少女と世話焼き
作品あとがきにて、次話投稿は一週間後と記していました。
ですが、私の不摂生が集り風邪を引いてしまいました。
なるだけ早く投稿できるように善処いたしますが、遅れが生じますことをここにお詫び申し上げます。
レファ達と暮らすようになってから丁度3週間くらいが経った。
いろいろ気持ちの整理がついて周りが見えるようになって来たところだ。
そしてその間に観察を続けていていくつか分かったことがある。
まず、レファ達は僕を除いて5人で暮らしていたということだ。
この傭兵団のリーダーだというフェーリス・僕を助けてくれたレファ
左目が見えないセイラ・食いしん坊なクレハ・寡黙でちょっと怖いデアン…この5人。
種族のことも付け足すとフェーリスとレファは獣人。でも、半獣と言った方が近いらしい。
セイラとクレハは姉妹でエルフ。ハイエルフだって言ってたけど、よく分からない。
デアンは僕と同じで人間。人種族って言った方が良いのかな?この中で唯一の男の人でもある。
次に分かったのは、今、この世界は戦争中だってことだ。
5つの国が覇権を手に入れようと戦争をしていて、もう1年近く続けているって聞いた。
だから、僕が全部失ったことなんかとは比べられないくらい酷い悲劇が毎日起こっている。
村ごと焼き払われたり、遠征中に奇襲を受けて全滅したり、仲間に裏切られるなんて日常茶飯事。
どの国も攻めあぐねている状態だから無駄に兵だけが減っていくってレファが教えてくれた。
戦争のことを知らないと最初に話した時は驚かれたけど、話しているうちにどういう訳か納得したように頷かれてしまった。
どうにも、この世界では時々外の世界からやってきたという人が現れることがあるらしい。
レファ達が言うには戦場でもそういう輩を何人か見たというので間違いないのだろう。
ということは僕もその1人になるということだ。
これが分かったことの3つ目。ここは僕が元々居た世界とは違う場所らしい。
聞いて思い返すのは簡単だけど、理解は出来ていない。急なこと過ぎて全部夢何じゃないかって思えてしまう。
「……あ、あの…セイラ?」
でも、急いで考えたって答えが出る訳じゃないから…今は別のことをしてみようと思う。
まずは会話、かな。この3週間レファとしかまともに話していない気がする…
だからまず話しやすそうな雰囲気のあるセイラに話しかけてみた。
「ん、どうかしましたか?レファ姐とフェリ姐ならもうじき戻ると思いますよ?」
そう。今、レファとフェーリスは見張りに出ている。ついでに夕食のネタでも見繕ってくるとも言っていた。
でも、僕が言いたいのはそういうことじゃない。
「違うの。その…あの……」
やっぱり、レファが傍に居ないと落ち着かない。
セイラは優しく僕を見守りながら次の言葉を待ってくれている。
「その、目……どうしたの…?」
「これ、ですか?…あはは、どう説明したものでしょうね。」
セイラは少し困ったように自分の左目に手を当てた。
気になっていたけど、なかなか聞けなかったことだ。やはりどうしても気になってしまっていた。
「これはですね…自業自得と言いますか…自分で撒いた種を枯らさなかった結果なのですよ。
今からどのくらい前でしょうね。ええと……400年前ですか。
悪い精霊に体を乗っ取られそうにって、いきなり話しても分かりませんよね。」
その通りだ。御伽噺でエルフは長寿だって読んだけど流石に感覚が違い過ぎる。
それにいきなり精霊だのと言われても想像がつかない。ここは御伽噺の中なんだろうか?
「その様子だと、精霊の話からした方が良さそうですね。
見せた方が早いかな。…よく見ていてくださいね?」
僕の様子を見てセイラが助け舟を出してくれる。
差し出してきた右手を見つめていると…緑色の光の珠が音も無く現れた。
僕が驚いているとその光は浮かび上がりセイラの周りをクルクルと回る。
「ふふ、驚きました?これが精霊です。
これは風の精霊でしてね。こんなことも出来るのですよ?」
光が強くなったかと思うとテントの中に風が流れ込んでくる。
ううん、違う。目の前のこの光から風が流れているんだ!
「これが…精霊?…凄い…凄いよ!」
「そこまで驚いてくれると私も嬉しくなってしまいますね。
ですが、話はここからですよ?私の目のことを聞きたいのでしょう?」
「あ…うん。そうだった…えと、どうしてなの?」
魔法…なのかな?実際に目の前で見たせいか、つい嬉しくなってしまった。
セイラがそんな僕を見てまるで自分の子供を見るような目をしている。
……そんなに子供っぽかったかな?
「ふふ、やっとまともに感情らしい感情を見せてくれましたね。
少しずつ落ち着いていけているようで良かったです。
…と、また話が逸れましたね。こほん。今、精霊を見せましたね?
あれは私が契約を交わしている精霊。精霊とはですね、この世界に無数に存在しているのです。
中には悪霊と呼ばれるものもいます。そして、この目は…」
「乗っ取られた時に奪われちゃったの?」
「うーん、惜しいですが、間違いです。
私の体から切り離す為にわざと犠牲にしたのですよ。」
セイラは僕のことを密かに気にかけていてくれたみたいだ。
嬉しい筈なのに何故かムッとしてしまって先に答えを当ててやろうと思った。
でも、失敗したみたいだ。…あれ、いつの間にか普通に話せてる?
「どうして、犠牲になんてしたの?セイラならそんなことしなくても…」
「うーん。どうだったでしょうね?もう400年も前のことですし…
当時はこれが最良でこの手しか無いほど追い詰められていましたからね。
やはり、思い返してみてもこうするしかなかったと言わざるを得ません。」
そういって困ったように笑う。
昔のことを聞いてみたいと思ったけど…何だか踏み入ってはいけない、そんな気がした。
「おーい!今戻ったよー?」
フェーリスの声だ。見回りから戻ってきたのだろう。
僕は声のする方に視線を向けたまま問いかけた。
「ねぇ、セイラは僕のこと…邪魔だって思わない?」
…多分、これが本当に聞きたかったこと。
僕はここに居てもいいのか。答えが怖くてずっと聞けずに居たけど、今なら。
「何を言っているんですか。そんなこと思うわけないじゃないですか。
アナタは私達の仲間で、私にとっては娘のようなものなのですよ?……迷惑…でしたか?」
「……ううん、嬉しい。」
そういってギュッとセイラの手を握った。
でも、僕からみたらセイラは……姉様、かな。
まずは謝罪からです。投稿が遅れて申し訳ありませんでした。
違うんです。やっと時間に余裕を持てたのが日曜日の夜だったんです。ギリギリ間に合わなかったんです⋯
あ、それとですね。改変してUPって最初に書いてたんですけど⋯
元々SSとしてあったのは第一部だけで第二部からはオリジナルだったりするんです、はい。
⋯次の投稿は一週間後を予定しています。次は守ります。はい。