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00.プロローグ



 セスティア国第一王子、アルタ・L・A=セスティア。お世辞にも大国とは呼べないような国の王子様のところには、しかし何処の国にもあるような問題があった。


 ―――後継者問題だ。







 父王であるハウルが倒れたのが一年前。子供は王子のアルタただ一人であったがために、正式な継承式は行っていないものの何の騒動も無く王代行としてその手腕を発揮し、この一年、国を混乱なく治めた。

 ハウル王の病状は悪くならないものの、目に見えてよくなっている訳でもないらしく、その妻である王妃はすでに病没している。ならばいっそこのまま王子を王に継がせるべきではないか、との意見が近臣から出始め、王もそれを承諾した、らしい。

 不自由な体はもう元には戻らないだろう、自分は身を引いて、王子の手助けをするに努めよう、と。

 さすが王様、王子様も馬鹿じゃないし、この一年立派に勤め上げた。良かった良かった国は安泰だ、と重臣達が胸を撫で下ろして王子を見、思ったのだ。

 王子ももう御年19歳。王となるならそろそろ寵姫の一人でも。と。

 浮いた噂などまったく、これっぽっちも皆無だった王子のため、いそいそと良い娘探しを始めた重臣達に王子は言い放ったのだ。


 女に興味ない。妻を娶るつもりもない―――――――――と。


 え? まさか?! と慌てた家臣達は、男にも興味ない、と言われ、ほっと胸を撫で下ろした後、いやいや安心するところじゃない、と思い直した。お家断絶の危機だ。

 なんとか思い直して貰おうとアレコレ言い募る重臣達に王子はそれはそれは面倒くさそうに、興味ないし、女に対してたたないし、抱けない、ときっぱりはっきり言い放った。

 え? なにこれ病気? 体の?! 心の?!?

 大慌てで医者に診せたが王宮医師に体は健康、とお墨付きを頂いた重臣達は、王族最大の危機に秘密裏に貴族から年頃の娘を募った。誰でもいい。誰か、誰か王子の心を射止めてくれないか、と。

 重臣達が娘を募って、王子が、いらん、と追い返す。

 花々しく登城する娘達がすぐに引き返してくる、その様に国民達も次第に事を理解し、王子様は女嫌いなのではと巷の噂でも上るようになってきた。

 ますます焦る重臣達。





 そしてまた今日も、新しい娘が王子の下へと行くのだった。




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