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第十話 火花の距離

火山地帯の熱が、ようやく和らぎ始めていた。


溶岩の流れは遠のき、空気に残るのは焼けた岩の匂いだけだ。

勝ち残った者たちは、次の転送を待ちながら、それぞれの場所で休息を取っている。


ユウは、岩陰に腰を下ろし、拳を見つめていた。


(……ぎりぎりだ)


勝ってはいる。

だが、余裕はない。


「大丈夫?」


風が、そっと届く。


アイリだった。


額に汗を浮かべながらも、表情は柔らかい。


「無理してない?」


「……少し」


正直な答えに、アイリは小さく笑った。


「私も」


並んで座り、溶岩の光を見つめる。


「火山って、感情が大きくなる気がする」


「……ああ」


ユウは、言葉を選ぶ。


「怒りとか、不安とか」


アイリは、膝を抱える。


「でもね」


顔を上げる。


「怖いけど、逃げたくない」


その言葉に、ユウの胸が締め付けられる。


(……俺のせいか)


「アイリ」


名前を呼ぶと、彼女は少し驚いたようにこちらを見る。


「無理は、するな」


それだけしか言えなかった。


アイリは、少し困ったように笑う。


「それ、そっくりそのまま返す」


二人の間に、短い沈黙。


だが、心地よい。


そこへ。


「おーい、いい雰囲気だな」


マコトが、にやりと笑いながら近づいてくる。


「次、そろそろだぞ」


「茶化すな」


ユウが言うと、マコトは肩をすくめた。


「いや、マジで」


視線が、少し真剣になる。


「次、厳しい」


その言葉通りだった。


遠くで、白い道着が揺れる。


リオが、こちらを見ていた。


距離はある。

だが、視線は鋭い。


(……近づいてきてる)


レオも、端末から顔を上げる。


「次の組み合わせ、出た」


短く、告げる。


「この先、身内同士も当たる」


空気が、張り詰める。


ジンは、少し離れた場所で、ただ静かに立っている。


誰とも目を合わせず、拳を握る。


高い場所。


カイゼルは、溶岩の名残を見下ろしていた。


「……距離が、縮んだな」


拳と拳。

想いと想い。


避けられない衝突が、近づいている。


火花が散るほど、

距離は、もう遠くない。


蒼空の拳舞は、

次なる局面へと、確実に踏み込んでいた。

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