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118 監視は、監視対象者に悟られないことが一流の条件である。(監視している場合のみ。)

ローマンが王都を出発した日の王宮のある組織の話です。


ローマンが王都を出発した日の夕方、王宮にある国王直属の組織『影翼』では大騒ぎになっていた。



「何で誰もローマン様の監視についていないんだ?」



上司の男が、部下の男が向かい合って立っていた。



「それが、ローマン様の性格上、きっちり蒼翼騎士団に挨拶をした後で出発するものと思っていたら、いつの間にか、王都を出発していましたので。」



部下の男は、ちょっと苦笑いしながら、上司に報告した。



「そんな言い訳を国王陛下にできると思うのか?」



部下のそんな態度に上司の男は呆れた様な顔になった。



「ですが、それが事実ですので。」



まったく悪びれない部下の男。



「・・・どうするんだよ、これ?」



上司は頭を抱えた。



「どうするんですかね、これ?」



まったく悪いと思っている様子のない部下。



「俺のミスになるんだよな?」



「そうでしょうね。」



部下は当然の如く言い切った。その返答に一瞬の躊躇いもなかった。当然だ、自分は悪いと思ってないのだから。



「何でお前のミスなのにお前は他人事なんだよ。」



必死に怒りを押さえ込みながら、出来るだけ冷静に部下に問う上司の男。



「いえ、どうせ怒られるのは俺ではありませんから・・・実際、他人事ですし。」



どうやら、この部下の男は、言っていいことと悪いことの区別がついていないらしかった。



「もういいよ。急いでローマン様の行き先を探せ。」



部下の男に誰が悪いのかを理解させることを上司の男は諦めたらしい。



「・・・今日ですか?」



部下の男の顔には、嫌だという感情がありありと表れていた。



「・・・今日だと何か問題あるのか?」



必死に自らの感情を抑える上司の男。まさに、パワハラを嫌う上司の鏡である。



「いえ、実は、今日、王宮のメイドと7時から合コンでして。」



部下の男には、笑みというかエヘッという言葉がピッタリの表情が顔に張り付いていた。



「・・・・。」



「・・・・。」



「今すぐ、探しに行け!」



ついに部下の男を怒鳴りつける上司の男。



上司の男は怒髪天というのが相応しい表情だった。



「はいぃぃぃぃぃ。」



あまりの上司の男の怒りに部屋を飛び出していく部下の男。



そんな部下の男を見ながら、上司の男は頭を抱えていた。



日本だろうが、異世界だろうが、世代が違えば、相手の考えていることが理解不能なのは同じだった。



要するに、ローマンは誰も監視がついていないのに、監視に気を使って行動していたのだ・・・。



さすが、王子で一番気が利く男ローマンである。いない監視にまで気をつかえるとは、まさに出来た人間だった。・・・一歩間違えれば、マヌケな人間ということは、ローマンの名誉のためにも言わないでおこう・・・。



今日の更新はここまでの予定です。


明日の更新は、1回か、2回する予定ですが、ちょっと仕事の関係でどの時間帯にできるかは不明です。


もう少しだけ、ローマンとシーニュの話が続く予定です。

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