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追放されたので廃村でのんびりしてたら、なぜか最強の街になってました  作者: 南蛇井


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第36話 収穫

「まずは、食料ですね」


リリアが静かに言った。


拠点化が決まった以上、最優先はそこだ。


「外からの供給だけに頼るのは不安定です」


「自給できる状態を作る必要があります」


「つまり、畑ね」


カレンが周囲を見る。


整えられた土地。


だが、まだ“使える”だけ。


本格的に運用するには足りない。


「任せてください!」


ミアが元気に手を挙げる。


「水やりとかやります!」


「助かります」


リリアが微笑む。


「じゃあ、整えますね」


レインが軽く言った。


「……またその軽さ」


カレンが呟く。


レインは畑の中央に立つ。


土はすでに“良い状態”にはなっている。


だが――


「もう少しだけ」


ぽつりと呟く。


軽く、足で地面に触れる。


それだけ。


ざわっ。


「……え?」


ミアが目を丸くする。


土が、呼吸するように動いた。


色が変わる。


さらに深く、濃く。


湿り気が均一に広がる。


「……ちょっと待って」


カレンが一歩近づく。


「今の何?」


「調整です」


「だからその調整って何よ」


「これで大丈夫だと思います」


レインは気にせず言う。


「いや、まだ何も植えてないでしょ」


カレンが突っ込む。


「そうですね」


レインは頷く。


「じゃあ、植えましょうか」


その一言で、作業が始まる。


種をまく。


水を与える。


普通の手順。


だが。


「……あれ?」


ミアが声を上げる。


芽が出ている。


「え?」


ついさっき植えたはずの種から、芽が顔を出している。


「……いやいやいや」


カレンが首を振る。


「早すぎでしょ」


「そんなものじゃないですよ」


レインが軽く言う。


さらに数分。


「ちょっと待って!」


ミアが叫ぶ。


伸びている。


さっき芽だったものが、すでに葉を広げている。


「……嘘でしょ」


カレンが呟く。


「成長速度が異常です」


リリアも冷静に言うが、声にわずかな驚きが混じる。


「収穫、できそうですね」


レインが普通に言う。


「いやいやいや!」


カレンが即座に否定する。


「そんなすぐ――」


ぽとり。


実が落ちた。


「……」


沈黙。


「……え?」


ミアが拾い上げる。


それは、完全に“収穫済み”の状態だった。


「……食べられますね」


リリアが確認する。


「問題なさそうです」


「……一日で?」


カレンがぽつりと呟く。


「はい」


レインは頷く。


「効率を少し上げただけなので」


「その“少し”が意味わかんないのよ!」


その後も――


畑はどんどん実り、


収穫物が積み上がっていく。


「すごいです!」


ミアが笑顔で抱える。


「いっぱい取れました!」


「……いっぱいってレベルじゃないわね」


カレンが遠い目をする。


「これなら」


リリアが冷静に計算する。


「自給どころか、余剰が出ます」


「余るんですか?」


ミアがきょとんとする。


「ええ」


リリアは頷く。


「売れますね」


その一言で、意味が変わる。


「……またお金増えるのね」


カレンが呟く。


「いいことだと思います」


レインは普通に答える。


その時。


「……な、なんだこれは」


背後から声がした。


振り返ると、数人の人影。


近くに残っていた元村人たち。


様子を見に来ていたらしい。


彼らの視線は、畑に釘付けだった。


「さっきまで何もなかったはずだ……」


「それが、なんで……」


積み上がる作物。


整った土地。


「ありえない……」


誰かが、震える声で言った。

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