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102 変態は変態を知る。

登場人物


エルダ・・・エルダ・リ・マルクーレ。『パンプキン・サーカス』のメンバー。ラインベルトの騎士。ショタ。


ラインベルト・・・ラインベルト・シュナイゼル・エストラ男爵。12歳。


ルーベル爺・・・ラインベルトの執事。


パスカル・ラルフ・フォン・アリステーゼ・・・元王位継承権7位の元王子。現在、平民。


エミーリア・ティア・クライファート・・・元パスカルお付きの騎士。薔薇騎士団。クライファート伯爵家の3女。ショタ。


夕方になり、エルダは、前もってルーベル爺に聞いておいた王都のホーンブル専門店にラインベルトを誘った。



そのホーンブル専門店は、昔からある老舗で、ルーベル爺が今ほど歳を取ってないころ、前のエストラ男爵と王都に来るたびに寄っていた店ということだった。



「ラインベルト、実は、この宿屋の近くにいいホーンブル専門店があるらしいのだが、一緒にディナーと洒落こまないか?」



「駄目ですよ、エルダ。無駄遣いは敵です。」



お前はいつの時代の人間だという台詞を吐くラインベルト。



「そ、そうか?」



「そうです。この宿屋に併設されている酒場で食べれば十分です。それに、ホーンブルなら前にヒロさんが食べさせてくれたので、それほど・・・あれ、エルダ?」



エルダの目には、少し涙が浮かんでいた。



それに気付いたラインベルトは焦った。まだ、12歳のラインベルトにはこういう時どうのようにすればいいのかわからなかった。



「エルダ、そ、その泣くほどでは・・・。」



「いや、気にしないでくれ、ラインベルト。私が悪いんだ。ひとりで浮かれて・・・間抜けだな、私は・・・。」



ラインベルトに背を向け、肩を震わせるエルダ。



「あっ、ごごめんなさい、エルダ。僕は、エルダを泣かせる気はなくて・・・そうだ。せっかく、王都まで来たんだし、1日くらい無駄遣いをしてもいいですよね。今日は特別ということで、そのホーンブルの店に行こう。」



「そうか。では、ラインベルトの気が変わらないうちに出発しよう。」



「あれ?エルダ、泣いていたはずでは?」



ラインベルトの疑問など関係ないとばかりに、困惑するラインベルトを抱え上げて、宿屋の部屋からいそいそと出て行くエルダ。彼女の顔に涙の後など見られなかった。



エルダ・リ・マルクーレ、彼女も日々成長しているのだ。しかも、その教師役はエストラ男爵家伝説の執事と言われることになるルーベル爺である。12歳のラインベルトには、相手をするには、まだ肩の荷が重かった。






ラインベルトとエルダが、ホーンブル専門店に着いた時、ちょうど店の中から男女の2人が店を出てきた。



出てきたのは、元王位継承権第7位のパスカル・ラルフ・フォン・アリステーゼとお付きの騎士であったエミーリア・ティア・クライファートであった。



パスカルとエミーリアは、王都での最後の晩餐として、このホーンブル専門店に来ていたのだ。



エミーリアとエルダは、すれ違う瞬間、一瞬だが、お互いの目があった。



そして、エミーリアとエルダは、お互いに歩くのをやめ立ち止まり、お互い見つめあった。



「どうしたの、エミーリア?」「エルダ?」



パスカルとラインベルトは、お互い、何故、エミーリアとエルダが立ち止まったのか分からず困惑していた。



しかし、しばらくした後、エミーリアとエルダは、お互い涙を流しながら、両手で固く握手を交わした。



その間、エミーリアとエルダの2人は一言も会話を交わしていない。



20秒ほどであろうか、エミーリアとエルダは、固い握手を交わしていたとは思えないほど、あっさりと手を離し、お互い背を向け、エミーリアは、「行きましょう。」とパスカルに言い、歩き始めた。



その後、エミーリアとエルダの2人は振り返ってお互いを見ることはなかった。



エルダは、先ほどとは違い、本当に肩を震わせ、泣いているだけだった。



「どうしたんだい、エルダ?」



心配そうにエルダの顔を覗き込む、ラインベルト。



「大丈夫だ、ラインベルト。ただ、・・・ただ、今、我、終生の友を得たり・・・。」



ラインベルトには、エルダが何を言っているか理解できなかったし、理解する必要もなかった。



ただ、同じ特殊な性癖を持った2人が出会い、そして、別れただけなのだから・・・。



この後、この2人が再び出会うことがあるのかは、神のみぞ知ることであった。


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