2章
食事を食べ終わると、マリアのバイクに乗せられて演習場という場所に案内される。
演習場には、つい立がいくつもあり少々花火っぽい臭いが立ち込めていた。
マリアは扉の横の受付っぽいところから、銃を持ち出してきた。
これなんかどう?と一挺の銃を渡してくる。
「これは?」
「ワルサーWA2000よ」
オートマチック式狙撃銃。とアリアが説明したが、わけがわからなかった。
「まぁ、そこにうつ伏せになってごらん」
言われた場所にうつ伏せになると、その横にマリアがうつ伏せになる。
これつけてイヤープロテクターだから。とマリアからヘッドフォン状のものを渡されると、それをつけるとマリアも同じものをつける。
2本足の三脚を立てて銃弾の入った箱を入れて、レバーを引くとスコープを覗いて構える。とマリアは一通り説明した。
的が飛び出ると発砲音が響き、薬莢が落ちていい音を響かせると遠くで的が砕ける音が響く。
「これだけよ」
はぁ、と頷く。
「どうぞ」
銃を受け取り同じように構え、レバーを引いて引き金を引く。
はじめてにしては上出来ね。と的を双眼鏡で見たマリアが言う。
しかし、初めてにしてはうまいな。と後ろから、スーツの金髪の男性が近寄ってくる。
「彼があなたの担当、ヴァルトフェルドよ」
「よろしくお願いします」
ああ。と言うと「仕事だ」と、言ってその場を立ち去る。
ヴァルトフェルドの後ろをついてゆくと、大きな会議室に案内された。
彼が参謀のアルカディアだ。と逆行で顔がよく認識できないが、一冊のファイルがヴァルトフェルドに渡される。
「ターゲットは荒瀬芳樹だ」
「簡単な仕事だ、一応両親のほうには資金が渡される」
そう。と言って部屋から出て、車庫にあるポルシェ911のトランクにさっきの銃を入れた鞄を積んで出庫する。
作戦前の車の中で一通り、銃の癖や構造を教えてもらった。
「ターゲットの情報を話そう」
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荒瀬芳樹 Yoshiki Arase 男 髪色は黒髪に白髪混じり
荒瀬重工株式会社代表取締役
テロ組織『荒瀬組』の総長
ミサイルや武器の売買など多数が今回の目的
今回は彼のつかんだ、イギリスの機密情報売買の阻止がメイン
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ヴァルトフェルドは早口でその情報を言った。
「覚えたか?」
「はい」
古い鐘塔に上り、さっき教えてもらった通りに状況をくみ上げる。
「マリアの話はよーく聞いてたようだ」
「はい」
「では構えて待機してな」
「はい」
うつ伏せになって、スコープを覗く。
「ばっちりだな」
「作戦までは待機」
1時間くらいすると、ヴァルトフェルドが立ち上がり双眼鏡を覗いた。
「ターゲットが来た、構えろ」
「はい」
スコープを覗き、ターゲットに合わせる。
引き金に指をかける。
「いまだ撃て」
銃声が響くと同時に、ターゲットが倒れる。
「ナイス。撤収するぞ」
「はい」
ヴァルトフェルドは薬莢を拾うのを横目に、銃をばらし鞄にしまう。
一人殺すごとに、両親に金がいく。とてもいい条件だった。
それがどんな結末になろうと、私はよかった。この機械の体であろうとも。