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135 ヒロ in ガジール山脈(1)

登場人物


ヒロ・・・『パンプキン・サーカス』のメンバー。


ミュミュ・・・白ウサギ族。日々ヒロにたかり続ける。兄が行方不明だが、別に深刻な意味ではない。


レキエラ・・・人間。レキエラ・ヴァン・ホーエンハイム。元ホルメスト王国の将軍。現在は、エストで兵士と衛兵のまとめ役をしていると言っても少人数のため、特に大変ではない。むしろ、夜のジュリの相手の方が大変だと嘆いていたとか嘆いてないとか。一応、こう見えて、伝説の英雄クラスの人物。


シリル・・・黒ウサギ族族長。黒ウサギ族は代々女性が族長を継ぐため、シリルも女性。女性に年齢を聞くのは失礼だが、それほど歳がいっているわけではない。さすがに20代は過ぎているが、・・・。


ガドンガル・・・ドワーフ。元傭兵ギルド『抗う心臓』の設立メンバー。『不倒のガドンガル』として知られていた。



ヒロは、ハルム村に到着してすぐにドワーフ達にポーションを配った。



それにより、ドワーフの傷は癒えたのだが、ポーションでは心の傷までは癒すことはできない。



明らかに暗い雰囲気の中、ヒロ達は、ドワーフに状況を聞いていった。



それにより、最初に得ていた情報以外にも、サイラス伯爵の3男が関わっているということがわかった。



レキエラは、村長にラインベルトの伝言を伝え、次の日にドワーフ達をとりあえず、エストに非難させることなった。



ハルム村の住民も出来る限り避難するようにラインベルトは言っていたのだが、エール酒の管理があるので村人の方から断ってきた。



少量しか生産していないとはいえ、エール酒の製造にプライドを持っているのだ。



ただ、さすがに同じ国民であるハルム村の住民を攻撃するとは考えにくかったので、レキエラもそれを了承した。



次の日、ドワーフ達をハルム村から送った後、ヒロとレキエラ、ミュミュ、シリル、そして、ドワーフ族の中から唯一ガドンガルの5人でガジール山脈を登っていた。



ガドンガルは、ガジール山脈にある坑道にヒロ達を案内するために自ら申し出たのだ。



ガジール山脈の麓までは、馬車で来たのだが、その馬車はハルム村の住民がすでにハルム村まで乗って帰っている。



ガジール山脈の麓あたりは、ガジール山脈のワイバーンが飛んでくることが稀にあるので、馬車の馬はワイバーンにとっていい食料になり危険なのだ。



ドワーフから集めた情報で、坑道のハルム村方面は潰したということを聞いたので、仕方なく、ガジール山脈に出る坑道の方へ向かっているのだ。



「あれが、ワイバーンか。」



ヒロは、空を見上げると、ワイバーンが1頭、空を飛んでいるのが見えた。



このガジール山脈の奥地にはワイバーンの巣があるらしく、たまにハルム村の方まで飛んでくることがあるらしいとは聞いていたのだが、こうして実物のワイバーンを見たのは初めてだった。



幸い、まだ、多くの木が茂っている地域なので、ワイバーンに見つかる可能性は低いが、山の上の方に行くと木が少なくなるので、ワイバーンからも簡単に見つかってしまう。



そのため、なるべく木が生い茂っている箇所を歩いているのだ。



「あと、どれくらいで坑道の入り口に到着するのだ?」



「そうだな。あと1時間も歩けば到着すると思うぞ。」



レキエラとドワーフのガドンガルが話しているのが、先頭を歩くヒロの耳にも届いた。



このメンバーだと、先頭は、盗賊系のヒロか、暗殺者であるらしい黒ウサギ族のシリルになるのだが、ヒロには盗賊系のスキル『サーチ』という魔物が近くにくると分かるスキルがあったので、自ら先頭を歩くことを申し出たのだ。



現在、ヒロは、盗賊スキルの『サーチ』と使ったままで歩いているのであった。



「左に魔物がいます。ちょっと右にずれますね。」



ヒロは、魔物を避けながら歩いていたので、今まで、魔物に出会うことはなかった。



狩りに来たのなら、魔物と戦ってもよいのだが、今回は、偵察という任務だったため、なるべく騒ぎを起こさないように進んでいるのだ。



結局、一度の魔物と戦うことなく、ヒロ達は、坑道に到着することが出来た。



しかし、案の定、坑道の前には、2人完全装備の兵士が立っていた。



それを予想して、少し距離のある場所でまず坑道の入り口を観察していたのが功を奏した。



「どうしますか?」



「今回は、偵察任務ということだからな。できるだけ、兵士と戦うのは避けたいものだが、常に坑道の入り口を見張られておるとそういうわけにもいかんか。」



ヒロが、後ろにいたレキエラに尋ねると、レキエラは困ったような顔をしていた。



「夜になれば、2人くらい私なら音も出さずに殺せるぞ?」



「音をさせてもよければ、ワシが真っ二つにしてやってもよいが?」



「ご飯まだですかね?」



ヒロは、シリルとガドンガルには、今回は殺さないようにということですのでと告げて、ミュミュは完全に無視した。



というか、何故ミュミュがこの場にいるのかもヒロは理解できずにいたが、黒ウサギ族の族長シリルが言うには、ミュミュはこの場にいるのに何らおかしくない実力があるらしかった。



ただ単にヒロと一緒にいつもいるからというわけで連れてこられたわけではないらしい。



「真正面から戦えば、私でも勝てないだろう。」



これがシリルのミュミュ評だった。



ただ、その言葉を聞いていたミュミュが「歳には勝てませんからね。」とシリルに笑顔で言ったために、ミュミュはシリルによって、こめかみをグリグリされていた。



「い、痛いです。何故、真実を言ったミュミュがこんな仕打ちをうけるのかわからないです。あっ、もしかして、更年期障害って奴ですか?そうなんですか?確定ですか?」



懲りないミュミュは再びシリルにこめかみをグリグリやられて叫んでいた。



なんでも、クリオラの森で2年に1回開かれる祭りの中で各部族が2~3名代表者を出して戦う大会を開催していたのだが、その大会の最新の優勝者がミュミュだったらしい。



ただ、あくまで、武器なしの戦いのため、武器を使えばまた変わってくるかもしれないということであった。



「あれは、優勝商品が、ノーマルブル1頭だったので、ミュミュも必死でした。」



どうやら、ミュミュは商品目当てで頑張ったということだが、頑張って優勝できるようなものではないので、ヒロは素直にミュミュを見直した。ただの役立たず大食い白ウサギと思っていたことを。



「まあ、戦うことになればわかるが、・・・いわゆる天才って奴だ。」



「・・・天然の間違いではないですよね。」



「・・・天然の天才がぴったりくる言葉かな。」



まあ、できればミュミュが戦う必要がない方がいいと思いながらも、シリルの言葉にちょっとミュミュの戦いに興味を引かれるヒロであった。


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