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ギルド『パンプキン・サーカス』の異世界冒険譚 ~亡国の英雄達 異世界に降臨す~  作者: 蒼樹比呂
第一章 ギルド『パンプキン・サーカス』
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17 『ミサキ』 偽宗教家になる(お金を貰う時だけ)


(俺は、とんでもない奴を連れてきちまったな・・・。)



ハイドは苦笑いを浮かべるしかなかった。



しかし、決してこの状況に助け舟を出す気もなかった。



「も、申し訳なかった。・・・いや、申し訳ありませんでした。私共がこのような者達の言葉を信じてしまったばかりに、あなた様のようなお方を疑ってしまうなど、あってはならないこと。お許しください。」



真っ青になった衛兵達が、一斉にミサキに頭を深々と下げた。



ミサキの表情が満面の笑みに変わる。先ほどまでミサキを覆っていた冷たい雰囲気も無くなっていた。



「いやいや、分かっていただけたら、それでいいのです。誰にでも間違いはあるものです。まあ、残念ながら、私の高価で貴重な時間は奪われてしまいましたが、何、私は、まったく気にしません。ええ、私は気にしません。」



急に女らしい言葉使いに変わったミサキ。ただ、それは、余計に怖さを引き立たせるものだった。



「・・・あっ、あのこれ少ないですが、このようなことを犯してしまった罪滅ぼしにお納めいただけますでしょうか?」



衛兵達は、自分達の持っていたお金が入った小袋を急いで集めて、ミサキへと差し出す。



「これは?」



ミサキは、衛兵達から小袋を受け取ると、その一つの袋を開けて中を確認した。



「これは、お布施ということでよろしいのですか?」



「はい。どうぞ、お納めください。」



「そういうことでしたら、ありがたく頂いておきましょう。・・・きっと、神もお許しになるでしょう。」



衛兵達の表情が、ようやく和らいだ。



「あのこれも受け取ってください。」「あっ、私のもお受け取りください。」



カフェにいた者だけでなく、その場にいた者がほぼ全員、ミサキにお金の入った小袋を差し出した。



「皆様に神のお許しがあるでしょう。」



ミサキは、すべてを受け取り、天使のように純粋な笑みを浮かべた。



その笑みを見た人々は、逃げるようにその場を去っていった。



残されたのは、衛兵達とミサキとハイドとカフェの店長だけだった。



「そう言えば、私、思い当たることがあるのですが?」



「はっ、なんでしょうか。」



「私達と一緒に席についていた男が、まったく私達の知らない男なのですが、彼が何か知っているのではないかと思うのですが?」



衛兵達の視線が、一斉にハイドへと移った。



「俺じゃねぇーよ。」



「彼ではなく、まだ、カフェの中にいる男です。あの男は、ちょっと錯乱していましたので、もしかして、私が犯人だと嘘を言うかもしれませんが、そんなことを信じるあなた方ではないでしょ?」



「当然であります。私共は、あなた様を犯人だとは一切疑っておりません。」



「ありがとう。ですが、私は、今回の事件の背景が知りたいのです。もし、よろしければ、彼を尋問して、今回の事件の背景を調べていただけないかしら、できればでいいのだけれど。」



「喜んで。おい、お前達、奴を連行しろ!」



衛兵達がカフェの中に入り、生き残った男を連行していく。



「それでは、後ほど結果を聞きに詰め所に伺いますので、よろしくお願いしますね。」



「はっ!お待ちしております。」



衛兵達は、走ると言う表現の方が正しいスピードでその場を去っていった。



ミサキは、豚のような生き物が潰れた店に行き、店主に料金を聞いて、もらった大量の小袋の中から大目のお金を店主へと渡し、ハイドのところへと戻ってきた。



「まったく、力技で解決するとはな。・・・お前は、極悪人だな、ミサキ。」



「あら、私が善人だっていったことあったっけ?」



「確かにねぇーな。・・・ところで、お前、何かの宗教に入ってるのか?」



「ザ・無宗教。キラーン。」



ミサキは先ほどのように目を挟むように左手で横にしたV字を作り、ハイドは苦笑いを浮かべた。



(そう言えば、誰かが言ってたっけな。悪魔が醜い姿をしていると思うな、悪魔は、美しい天使のような姿をしているんだぞ、と。)



ミサキの顔を見ながら、ハイドは、その言葉を思い出していた。



次回からまた別の主人公に替わります。

今のところ、割とメインに近い主人公はミサキかなとも考えています。(書きやすいので)

とりあえず、16日日曜日の昼の更新はこれで終わろうと思います。

次は、時間が取れれば16日日曜日の夜(深夜かも)に更新しようと思います。

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