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砂地獄

作者: 月見亜人
掲載日:2026/02/03

単語→公衆電話、迷子札、砂時計

ジャンル→不思議系ホラー



「ばっちゃんがいなくなっただあ?」


「そうなんよ、これで今週3度目になるかねえ」



そんなにいなくなってんだったら、今更大騒ぎしなくてもいいじゃねえか。そう言うと、「こんなに長い時間いないのははじめてなんよ」と眉を下げて母ちゃんが言ってきた。

隣の浅山さん家の父ちゃんも、そのまた隣の畑の森川さん家の婿入り息子さんも、うちのばっちゃん探しを手伝ってくれているらしい。



「そんならうちが探さねえわけにはいかねえじゃねえの」


「すまんねえ、いつもなら公衆電話のところにいるんだけどねえ」



この田舎にある公衆電話といえば、うちから15分ほど歩いたところにあるアレか。もうすでに探したんじゃけどねえ、と手を頬に当てて困り果てた母ちゃんを横目に上着を羽織る。季節は10月。この時間に半袖で動き回るには少し肌寒い。



「んじゃ、ちょっくら言ってくるけえ。ばっちゃんの迷子札でも作っててくれ」


「はいはい、お願いしますよ」



上着のポケットに手を突っ込み、とりあえず公衆電話を目指して歩き始める。そこら辺の畑に倒れてんじゃねえのか、という疑いも捨てれないため、ズボンから携帯している懐中電灯を取り出し、電気をつけて照らした。



「おおい、ばっちゃん。いねぇのか」



畑からはうんともすんとも音は返ってこない。ここら辺は冬は何も育てていねえからなあ、人が倒れてりゃ影で分かるはずだ。足早に畑を過ぎていく。



「ばっちゃん、いたら声出せー」



ばっちゃんが行きそうなところと言えば、隣の家の浅山さん家かうちの畑ぐらいなもんだが、なんでまたこんな離れた公衆電話まで来るんだか。さっぱり見当がつかない。

懐中電灯をちらつかせながら男の早足で10分、公衆電話のボックスに辿り着いた。


ばっちゃんはいないが、別の人影があった。


黒い襟足の長いマントを着て、頭にも真っ黒なシルクハットを被っている。そんで背丈が妙に高い。

こんな田舎に、こーんなトンチキな格好したやつはいねえ。

何か知ってるかも知れねえと、ボックスのドアをガンガンと叩く。



「オイあんた、誰だか知らねえがうちのばっちゃんを知らねえか」



電話ボックスの扉がギィと開かれ、顔を覗き込むと「うおっ」と思わず声が漏れて後ずさる。


へのへのもへじだ。


よく見ると腕も足もカカシになってらあ。なんだぁこいつは。


訝しげに見ていると、後ろからドンと背中を押され電話ボックスに押し込められた。



「あ?」



誰だと振り返っても何も見えない、いや、違う。



砂が



さっきまでは確実になかった砂が電話ボックスのガラスを覆い、上からパリパリと落ちてきている。

まるで砂時計みてえな……。



んなこと言ってる場合か!


電話ボックスの扉をガンガンと殴るがびくともしねえ。


クソッなんだこれは!




「よ〜うこそおいでくださいました!」



この場にいるのは俺と、



「あなたも巻き戻しご希望者でございましょうか?」



奇妙な、カカシ。



なんだ、これは……?

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