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第九話 灼熱の舞台

視界が、赤く染まった。


熱気が、肌を刺す。

足元から伝わる振動に、思わず息を呑む。


火山地帯。


流れる溶岩が、夜を照らし、

空気は重く、呼吸一つにも力が要る。


「……暑すぎだろ」


マコトが額の汗を拭う。


「冗談抜きで、体力削られる」


「集中しろ」


レオが短く告げる。


「ここでは、技の威力が増す。

 制御できなければ、自滅する」


その言葉通りだった。


環境は、容赦なく力を引き出す。


ユウは、足場を確かめる。


(……感情も、引きずり出される)


足元の円が光る。


向かいに現れたのは、鋭い眼差しの男。

身体は細身だが、筋肉の質が違う。


「火山か」


男が笑う。


「いいな。燃える」


開始。


男が突っ込む。


速い。


拳が、熱を帯びる。


ユウは、迎え撃つ。


――心象拳。


だが、相手の勢いは止まらない。


「甘い!」


拳が迫る。


ユウは、歯を食いしばり、受け流す。


(……環境が、相手を後押ししてる)


溶岩の熱気が、感情を煽る。


焦り。

苛立ち。


拳が、重くなる。


「どうした!」


男の拳が、肩を掠める。


痛みが走る。


ユウは、一歩下がる。


(……守る)


その言葉が、胸に浮かぶ。


家族の顔。

帰る場所。


熱が、変わる。


怒りではない。

決意。


拳に、力が集まる。


――心象拳。


今度は、深く入った。


相手の動きが、鈍る。


ユウは跳ぶ。


熱気を切り裂き、脚を振り抜く。


――飛燕蹴。


溶岩の光を背に、一撃。


男は吹き飛び、地面に転がる。


光の円が消えた。


「……勝者、ユウ」


ユウは膝に手をつき、息を吐く。


熱と疲労が、身体を包む。


(……危なかった)


別の場所。


アイリが、熱風の中を舞っていた。


――舞風脚。


溶岩の上でも、風は生きている。


花嵐突が、熱気を裂く。


彼女も、勝ち残る。


雷鳴。


だが、ここでは、雷よりも熱が支配する。


リオの拳が、蒼く光る。


――孤閃裂破。


火山の光に、蒼が混じる。


一瞬で、勝負が決まる。


ジンもまた、無駄のない動きで相手を沈める。


――雷鳴破。


熱と雷が交錯し、火花が散る。


戦いが、激しさを増していく。


高台から、その全てを見下ろす影。


カイゼルは、ゆっくりと息を吐いた。


「……感情を燃料にする拳」


視線が、ユウに向く。


「どこまで、耐えられる」


灼熱の舞台は、

勝者の心までも、試していた。


蒼空の拳舞は、

さらに深い炎の中へと進んでいく。

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