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161 偽魔王討伐編 後日談(2)



ヒロとミサキ達が城に到着すると、ルーベル爺によって大会議室に通された。



そこでは、すでにラインベルトとエルダが待っていた。



ちなみに、来る途中黒ウサギ薬局でアオイも拾って来ている。



それぞれ、適当な席に座った。



今回呼ばれたのは、ヒロ、アオイ、ミサキの『グランベルグ大陸』の時の『パンプキン・サーカス』のメンバーとあとミサキの付き添いでドルトとニーナが付いて来ていた。



「今回はお集まり頂きましてありがとうございます。私が、このエストラ男爵領の領主ラインベルト・シュナイゼル・エストラ男爵と申します。」



ラインベルトは、頭を下げた。



通常、貴族が平民に頭を下げることなど滅多にないのだが、ラインベルトはこのあたりは貴族らしくなく、誰が相手でも素直に頭を下げた。



「それでは、この度は、ヒロさんには、誤情報により多大な御迷惑を掛けてしまい申し訳ありません。そして、ミサキさん、そして、ミサキさんのパンプキン商会には、あらぬ疑いをかけてしまい、本当に申し訳ありませんでした。アオイさんは、率先して怪我人を助けてくださり本当にありがとうございました。」



ラインベルトは、再度、深く頭を下げた。



「いや、領主様に頭を下げられるほどのことではありませんよ。頭を上げてください。」



「気にしなくていいわよ。こういうイベント、結構好きだから。」



「気に・・・しないで。」



ヒロとミサキとアオイは、ラインベルトに声をかけた。



「そう言っていただけると非常に助かります。この償いは必ずさせていただきますので。ただ、今は、それより優先すべきことが山積みですので少し時間をください。あと、申し訳ありませんが、今日は呼び出しておきながら申し訳ありませんが、この後もいろいろありますので、申し訳ありませんが、僕はここで失礼させていただきます。」



ラインベルトはそれだけ言うと、席から立ち上がり、部屋を出て行こうとするが、そのラインベルトの前にアオイが立ち塞がった。



そして、アオイは腰にぶら下げた袋の中から、小瓶を取り出しラインベルトに差し出した。



「これは?」



「疲労回復・・・に・・・効く薬。」



ヒロは、アオイの言葉を聞いて、ラインベルトの目の下に薄いクマが出来ていることに気がついた。



「・・・ありがとうございます。」



ラインベルトは、受け取るとそのまま部屋を後にした。



「・・・なんか疲れてるわね、あの子。」



「ですね。」



ヒロもミサキの言葉に同意した。



「きっと、エルダ・オブ・ゴジ〇が町を破壊したから、その後始末が大変なんでしょうね。」



「でしょうね。きっと、エルダ・オブ・ゴ〇ラのせいでいろいろ大変なんですよ。」



「にゃー、ミサキお姉様、エルダ・オブ・〇ジラってあそこにいる駄目騎士のことかにゃ?」



「ニーナ様、失礼ですよ。この部屋に騎士は1人しかいないのですから。こういう時は、誰かわからないように駄目人間と言って差し上げなければ。」



ミサキ、ヒロ、ニーナ、ドルトで言いたい放題である。



「・・・・うわぁーん。みんなして酷いぞ。私1人が悪いわけではないだろう。」



エルダ、号泣しながら、目の前のテーブルをドンッドンッと殴りつけている。



「そうですね。ミサキさんも悪いです。」



ヒロ、華麗に裏切った。



「ちょっとそれはないんじゃない、ヒロリン。」



「俺の事は、ヒロと呼んでくださいといったじゃないですか。というか、諸事情でヒロという名前も変えようか検討中です。」



「何があったの?」



ヒロは、先ほどのジュリとの会話をミサキ達に説明した。



「なるほど。ヒロリン、兵士達を惨殺したおかげで、冒険者組合のブラックリストに載ったんだ。」



「そうなんですよ。ツイてないでしょ。」



「それは、ミスったね、ヒロリン。そういう場合は、ちゃんと、生き残りを脅しておかなきゃ。」



「本当ですね。今回、痛感しましたよ。今後は気をつけます。」



ミサキとヒロの会話を聞いていたニーナがドルトに尋ねた。



「そういうもんなのかにゃ?兵士惨殺したら、ブラックリストに載るのは当然じゃないかにゃ?」



「当然ですが、ここで突っ込んではいけません。相手は、最悪の吸血鬼にして、絶望を司る魔王。魔王の中でも最悪と言われるヒロ様ですから。」



ドルトは神妙な顔をして、ニーナに忠告した。



「いや、聞こえてますよ、ドルトさん。というか、俺に対する形容詞がさっき聞いたものより、さらに酷くなっているんですが?」



「気にされないでください。私共、パンプキン商会は、今後一切、魔王の1人であるヒロ様に絶対服従ですので。」



「・・・ちなみに魔王の1人って表現ってことは、他にも誰か魔王って言われているんですか?」



「はい。美少女魔王こと我らがミサキ様とすべてを破壊し焼き尽くす終末の魔王エルダ様です。」



「1人・・・なんか、全然悪意を感じない魔王が含まれているんですが?」



ヒロは、ジトッとした視線をドルトに送った。



「はい。ミサキ様の御命令の下、私共が噂を広げましたので。」



「ニーナ、頑張ったにゃ。」



「いい子ね、ニーナ。」



ニーナの頭を優しく撫でるミサキ。ニーナはうれしそうにゴロゴロ言っている。



「いや、広げちゃ駄目でしょ?」



「いいのよ。どうせ、魔王が3人現れるなんて誰も思わないんだから。どうせ、噂と思って誰も信じないわよ。」



ミサキは笑っていたが、ヒロはさっそく今朝、信じている人間を見ていた。



「・・・ここの世界の人、結構信じやすいんですよ?」



「それなら、それでいいじゃない。」



ミサキはうれしそうにし、特に気にしている様子はなかった。



「ああ、そういう人でしたね、ミサキさんは。」



「そうよ。ようやく思い出してくれた、ヒロリン?」



「ええ、思い出しましたよ。」



ヒロはそういいながらも心の奥底から込み上げて来るワクワクを抑えられなかった。



この気持ちは、あの『グランベルグ大陸』の時に感じた感情だというのを思い出していた。











「あの子・・・なんで・・・あんなに・・・疲れてる・・・の?」



アオイが泣いているエルダに尋ねた。



「グスッ・・・それは、私がエストを破壊したら・・・なんか、これから王都から一杯人が来るのに、その人達の住む場所が無くなってしまって、その対応をどうするか夜も寝ないで考えているんだ。」



「へぇー、王都から人が来るんだ。何人くらいくるの?」



「確か、少なくとも4000人は来るって言ってた。」



『パンプキン・サーカス』の悪夢によって、このエストで住める住居は調査の結果3000軒ぐらいだと判明していた。



すでに1200人住民がいるので、新しく来る住民の住居はまったく足りていないのは明白である。



「・・・・・・・・・・それ・・・家・・・あれば・・・いいの?」



エルダは頷いた。



「・・・だったら・・・手は・・・あるけど?」



「本当か、アオイ!」



エルダは席から立ち上がり、アオイに詰め寄った。



「・・・うん。・・・でも・・・私1人じゃ・・・無理。」



「では、何人いるんだ?」



「・・・普通の・・・人じゃ・・・無理。」



そして、アオイは、ヒロとミサキ、そしてエルダを順番に見た。



「なるほどー。そういうことかー。確かにそれなら出来るかもねー。」



真っ先にミサキがアオイが何を言いたいのか気付いた。



「何ですか、ミサキさん?」



「まぁー、ここでは何だから、酒場にでも行って話しましょ。」



こうして、ミサキ達は、城を出て冒険者組合の酒場へと向かった。



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