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181 ヤマトとサクラの日常(1)

ちょっと、ここでヤマトとサクラを登場させることにしました。


ある人物をほんの少し、この2人に関わらせようと思ったので。


ですので、この話は後で書くと言っていたクルワラ共和国の話とは関係ありません。


アリステーゼ王国ケイティート子爵領の都市ケイトラーダ。



ケイティート子爵領は、エストラ男爵領の南に位置するサイラス伯爵領の南にある地域である。



ケイティート子爵領の西側は、クルワラ共和国と国境に面している地域でもあった。



その都市を1人のハーフエルフの男が歩いていた。



時刻は早朝5時であり、元の世界では、まだ、人通りの少ない時間帯だが、この世界は違った。



すでに多くの人が通りを歩いていた。



ハーフエルフの男の名は、ヤマトという。



ギルド『パンプキン・サーカス』のメンバーの1人であり、『科学者Mの憂鬱』であるアオイの実の弟である『弟Mの憂鬱』ことヤマトだった。



ヤマトは、今、市場に向かっている所だった。



市場に入ると、すぐに肉屋の店主が声をかけてきた。



「ヤマト、おはよう。今日はいいシマシマブーの肉が入ってるぜ。」



「おはよう。シマシマブーか・・・いいな。それじゃあ、そのシマシマブーとマイナーブルの肉をくれ。」



「あいよ。いつもありがとよ、ヤマト。」



ヤマトは、肉屋の店主にお金を払い、肉を包んでもらった物を受け取り、さらに市場の奥へと向かう。



次々に市場の人々に挨拶をされるが、ヤマトは愛想よくそのすべてに挨拶を返していく。



ヤマトは市場で肉、玉子、野菜、パンを買った後で家へと戻っていった。



ヤマトは、現在、1軒家に住んでいた。この家は、レッドミラー商会のパルテ・レッドミラーが借りてくれた家だが、すでに家賃はヤマト自身が払っていた。



ヤマトは、このケイティート子爵領の都市ケイトラーダに到着してすぐに冒険者組合で冒険者登録したのだ。



そして、ケイトラーダ冒険者組合の最速記録更新となる速度でCクラス冒険者となっていた。



家についたヤマトは、すぐに台所に立つと、新鮮な野菜を適当な大きさに切り、サラダを2皿分盛り付けた。



その後、フライパンで薄く切ったシマシマブーの肉を焼き、その上に玉子を2個割った。



玉子に火が通るとそのシマシマブーと玉子も2皿に別けて入れて、テーブルの上に置いた。



最後にパンをテーブルの上に置いた。



その時、2階から、まるで転げ落ちてくるような音で階段を急いで下りてくる音が聞こえた。



「す、すいません。ね、寝坊しちゃって。」



台所に入って来たのは、『グランベルグ大陸』でギルド『アルテノン聖騎士団』に所属していたサクラ・ソメイヨシノだった。



サクラの髪は、まだ寝癖がついていた。



「そんなに急がなくていいぞ。」



ヤマトはサクラに笑いかけながら、テーブルにクルーアを置いた。



サクラは、そのクルーアを一口飲み込むとようやく落ち着いたように一息ついた。



「朝食にしようか?それとも、寝癖を先に直すか?」



サクラは、自分の髪に手を当てると一気に顔が真っ赤になり、「ヤマトさんの意地悪。」というと、再び、階段をドタドタと2階へと上がっていった。



現在、ヤマトとサクラは、同じ家に同居していた。と言っても、ヤマトが1階を使って、サクラが2階を使っているだけだが。



最初、パルテは、別々の住まいを用意しようかと聞いてきたが、サクラが不安そうな表情をしていたので、ヤマトが「同じ家でルームシェアするか?」と提案したところ、サクラが申し訳なさそうに「そうしてください。」と言ったので同じ家になったのだ。



サクラもヤマトと同じく冒険者組合に冒険者登録しており、ヤマト同様、Cクラス冒険者になっていた。



ヤマトとサクラは2人でパーティーを組んでおり、パーティー名は『パンプキン』であった。



これは、最初にパーティー名を決める時にちょっと揉めたのだが、ヤマトの『仲間』を探すためという理由で渋々『パンプキン』という名前を了承したのだ。



ヤマトがこの『パンプキン』を押した理由は、もし、アオイがどこかでこのパーティー名『パンプキン』を聞けば、必ず連絡してくるだろうと思ったからだ。



あのアオイが連絡するか?という疑問はヤマトは一切持っていない。なぜなら、自分なら絶対に連絡を取ろうとするからだ。



ついでにヤマトは冒険者組合に探し人の捜索の依頼も出している。捜索する人物は当然『アオイ』であった。



今のところ有力な情報は得られていないが、冒険者組合は様々な場所にあると聞いているので、必ず手がかりが得られるはずだと期待していた。



今頃、アオイが寂しくて泣いているんだろうなとヤマトは心配でたまらなかった。



まさか、エストで好き勝手しているとは想像もつかなかった。



まさか、アオイはヤマトを探してもいないとは思うわけがなかった・・・。



しかし、いつもそればかり気にしていても仕方がないというのもヤマトは理解していた。



今はただ、アオイを見つけた時にアオイの面倒を見られるようにお金を少しでも多く稼ぐことに専念しようと決めていた。



再び、ドタドタと焦った様子でサクラが階段を下りてきた。



「す、すいません。・・・寝癖直ってますか?」



サクラが、恥ずかしそうにヤマトに背を向けて背中側の髪を確認してもらった。



「ああ、大丈夫だ。それじゃあ、朝食にしようか。」



「はい。」



いつも通り、ヤマトとサクラは2人で朝食を食べ始めた。



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