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169 地底湖の吸血鬼城(4)


アダマンタイトと呼ばれる鉱物がある。



これは現在、この世界で発見されている鉱物の中で最も硬い鉱物でもある。



このアダマンタイトの歴史は古く今から500年前にはすでに発見されていた。



アダマンタイトという名は、発見した者の名前から付けられたのだ。



遥か昔のまだアリステーゼ王国もない時代のある王国にあった貴族アダマンタイト家。



ここの当時の当主が鉱物の発見に尽力し、そして、その名前を付けられた。



それからしばらく後の当主の時代、アダマンタイト家には、その王国で最強の騎士を生み出した。



アラザイル・イグザ・ドラゴンキラー・アダマンタイトである。



当時、貴族は3つの名前だったが、このアラザイルは、竜殺しとして知られ、それゆえ、特別に名前の中にドラゴンキラーを付ける事を許されたのだ。



漆黒のアダマンタイトの鎧を纏い、最初に殺した光竜の骨とアダマンタイトの合金、そして、光竜の魔石をつけた、『魔剣ルーチェ・エレクシオン』を操り、数多のドラゴンを殺したと言われる伝説の英雄である。



彼の最後はどうであったのか知る者はいない。



わかっているのは、旅に出て、そして、帰ってこなかったという事実だけだ。



この人物のことは、今でも伝説の英雄として、吟遊詩人達が酒場で謳っているので、よく知られている人物である。



その最後は、謳う吟遊詩人によって違い、最後は、どこかの田舎娘と結婚して戦うことをやめたとか、どこかの小国の姫と結婚して国王になったなど、様々な最後が語られているが、どれが事実かは未だに判明していない。



そして、アラザイルの愛用していた『魔剣ルーチェ・エレクシオン』も見つかっていない。



伝説の彼方に消えたままだった・・・今までは。










ヒロが王座の間を覗いてみると、確かに王座に漆黒の鎧を着た騎士が座っていた。



「・・・ジュリ様の知り合いですか?」



ヒロは、隣で覗き込んできるジュリに尋ねた。王座に座っていた騎士は、全身漆黒の鎧に覆われ、顔さえ見ることはできないが、明らかに禍々しいオーラを発していたからだ。



「・・・それ、何を持って私の知り合いと判断したのか説明してもらう必要がありそうね。」



「・・・禍々しさ?」



「私のどこが禍々しいのよ!」



ジュリが大声でヒロの胸倉を掴むが、そのジュリの声は大きすぎた。



王座に座っていた人物が立ち上がり、こちらへと歩き始めた。



仕方なく、ヒロは、ジュリをその場に残して、王座の間へと入った。



ヒロの姿を確認した漆黒の騎士の歩みは止まり、ある程度の距離を置いてヒロと向かい合う。



ヒロと漆黒の騎士は、しばらくの間、お互い見合ったまま、動かなかった。



「・・・あの~、俺は、ヒロって言います。」



痺れを切らしたヒロが、漆黒の騎士に声を掛けてみたが、漆黒の騎士からの返答はなかった。



「あの~・・・聞こえてます?」



再度、ヒロが声を掛けると、その漆黒の騎士がわずかに震えたように見えた。



そして、「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアー!!!!」と雄たけびを上げた。



漆黒の騎士の鎧のほんの少しの隙間から黒い靄のようなものが噴出すのがヒロには見えた。



いきなりだった。



漆黒の騎士は、背中にさげていた漆黒の大剣を抜くとヒロ目掛けて斬りかかってきた。



ヒロは、少し油断をしていたため、反応がわずかに遅れたが、どうにか漆黒の騎士の大剣を避け、漆黒の騎士から距離を取った。



ヒロは、わずかではあるが、肩に切り傷を負っていた。



ヒロは、その肩の傷を確認すると、漆黒の騎士を睨みつけて言った。



「よくも、斬りつけたな!パパにも斬りつけられたことないのに!」



ヒロは真剣な表情だった。そう、真剣にボケたのだが、漆黒の騎士の反応はなかった。



「よし。この騎士は向こうの人間ではないな。」



「ヒロー!何やってるのよ?」



ジュリから意味不明なヒロの行動に声がかかるが、ヒロは反応しなかった。・・・恥ずかしかったので。



それにしても、ヒロは、漆黒の騎士の攻撃に驚いていた。



まさか、ヒロが反応が遅れたとはいえ触れられた上に、肩に傷をつけられるとは思わなかったのだ。



ヒロの着ている服は、『グランベルグ大陸』の時に作った特注品だ。



当然、レベル100のヒロが着ているのだから、そんじょそこらの剣で傷つくことなどありえない。



それが、綺麗に斬られるとは・・・。



(ようするにあの剣は、俺を斬る事のできる剣ということか。)



ヒロの顔が真剣になった。


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