来ようとも、破れるものではありませんよ。フフフフッ。」



サイラス伯爵の笑いは自信に満ち満ちていた。



「・・・そ、そうですか。」



テトリナ子爵は、そのサイラス伯爵の言葉を聞いても、まだ不安をぬぐえないでいた。


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