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111 ラインベルトとディートヘルム

登場人物


ラインベルト・・・ラインベルト・シュナイゼル・エストラ男爵。12歳。かわいい。


エルダ・・・エルダ・リ・マルクーレ。『パンプキン・サーカス』のメンバー。ショタ。


ディートヘルム・・・元王子。今はディートと名乗っている。ちなみに中の良い街の住民には前からディートと呼ばれている。ディートと呼んでいる住民には王子と思うなと言っていたので、ディートと呼びかける街の住民は、王子ではなく普通の口調で話しかけてくる。


グラハム・・・元ディートヘルム付きの騎士。


トカゲ専門店のリザードマン・・・今は、特に今後出す予定はなし。よって深く考えないでください。ちょっと出してみただけです。気が向けば、またリザードマンを出すかも。


翌日、ラインベルトとエルダは、一度、王宮を訪れて、エストラ男爵領への住民の勧誘の紙に書く言葉を係りの者と打ち合わせをして、その後も夕方近くまで、様々な打ち合わせをした。



エルダもラインベルトと一緒に打ち合わせにいたのだが、今回は昨夜と違い、一言も口を出すことはなかった。というか、ラインベルトには、分からなかったが、非常にエルダの機嫌が良く、終始ニコニコとしていた。



夕方まで打ち合わせが伸びたことで、当初、王都を今日出る予定だったラインベルトとエルダは、翌日出発することにして、どこかで夕食を取ろうと、夕方の王都の歓楽街を歩いていた。



さすがに王都だけあり、様々な店や屋台が所狭しと出ており、それにも関わらず、どの店も少なくない人数が入っていた。



「見てよ、エルダ!あの店、リザードマンがいるよ。」



その店は、トカゲ専門店と出ており、どうやらトカゲ料理を出す店らしかった。



「トカゲ専門店に・・・リザードマン?リザードマンを食べるのか?」



不思議そうな顔をしたエルダにラインベルトが説明をしてくれた。



「違うよ、エルダ。リザードマンの多くいる地域は、シャナール聖王国のさらに東の砂漠地帯にいて、その砂漠地帯では、多くのトカゲの魔物が砂漠のオアシス付近に生息しているんだ。だから、リザードマンの主食はトカゲの魔物なんだよ。」



「ほう、トカゲがトカゲを食べるのか・・・共食い?」



「共食いじゃねぇーぞ。俺達、リザードマンは、トカゲ、いわゆる砂トカゲも食うが、本当は魚が主食だったんだよ。でも、砂漠化が進み、魚が取れなくなってきたから、トカゲを食べるようになったんだ。」



トカゲ専門店に入ろうとしていたリザードマンの男が説明してくれた。リザードマンの発音は思ったよりもハッキリしていた。



「す、すいません。」



ラインベルトは、顔を真っ赤にしながら、リザードマンに謝った。



「いや、気にするな、坊主。みんな、口に出さないだけで、思ってることだからな、シュシュシュシュシュ。良かったら、食べていくかい?安くしておくぞ。」



どうやらシュシュシュシュシュシュという音は、リザードマンの笑い声らしい。



「どうする、ラインベルト?」



「いえ、申し訳ありませんが、今回は遠慮させていただきます。」



こういう時は、絶対に断らないラインベルトが珍しく断った。



「そうか。じゃあ、気が向いたらいつでも来てくれ、シュシュシュシュシュ。」



そういい残して、リザードマンは店に入って行った。



「別に私は、ここでもよかったのだぞ?」



「ごめん、エルダ。さすがにちょっとトカゲを食べるのは・・・抵抗があるというか何というか・・・。噂では白身の魚みたいで美味しいらしいんだけどね。」



エストラ男爵領の近くには、トカゲ系の魔物は居らず、トカゲ系の魔物を食べる習慣もないのだ。



「まぁ、これだけ店があるんだ。ラインベルトの好きな店に行こう。」



エルダとラインベルトは再び歩き始めた。



その2人の前から、男性2人組が歩いてきた。



元王位継承権第4位のディートヘルム・イーヴォ・フォン・アリステーゼとそのお付きの騎士であったグラハムである。



現在は、王位継承権を取り上げられている上に貴族籍も取り上げられているので、ディートと名乗っていた。



グラハムも、騎士団を辞めており、今は、ただの友人として、ディートに付き添っていた。



そんなグラハムの歩みが急に止まった。



「どうしたグラハム?」



隣を歩いていたグラハムが止まったことに気付き、ディートが振り返った。



「あれを・・・。」



グラハムが指差したところには、ラインベルトとエルダが歩いていた。



「んっ?あの2人組がどうし・・・んっ?何だ、あの子供どこかで見たことがあるような顔だな?」



ラインベルトの顔を見たディートが考え込んだ。しかし、いくら考え込んでも答えは浮かんでこなかった。



「グラハム、お前、どこかで見た覚えあるか?」



「・・・はい、あります。10年くらい前に。」



「10年前・・・俺が15歳の頃か・・・駄目だ、そんな前のこと覚えてねぇーよ。」



頭を掻きながら、お手上げとばかりに両手を挙げるディート。そんなディートにグラハムが言った。



「15歳の頃のディート様にそっくりです。」



「えっ?」



ディートは驚きのあまり動きを止め、再度、ラインベルトを見るが、向こうもディートに気付き、驚いた顔で固まっていた。


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