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121 逃亡者ローマン~許されざる者達の逃避行~

ローマンが現在いる場所の遥か下にタークースライムとフロレンツ伯爵領の都市フローラが一望できた。



「うん、いい眺め。」



満足そうなシーニュ。隣にはブルブルと震えているローマンがいた。



「な、な、な、何なんだ、これは・・・・。」



どうやら、ローマンは高所恐怖症だったらしい。唇まで真っ青になっていた。



「それじゃ、ちょっと待っててくださいね、ロマ兄。すぐ終わりますから。」



シーニュは、杖のガラス球のようなものがついている方を前に出し「・・・【起動、『神領入改の杖』】。」と言った。



すると、杖の先のガラス球のようなものが光を発し、シーニュのちょっと前方に直径1mくらいの光の球が現れた。



「・・・【展開、『光魔法 レイ』。】」



すると今度は、光の球の中に魔法陣が現れた。



ちなみに光魔法レイは、攻撃の光魔法の中でも最下級の魔法である。



「・・・【操作、目標物設定『タークースライム』、範囲設定『タークースライム、プラス1m』、威力設定『7(セブン)クラス』】。」



シーニュの前方の光の球の中には、シーニュの言うことに反応して魔法陣が増えており、すでに魔法陣は4重層になっていた。



「ロマ兄、結構、反動来るかもしれないですから、私の背中に掴まって下さい。」



言われるがまま、ローマンは、シーニュの背中側から掴まった。



「さあ、いきますよ!【発動、『神領入改の杖』】。」



シーニュが言ったと同時に中に4重層の魔法陣があった光の球が、勢いよく飛んでいき、タークースライムの遥か頭上で止まった。



そして、光の球が弾けたと思ったら、そこに巨大な4重層の魔法陣が現れた。



そして、魔法陣の輝きが次第に増していき、4分後、もの凄い輝きの光線が直下にいたタークースライム目掛けて、降り注いだ。



チュン・・ブオォォォォォッォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーー・・・・・・。



まさに一瞬だった。



光が落ちたと思ったら、次の瞬間には、もの凄い土煙が遥か上空まで吹き上がっていた。



ローマンが眼下を見た時、すでに下は土煙だらけで、どこに何があるのかさえ判別できなかった。



「な、何だ・・・これは?」



あまりの光景に言葉を失うローマン。



「えっ、魔法ですよ?」



普通に返す、シーニュ。



ローマンは、シーニュを見て、何か自分とは別の存在のように思えていた・・・。



シーニュが使った『神領入改の杖』は、VRMMO『グランベルグ大陸』内で知られた神級アイテムのひとつだった。



魔法を改変することが出来、また、今回はその能力を使わなかったが、魔法を組み合わせて新たな魔法へと変化させたり、魔法を操作できるチートアイテムのひとつだった。



そんなことを知らないローマンには、ただ、神か悪魔の力としか思えなかったのだが、それは仕方がないことだろう・・・。











その夜、ローマンとシーニュは、フロレンツ伯爵領フローラから、かなり離れた場所にある森で休んでいた。



なぜこんなことになったかというと、シーニュが放った魔法の威力が大きすぎて、見事にタークースライムの側にあった城壁まで吹っ飛ばしていたのだ。



城壁を壊されないように魔物を倒すつもりだったのに、こっちが粉々に城壁を破壊することになるとは思わなかった。



しかも、魔法はタークースライムに直撃したのだから、城壁の破片は、見事は都市の内側に飛んでいる。



「・・・下手したら、大惨事だな。」



ボソッとローマンは呟くが、ローマンの膝を枕にしているシーニュは目を覚まさなかった。



やはり、あの魔法は結構疲れた様子だった。



本人曰く、あの魔法は本来は発動までに9分くらいかかるものだったらしい。



でも、魔力を多く注ぎ込むことにより、4分で発動するようにしたらしい。



そのため、魔力消費の多かったシーニュは、こんなに疲れてしまったわけだが。



ノータイム発動もできたらしいのだが、それをやると疲労困憊になるので、それはやらなかったらしい。





そして、ここまではフライと途中から歩いて、フローラの人間に見つかる前に逃げてきたが、ここでシーニュがもう歩けないとだだをこね。仕方なく、ローマンの膝の上で寝させているのだ。



「さて、この後、どうするか・・・。」



たぶん、顔を見られてはいないはずだが、出来るだけ、遠くに逃げようとローマンは決心していた。



こうして、ローマンとシーニュの逃避行が始まった・・・。

魔法について、この回を書いている時に少しまとまってきたのでちょっと書いておきます。


基本、魔法は1(ワン)クラス~8(エイト)クラス+オーバークラスに分別されます。


強い魔法が8(エイト)クラスの方です。


今回は、通常1(ワン)クラスの魔法を7(セブン)クラスまで格上げしています。


なぜ、最初から7クラスの魔法を使わないで、1クラスの魔法を7クラスに格上げして使ったかというと、城壁のすぐ側だったので、単純で狙いやすい魔法がこれだったというだけです。


城壁破壊してますので、まったく意味はなかったですけど。


あと、魔力を多く込めることにより、ノータイムで魔法が放てるとしておきます。


ですから、魔力を通常量しか込めないと、クラスが上がるに従い、発動まで時間が掛かるという仕組みです。


一応、こんな感じで魔法については進めていこうと思います。


なお、シーニュのいたギルド『エル・ブランシュ・アンジュ・フォル』は、『グランベルグ大陸』内で魔法攻撃力では有数のギルドです。


多くの魔術師を抱えており、広範囲にわたる攻撃力では最高クラスのギルドという評価でした。


まあ、このギルドもいろいろと問題児の多いギルドだった予定ですけど、ギルドマスターであるシーニュは、その中では割とまともな予定です。

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