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幕間「黒龍と人里」

黒龍オグマ君がレーテと別れた後のお話です。


 俺様は黒龍オグマ、俺様に朝昼夜という概念は無い。食べたい時に食べ、寝たい時に寝る。それが俺様、オグマである。


 今日も元気に西へ向かう。そう、全てはレーテヴァイル様に蹴ってもらうため。


 森で兎の魔物を焼き、齧りながら考える。


「人里を避けていたが、レーテヴァイル様に会うには人里に行かねば会えぬのではないか!?」


 そう思い立ち人里へ向かう。そうこう走っていると人の匂いがしてきた。


「ふむ、あれは間違いないな!フハハハハ!さすが俺様!!」


 ズザザー!と門の前に止まる。すると何やら人間がたくさんいる。こいつらも中に入りたいのか?何故入らないのだ?まあいいか、俺様は入るぞ。


 ズンズンと門に進むと何やら弱そうな人間が俺様に話しかけてきた。


「そこの止まれ!お前だ!黒い鎧のお前!シリオンの街に入りたくば列に並ばぬか!」


 何だこの偉そうな人間は?俺様に言ってるのか?思わず威圧を放ってしまう。


「ヒッ!お、お前!ルールも守れぬのか!」


 ふむ?ルールとな?レーテヴァイル様も人間……人間のルールは守るべきか?


「しょうがないな、従ってやろう。レーテヴァイル様に感謝するのだな!フハハハハハ!!」


 俺様はレーテヴァイル様のために、この列にも並んでくれるわ!フハハハハハ!




 …………なかなか進まないではないか!前は何をしているのだ!!


 俺様のイライラが増加していく。もうこいつら全員殺せばいいのではないか?いや、それでは人間のルールに反するか?でも弱い者は死ぬべきだろう?んー……やはり殺そうかな。


「キャー」


 何やらうるさい声が聞こえて振り返ると美味そうな人間のメスが……不味そうな人間のオスに囲まれている。


「大人しくしろ!ちょっとこっちでお話しようぜ」


「へへへ、ボス、俺からでもいいよな?いいよな?」


「ばっか!俺からにきまってんだろ」


「やめてくだされ!娘は!誰か!!」


 こいつら発情でもしてるのか?不愉快だな俺様の目の前で何を考えているのか。


 ズンズンと俺様は奴らに近づいていく。


「あん?何だ優男?どっかいけよ…ぶっ!」


 無礼な奴め、俺様は無礼な奴を殴り飛ばしてやった。他にも何やら叫んで向かってくるのが2匹ほどいたからそいつらも殴り飛ばしてやった。


 もう1匹、人間のオスがいるが……これは違うか?振りかぶったコブシを収めると何やら叫び出した。うるさいなこいつ。


「あ、ありがとうございます!!これは少ないですが御礼です!」


 叫び終わると何やら金色の金属を押し付けてきおったわ。俺様は金属は好きではないのだがな。まあもらえばうるさくしないならもらっておいてやろう。だが次うるさくしたら容赦はせぬぞ!


 俺様は元の列の場所に戻る。人間を殴り飛ばしたからかイライラもだいぶ収まったようだ。しょうがない、殺さずに待ってやるとするか。


 俺様の番がようやく来た。しかし、かーどを見せろとか言ってくる。何だかーどとは!


「そんな物は知らん!!」


「知らんってあんたねぇ……じゃあ、通行料として5,000ギールだよ。カードも作ってやるから。ほら、払いな」


「ごせんぎーる?何だそれは」


「はあ?ギールを知らない!?金だよ金!あんたそんだけ生きてきてギールを知らないとか冗談だろ!?」


 むう、何だこの無礼な人間は殺してしまうべきか……そうだな、もうめんどくさい。殺そう。


「お待ちくだされ!さっきの方、私が先ほど渡したのがお金でございます。金貨で100,000ギールなので払えば通れますぞ!」


 ふむ?先ほどの小さな金属がぎーるというものか?無礼な男に金貨?を渡してやる。


「金貨かよ……ちょっと待ってろ。両替が出来ねえ」


 無礼な男はどこかに行ってしまったので通ろうとしたら他の者が止めにかかってくる。ええい、何だ!俺様の邪魔ばかり!!そう思っているとさっきの無礼な男が戻ってきた。


「何やってんだ?ほら、これお釣りだ。袋も無さそうだから用意してやったぜ?」


 そう言うと無礼な男は袋を俺様に渡してきた。中を見ると銀色の金属が大量に入っていた。何故増える?あの小さき金属が増えたぞ?意味がわからんぞ。


 俺様が首を傾げていると無礼な男がまた金属を押し付けてきた。少し大きいが次は何だこれは!


「ほら、カードだよ。ステータスって念じて魔力を通せばいいから」


 なるほど、これがかーどというものか。俺様の魔力を欲するとはな!生意気な金属め!!ふん!



氏名:オグマ

種族:龍族

性別:男

年齢:1,785才

職業:サッカーボール

Lv:327



 ふむ……読めんわ!フハハハハハ!俺様は無礼な男にかーどを渡してやる。


「何々?え……龍族!?まさか、あんた龍人族か!?すげー初めて見たぜ!1785才にレベルも327ってすげー!!ん?職業は聞いたことないな……サッカーボール?」


 何だ無礼な男もうるさいな。殺そうかな。


「まあいいや!龍人族だったらカードや金を知らねぇのもしょうがねぇかもな!あんた、いや、オグマさんは何でシリオンへ?」


「うん?レーテヴァイル様を探しているのだ!お前レーテヴァイル様を知らないか?」


「レーテヴァイル様?うーん、知らないな。悪いなオグマさん」


「そうか、知らんか。ここは通っていいのだな?通るぞ?」


「あぁ、どうぞオグマさん。そしてようこそシリオンへ!」







 ふむ、街というのはよくわからんが美味い物があるのはいいな。


 さっき俺様は美味そうな匂いがしたのでそれを辿っていくと木の棒に刺さり焼かれている肉の前に辿り着いた。


 そこで焼いている人間に俺様にも寄越せ!と言うと1本200ギールとか言うので銀色の金属を1枚渡すと大量の肉をくれた。この人間は良い人間だな。


 それにしても美味い肉だ。焼くと美味いのは知っていたが、このタレというものがかかっているから美味いのだとあの人間は言っていた。


 しかし、こんな金属で肉と交換出来るとは人間は何を考えてるのだ?肉と金属、比べるまでもなく肉だろう!まあ、俺様に都合がいいからいいか!フハハハハハ!


 俺様が肉を両手いっぱいに持ちほおばっているとうるさい鐘がなり出した。さらにはうるさい人間までも叫んでいる。


「大変だー!!お、オークの群れがシリオンに向かっている!数は……3,000強!それにオークキングが居るらしい!!」


「そ、そんな……」


「いやーーー!!」


 わーわーきゃーきゃーとオーク如きでうるさい人間共だな。お前らもこの肉を食えば黙るだろうにな。やらんがな。フハハハハハ!


「おい!あんた!あんたも逃げな!北の神殿の方が最終防衛ラインになるらしい!」


 変な人間が俺様に話しかけてきた。肉はやらんぞ?と思ったら俺様に逃げろと?オーク如きで?


「お前何を言っているのだ?俺様がオーク如きで逃げるわけがないだろう?それにオーク如きに何を恐れている?」


「オーク如きってあんた……知らないのか?オークはDランクの魔物だが強い固体になるとBランク以上も出てくる。今このシリオンに向かっているのは3,000強の軍隊だ。ということはBランク以上のオークが必ず居るってことだ!下手したらシリオンは終わりだ……」


 シリオン?たしかこの街の名か?ここが終わり?オーク如きで?この肉が食えなくなるということか?


「オーク如きが調子に乗りおって!!」


 俺様は人化を解き、本来の黒龍に戻って空を飛んだ。うるさい人間共の声がうるさくなった気がするがどうでもいい。オーク如きにこの肉はやらん!!


 空を飛んでいると黒い物が地表に見えた。あれだな、オーク共が!弱いからと群れよって!!


 俺様はオーク共にダークブレスをお見舞いする。レーテヴァイル様にはあっさり防がれたがオーク共ならこの通りよ。


 オーク共は何か叫びながらも俺様のブレスにより消え去っていく。フハハハハハ!!いい様だ!俺様の肉を奪おうとした罰だ!!


 俺様は調子を上げて首を捻りながらダークブレスを放ちオークを塵にしていく。


「これも食らっておけ!シャドーボール!!」


 翼から1mほどの暗黒の玉を20個ほど出してオークにぶつけてやる。1つぶつけるだけでオークが20、30匹と消えていく。脆い!何と脆いことか!


「お次はこれだ!シャドーミスト!!」


 黒き霧がオークを包み襲う。霧に包まれたオーク共は腐食していき動かなくなる!フハハハハハ!オークなど恐れるだけ無駄なのだよ!


 だいぶ片付いたな。あとはあの奥に居るオークだけか。そう思っていると炎の魔法が飛んできた。


「オーク如きが魔法を使うとはな!」


 そこには少し大きなオークが固まっており、さらに奥には巨大なオークが何かを叫んでいた。


「龍種が何故我らを襲う!!」


 でかいブタが何か言っておるな?それにしても、あいつ食いすぎじゃないか?


「聞こえぬのか!何故我らを襲う!!お前は、理性も無い龍種か!」


「うるさいわ!ブタ!!」


 空を旋廻しながらうるさいブタに答えてやる。


「理性はあったか!何故我らを襲うか!黒龍!!」


「お前らはあの街を襲おうとしただろうが!!」


「人間の街だぞ!?何故黒龍が守る!?」


「あそこには俺様が気に入った肉があるのだ!!それを消そうとしたお前らは死ね!!」


 まだブヒブヒと何か言っているが、もう知らん!考えるだけめんどうだ!俺様はそのままシャドーボールを20個放ち、さらにダークブレスで辺り一面を荒野に変えてやった。


 ふん、オーク如きが調子に乗るからこうなる。俺様は街に戻ろうと思ったがうるさそうだったから違う街に行くことにした。レーテヴァイル様も居なさそうだったしな!


 次の街はレーテヴァイル様が居るかな?後美味い肉はあるかな?そう思いながら俺様は西に向かって飛ぶ。







 街の兵士が集められた広場の一角、慌しく走ってきた兵士が上官に何かを報告していた。


「何!?黒龍がオークの群れを殲滅しただと!?」


「はい!黒龍が去った後確認してきた者によればオーク1匹たりとも存在していないと!辺り一面荒野とえぐれた大地だったそうです!」


 走ってきた部下の兵士は背筋を限界まで伸ばし報告を終えた。


「まさか……黒龍がシリオンを守ったというのか?」


「オグマさんだ!!」


 集まった兵士の中から1人の兵士が前に出てきて上官に話し始めた。


「何だ?オグマとは誰だ?」


「はい!オグマさんは龍人族のお方です!今朝このシリオンに入る時、私がカードを作りましたので間違いありません!きっと黒龍に変身されてオークを殲滅してくれたのかと!」


「龍人族は魔族と魔物が攻めて来た時に現れて人々を救うと聞いたことがあるが……お伽ではないのか?しかし、黒龍……我がマルゲリータ神聖国を邪龍の眷族という黒龍が救うなどあっては……」


 兵士の上官は頭を抱える。マルゲリータ神聖国、そこは人間以外を悪とする国。奴隷として亜人など獣人は居るが……黒龍が街を救う。そんなことはこの国であってはならないことだ。上官は叫ぶ。


「いいか!我らがオーク共を殲滅したのだ!!黒龍などは存在しない!!この国で存在しては成らぬのだ!!いいな!」


「そんな!」


「この件については箝口令を敷く!いいな!」


「く……わかり…ました…」


 兵士は悔しそうに両手のコブシを握り締めて頷く。




 しかし、このシリオンの街でこんな噂が流れた。


 オークが殲滅された後、黒龍が空を飛んでいるのを見た!

 オークは黒龍が倒したのではないか?

 じゃあ、黒龍は人々がピンチの時に現れて魔族や魔物を退治してくれるという龍人族ではないのか?

 

 そして1つの噂が流れ定着した……。

 

 龍人様が黒龍となりオークの群れを薙ぎ払い、シリオンを救ってくれた……そんな噂が。



レベルなどは変更するかもしれません。ノリで書いてるので適当なのです。

マルゲリータ神聖国もあまりにも適当すぎた国名のため変更される可能性があります……。

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