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実りの秋の、小さなお話し  作者: 茅野 遼
2/3

2つめのお話し

2つ目のお(はな)し 《クルミの森》


 朝、お母さんに()こされた。 いつもよりも(はや)かったから、くっついたマブタが、なかなか、はなれてくれなかったよ。 ちょっとしてから、やっとおもした!

「そうだ、オニグルミの木!」

見に行くんだった。 僕はとなりで(ねむ)っているお兄ちゃんを、あわてて起こした。


 お外へ()ると、まだお()(さま)は出ていなくて、お(そら)(ひがし)(ほう)が、うすいピンク(いろ)(ひか)っていたよ。 ちょっと(すず)しくて、お兄ちゃんと二人で、ブルブルってふるえちゃった。

「さぁ、行くよ。 途中とちゅう小川(おがわ)におちないように、()をつけて」

お母さんに言われて、お日様の出てくる方へ()かって、ピョンピョンと()びはじめた。


 いくつも(えだ)をけって、ちょっと()くと、僕たちがいる木の枝と、飛び(うつ)(さき)の木の枝の(あいだ)に、サラサラと(おと)をさせて、(みず)(なが)れている、小川があったよ。

「ここまでくれば、もうすぐ、そこよ」

お母さんが、ちょっとまって、僕たちに言ったよ。 小川を見ていると、(すこ)しだけ色のついた、モミジの()っぱが、3(まい)、流れてきた。

「赤いモミジが流れはじめたのなら、クルミの食べごろも、もうすぐね」

そう言って、お母さんは小川の()こう(がわ)へ、ピョンって飛んだ。 お兄ちゃんがすぐにおいかけたよ。 僕は、ちょっとコワくて、止まっちゃった。


「リン!ちょっと枝の(うえ)(はし)って、イキオイをつけてから、(おも)いっきり、けっとばすんだ!」

 小川の向こうから、お兄ちゃんが大きな(こえ)で、(おし)えてくれた。

「……うん、わかった。やってみるよ」

僕は、お兄ちゃんに言われたとおりに、ちょっと走ってから、えい! って、思いきって、枝をけった。


 うわぁ! いつもより、(なが)くお空を飛んでるみたい……!


 ビューン、スタ! って、向こう側の枝についたら、イキオイがつき()ぎちゃって、おっとっと! って、おっこちそうになっちゃった。

 すぐにお兄ちゃんが来てくれて、僕の手をつかんでくれたよ。 …ほっ。

「えらい、えらい!やればできるじゃないか!」

お兄ちゃんがほめてくれた。えへへ。ちょっとうれしい。

「リン、よく、がんばったね」

お母さんもそばに来て、ほめてくれたよ。 わーい!

「さぁ、あとは小川の流れていく方へ、もう少し行ったら、オニグルミの木の(もり)よ」

僕たちは、お母さんのあとを()いかけて、もう少しだけ、木の枝をけって行った。


 小川と一緒(いっしょ)に飛んでいるみたいだったよ。 いつもとチガう(かん)じで、クルミの森まで行くのは、とっても(たの)しかった。


 (すす)んでいくうちに、大きな川が流れている音が、()こえはじめた。

「ほら、あの木が、オニグルミの木よ」

ちょっと先の木をさして、お母さんが教えてくれた。 葉っぱがいっぱい、ついている間に、みどり色の丸い実が、7コか8コくらいずつ、まとまってくっついているの。

「このあたりの木は、まだもうちょっと、時間じかんがかかりそうね。 もう少し川の近くへ、行ってみましょう」


 もう少し先へすすんでいくと、大きな川が、木の枝と葉っぱの間から、見えはじめたよ。 まわりの木は、もう全部(ぜんぶ)クルミの木だった。

「ここら(へん)は、あさってくらいには、もう食べられそうね」

お母さんが教えてくれた実は、さっき見たみどり色の実よりも、ちょっと茶色(ちゃいろ)っぽかったよ。 そうか、茶色の実が、食べられる実なんだ!

「じゃ、もう少しさがして見よう!」

お兄ちゃんが言って、となりの木へと、ピョンって飛び移った。

「そうだね、よくさがして見たら、1つくらいは、食べられる実が、見つかるかもしれないね」

お母さんがそう言ったから、僕もさがして見ることにしたんだ。


 お兄ちゃんのあとを追いかけて、なるべく枝が近いところをさがして、ピョンって、飛び移った。

 少しだけまわりを、キョロキョロと見てみたら、さっき見つけた実よりも、もっと茶色の実を見つけたよ。

「あ! これ、さっきのよりも、色がコイよ!」

「どれどれ?」

そう言って、お母さんが僕の(ちか)くへ、ピョンって、飛んできた。

「本当だね、これは、明日(あした)には食べられそうだよ」

「え? これでも、まだダメなの?」

「明日、この実を見てみたら、どれくらいのが食べごろの実か、わかるわよ」

「そっか、じゃぁ、なんか、シルシをつけておこう!」

僕はちょっと、かんがえて、まわりの葉っぱを1枚、半分(はんぶん)にちぎってみた。

「リンは、かしこいね。 こうしておけば、きっと明日、すぐに見つかるね」

お母さんがニッコリとして、僕の頭をなでてくれた。 えへへ、いい気持(きも)ち。


「うわ!」

ちょっと(とお)いところから、お兄ちゃんの、さけび声がした。

「どうしたの?!」

僕とお母さんは、あわてて、お兄ちゃんの声がした方へ、枝の上を走って行った。


 あ! お兄ちゃんが、手だけで枝にぶら下がってる!

「足、すべっちゃったよ!」

「ダイジョウブ?!」

「ヘーキだよ!」

足を思いっきり、ブラブラとして、イキオイをつけて、お兄ちゃんが、’さかあがり’した。

「えい!」

かけ声と一緒(いっしょ)に、くるりんって、枝の上にもどっちゃった! ビックリ!

「ボクはリンとはチガうからね。これくらい、ヘーキだよ!」

イタズラしたときみたいに、自信(じしん)マンマンな顔をしたよ。

「ハルは、(からだ)(うご)かすのが得意(とくい)だね。 リンは、かしこい子だから、二人でチカラを()わせれば、どんな(こと)でもできるよ、きっと」

お母さんがそう言って、カンシンしていたよ。


 それから、もう少しさがしてみたけど、今日はまだ、食べられる実は見つけられなかったんだ。


 おうちに(かえ)途中(とちゅう)で、小川のところまで来たら、お母さんが言ったよ。

「赤いモミジの葉っぱが、1()に6枚か、7枚、流れてきたら、あのクルミの森の実は、食べられるようになるわよ」

「じゃぁ、お母さんは、行くときに見た葉っぱで、まだ食べられないの、しっていたの?」

「わたしたちの住んでいる森の仲間(なかま)が、色んな事を、教えてくれるのよ。 それを、リンもハルも、(おぼ)えておくのよ」

「はい」

僕は、返事(へんじ)をしたけど、お兄ちゃんは、ちがったんだ。

「だったら、今日は行かなくても、良かったんだ」

ちょっと、フマンそうに、そう言った。

「だけど、行き方は覚えられたでしょう? 二人とも、クルミの森の近くには、大きな川がある事をしったのだから、クルミを食べに行くときには、じゅうぶん、気をつけるのよ」

「じゃぁ、ボクたちだけで、行ってもいいの?!」

きゅうに、お兄ちゃんのゴキゲンが、なおっちゃった。

「一人で行くのは、ダメよ。 リンは()くかんがえて、お兄ちゃんを、タスケテあげるの。 ハルは、リンのことを良く見て、あぶない事がないように、ちゃんと、(おとうと)(まも)ってあげてね。 それがヤクソクできるのなら、二人で行ってもいいわよ」

「やったぁ!」

僕とお兄ちゃんは、元気にさけんじゃった。 お兄ちゃんは、チョウシにのって、枝の上で、くるりんって、ちゅう返りをしたよ。

 僕は、ちゅう返りはできないけど、そのばしょで、ピョンピョンと、飛びはねたんだ。



 次の日は、僕とお兄ちゃんだけで、クルミの森まで行ってみた。

 昨日(きのう)はコワかった、小川の上の枝も、今日はヘイキで、ピョンって、飛びこえられたよ。


 小川には、5枚の赤いモミジの葉っぱが、流れてきていたんだ。


 クルミの森についたら、僕は昨日、シルシをつけてあったから、すぐに茶色の実を見つけられたんだ。 すごいでしょ?

 お兄ちゃんは、イッショウケンメイさがして、1つだけ、食べられる実を見つけたよ。 カラがかたくて、どうやったら、上手(じょうず)()れるのか、わからなくって、二人で1つずつ、茶色の実を、もって帰ったんだ。

 おうちで、お母さんに上手な割り(かた)を、教えてもらったんだ。 はじめて食べたオニグルミの実は、とっても、おいしかったよ!


 今日は帰ってくる前に、また明日、食べごろになりそうな実を、見つけておいたんだ。 やっぱり、まわりの葉っぱをちぎって、目ジルシをつけてきたよ。


 明日は、モミジの葉っぱ、6枚くらい流れていないかな…? とっても、楽しみ!





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