2つめのお話し
2つ目のお話し 《クルミの森》
朝、お母さんに起こされた。 いつもよりも早かったから、くっついたマブタが、なかなか、はなれてくれなかったよ。 ちょっとしてから、やっと思い出した!
「そうだ、オニグルミの木!」
見に行くんだった。 僕はとなりで眠っているお兄ちゃんを、あわてて起こした。
お外へ出ると、まだお日様は出ていなくて、お空の東の方が、うすいピンク色に光っていたよ。 ちょっと涼しくて、お兄ちゃんと二人で、ブルブルってふるえちゃった。
「さぁ、行くよ。 途中で小川におちないように、気をつけて」
お母さんに言われて、お日様の出てくる方へ向かって、ピョンピョンと飛びはじめた。
いくつも枝をけって、ちょっと行くと、僕たちがいる木の枝と、飛び移る先の木の枝の間に、サラサラと音をさせて、水が流れている、小川があったよ。
「ここまでくれば、もうすぐ、そこよ」
お母さんが、ちょっと止まって、僕たちに言ったよ。 小川を見ていると、少しだけ色のついた、モミジの葉っぱが、3枚、流れてきた。
「赤いモミジが流れはじめたのなら、クルミの食べごろも、もうすぐね」
そう言って、お母さんは小川の向こう側へ、ピョンって飛んだ。 お兄ちゃんがすぐにおいかけたよ。 僕は、ちょっとコワくて、止まっちゃった。
「リン!ちょっと枝の上を走って、イキオイをつけてから、思いっきり、けっとばすんだ!」
小川の向こうから、お兄ちゃんが大きな声で、教えてくれた。
「……うん、わかった。やってみるよ」
僕は、お兄ちゃんに言われたとおりに、ちょっと走ってから、えい! って、思いきって、枝をけった。
うわぁ! いつもより、長くお空を飛んでるみたい……!
ビューン、スタ! って、向こう側の枝についたら、イキオイがつき過ぎちゃって、おっとっと! って、おっこちそうになっちゃった。
すぐにお兄ちゃんが来てくれて、僕の手をつかんでくれたよ。 …ほっ。
「えらい、えらい!やればできるじゃないか!」
お兄ちゃんがほめてくれた。えへへ。ちょっとうれしい。
「リン、よく、がんばったね」
お母さんもそばに来て、ほめてくれたよ。 わーい!
「さぁ、あとは小川の流れていく方へ、もう少し行ったら、オニグルミの木の森よ」
僕たちは、お母さんのあとを追いかけて、もう少しだけ、木の枝をけって行った。
小川と一緒に飛んでいるみたいだったよ。 いつもとチガう感じで、クルミの森まで行くのは、とっても楽しかった。
進んでいくうちに、大きな川が流れている音が、聞こえはじめた。
「ほら、あの木が、オニグルミの木よ」
ちょっと先の木をさして、お母さんが教えてくれた。 葉っぱがいっぱい、ついている間に、みどり色の丸い実が、7コか8コくらいずつ、まとまってくっついているの。
「このあたりの木は、まだもうちょっと、時間がかかりそうね。 もう少し川の近くへ、行ってみましょう」
もう少し先へすすんでいくと、大きな川が、木の枝と葉っぱの間から、見えはじめたよ。 まわりの木は、もう全部クルミの木だった。
「ここら辺は、あさってくらいには、もう食べられそうね」
お母さんが教えてくれた実は、さっき見たみどり色の実よりも、ちょっと茶色っぽかったよ。 そうか、茶色の実が、食べられる実なんだ!
「じゃ、もう少しさがして見よう!」
お兄ちゃんが言って、となりの木へと、ピョンって飛び移った。
「そうだね、よくさがして見たら、1つくらいは、食べられる実が、見つかるかもしれないね」
お母さんがそう言ったから、僕もさがして見ることにしたんだ。
お兄ちゃんのあとを追いかけて、なるべく枝が近いところをさがして、ピョンって、飛び移った。
少しだけまわりを、キョロキョロと見てみたら、さっき見つけた実よりも、もっと茶色の実を見つけたよ。
「あ! これ、さっきのよりも、色がコイよ!」
「どれどれ?」
そう言って、お母さんが僕の近くへ、ピョンって、飛んできた。
「本当だね、これは、明日には食べられそうだよ」
「え? これでも、まだダメなの?」
「明日、この実を見てみたら、どれくらいのが食べごろの実か、わかるわよ」
「そっか、じゃぁ、なんか、シルシをつけておこう!」
僕はちょっと、かんがえて、まわりの葉っぱを1枚、半分にちぎってみた。
「リンは、かしこいね。 こうしておけば、きっと明日、すぐに見つかるね」
お母さんがニッコリとして、僕の頭をなでてくれた。 えへへ、いい気持ち。
「うわ!」
ちょっと遠いところから、お兄ちゃんの、さけび声がした。
「どうしたの?!」
僕とお母さんは、あわてて、お兄ちゃんの声がした方へ、枝の上を走って行った。
あ! お兄ちゃんが、手だけで枝にぶら下がってる!
「足、すべっちゃったよ!」
「ダイジョウブ?!」
「ヘーキだよ!」
足を思いっきり、ブラブラとして、イキオイをつけて、お兄ちゃんが、’さかあがり’した。
「えい!」
かけ声と一緒に、くるりんって、枝の上にもどっちゃった! ビックリ!
「ボクはリンとはチガうからね。これくらい、ヘーキだよ!」
イタズラしたときみたいに、自信マンマンな顔をしたよ。
「ハルは、体を動かすのが得意だね。 リンは、かしこい子だから、二人でチカラを合わせれば、どんな事でもできるよ、きっと」
お母さんがそう言って、カンシンしていたよ。
それから、もう少しさがしてみたけど、今日はまだ、食べられる実は見つけられなかったんだ。
おうちに帰る途中で、小川のところまで来たら、お母さんが言ったよ。
「赤いモミジの葉っぱが、1度に6枚か、7枚、流れてきたら、あのクルミの森の実は、食べられるようになるわよ」
「じゃぁ、お母さんは、行くときに見た葉っぱで、まだ食べられないの、しっていたの?」
「わたしたちの住んでいる森の仲間が、色んな事を、教えてくれるのよ。 それを、リンもハルも、覚えておくのよ」
「はい」
僕は、返事をしたけど、お兄ちゃんは、ちがったんだ。
「だったら、今日は行かなくても、良かったんだ」
ちょっと、フマンそうに、そう言った。
「だけど、行き方は覚えられたでしょう? 二人とも、クルミの森の近くには、大きな川がある事をしったのだから、クルミを食べに行くときには、じゅうぶん、気をつけるのよ」
「じゃぁ、ボクたちだけで、行ってもいいの?!」
きゅうに、お兄ちゃんのゴキゲンが、なおっちゃった。
「一人で行くのは、ダメよ。 リンは良くかんがえて、お兄ちゃんを、タスケテあげるの。 ハルは、リンのことを良く見て、あぶない事がないように、ちゃんと、弟を守ってあげてね。 それがヤクソクできるのなら、二人で行ってもいいわよ」
「やったぁ!」
僕とお兄ちゃんは、元気にさけんじゃった。 お兄ちゃんは、チョウシにのって、枝の上で、くるりんって、ちゅう返りをしたよ。
僕は、ちゅう返りはできないけど、そのばしょで、ピョンピョンと、飛びはねたんだ。
次の日は、僕とお兄ちゃんだけで、クルミの森まで行ってみた。
昨日はコワかった、小川の上の枝も、今日はヘイキで、ピョンって、飛びこえられたよ。
小川には、5枚の赤いモミジの葉っぱが、流れてきていたんだ。
クルミの森についたら、僕は昨日、シルシをつけてあったから、すぐに茶色の実を見つけられたんだ。 すごいでしょ?
お兄ちゃんは、イッショウケンメイさがして、1つだけ、食べられる実を見つけたよ。 カラがかたくて、どうやったら、上手に割れるのか、わからなくって、二人で1つずつ、茶色の実を、もって帰ったんだ。
おうちで、お母さんに上手な割り方を、教えてもらったんだ。 はじめて食べたオニグルミの実は、とっても、おいしかったよ!
今日は帰ってくる前に、また明日、食べごろになりそうな実を、見つけておいたんだ。 やっぱり、まわりの葉っぱをちぎって、目ジルシをつけてきたよ。
明日は、モミジの葉っぱ、6枚くらい流れていないかな…? とっても、楽しみ!




