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第二十二話 雷雨の孤高

雷雨が、激しさを増していた。


雲を裂く稲光が、天空リングを白く染める。

轟音が遅れて届き、空そのものが震える。


リオは、雨の中で静かに立っていた。


感情を削ぎ落とした佇まい。

蒼い気配が、雷と共鳴している。


「……ここでは」


低く、告げる。


「私が、上だ」


次の瞬間。


――雷鳴破。


連続。


一本ではない。

空から落ちる雷そのものを、拳に集約する。


ユウは、跳ぶ。


衝撃が、背後で炸裂する。


(……近づけない)


踏み込めば、雷。

止まれば、蒼閃。


圧倒的な制圧力。


「……孤高の拳は」


リオが、間合いを保ったまま言う。


「迷わない」


「守るものも、背負わない」


「だから、折れない」


雷が、落ちる。


――蒼閃裂破。


蒼い閃光が、雨を切り裂く。


ユウは、受ける。


腕が、限界を告げる。


膝が、沈む。


(……強い)


否定できない。


その瞬間。


脳裏に、浮かぶ。


マコトの笑顔。

アイリの風。

シズクの背中。

ジンの問い。


(……一人じゃ、ない)


ユウは、立ち上がる。


拳を、握りしめる。


「……確かに」


息を整え、前を見る。


「一人なら、折れないかもしれない」


一歩、踏み出す。


「でも」


雨を、踏みしめる。


「俺は……折れても、立ち上がる」


雷が、落ちる。


――雷鳴破。


ユウは、逃げない。


真正面から、進む。


――心象拳。


雷に、触れる。


衝撃が、全身を貫く。


だが――


倒れない。


「……なに?」


リオの声が、わずかに揺れた。


ユウの拳が、雷の中を進む。


感情が、重なり合う。


「……一人で、戦ってないからだ」


雷雨の中で、

守る拳が、蒼に届き始めていた。


カイゼルは、高みから、その光景を見下ろす。


「……そうだ」


低く、呟く。


「それが、かつての俺に、足りなかった」


雷雨は、まだ止まない。


だが、天秤は――

わずかに、動き始めていた。

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