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追放された最強おっさん魔族、女勇者を鍛えていたら国が分裂! 最終課題「魔王にセクハラしてこい」でどうしてこうなった!?  作者: よん


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第81話 東方からの贈り物

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**【千景視点】**


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調印式から三ヶ月が過ぎた。


千景は新王宮の門前に立っていた。九尾の姿で。巨大な白狐の姿で、九本の尾を誇らしげに揺らす。


後ろには、巨大な荷車の列が続いている。東方の妖怪たちが、荷車を引いている。猫又、天狗、河童。様々な妖怪たちが、わらわに従っている。


「ノヴァ・ステラの門出を祝いに参った!」高らかに宣言する。


門番たちが驚いた顔で見ている。当然じゃ。長い年月を生きてきた妖狐と、東方の妖怪軍団が現れたのだから。


「千景様!」


門が開き、フェリシアとヴァルブルガが出迎えに来た。わらわは人型に戻る。和服姿で、狐耳と九本の尾を見せたまま。


「わらわの夫の弟子たちよ、祝いを持参した」胸を張って言う。


フェリシアが笑顔で近づいてくる。


「千景さん、ありがとうございます」


「礼には及ばぬ」わらわは尻尾を揺らした。「わらわの晴れ舞台じゃからな」


フェリシアが「謁見の間でお待ちしています」と案内してくれた。


「うむ」


一行は新王宮へと移動した。旧市庁舎を改装しただけの建物じゃが、民と共にある良い場所じゃ。


謁見の間に入る。フェリシアとヴァルブルガが並んで座っている。わらわは前に立った。


「では、第一の贈り物を」


妖怪たちが箱を運んできた。開けると、虹色に輝く布が入っている。


「これは千年蚕の糸で織った『夢織物』じゃ」わらわは説明する。「着る者の心を映し、最も美しい姿を見せる」


ヴァルブルガが目を輝かせた。


「すごいのじゃ!」


フェリシアも驚いている。


「こんな美しい布、見たことがありません」


わらわは満足そうに尻尾を揺らす。


「当然じゃ。わらわが選んだのじゃからな」




わらわは第二の贈り物を取り出した。二つの首飾り。妖狐の護符じゃ。


「わらわの尾の毛を編んで作った。永遠の絆を守る」


フェリシアが驚いた顔をする。


「千景さんの尾を...そんな貴重な」


わらわは照れて視線を逸らした。


「た、大したことではない」


嘘じゃ。尾の毛を使うのは、妖狐にとって最大の献身じゃ。だが、ドラーゲン様の弟子たちのためなら、惜しくはない。


ヴァルブルガが護符を受け取る。


「ありがとうなのじゃ、千景殿」


フェリシアも受け取る。


「大切にします」


わらわは尻尾を嬉しそうに揺らした。そして、第三の贈り物。本命じゃ。


「東方百国との交易協定書じゃ」


カルロに書類を手渡す。カルロが目を通す。顔色が変わった。


「これは...」声が震えている。


「東方百国との交易路を開く」わらわは得意げに言う。「香辛料、茶、陶磁器...西方では手に入らない品々が」


カルロが興奮している。


「これは...信じられない」


「わらわが長年かけて築いた人脈じゃ」胸を張る。「夫の弟子の国なら、皆協力すると言っておる」


カルロが深く頭を下げる。「千景様、ありがとうございます」


わらわは照れたように尻尾を揺らす。


「た、大したことではない」


妖怪たちが芸を披露し始めた。猫又が舞踊。天狗が風の術。河童が水芸。窓から覗き見ている市民たちが歓声を上げている。


ドラーゲン様が謁見の間の隅から、小さく手を振ってくれた。わらわは嬉しそうに尻尾を揺らす。「役に立ったじゃろう?」と言いたげに。


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**【視点切り替え:千景 → フェリシア】**


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フェリシアは提案した。


「千景さんを東方大使に任命します」


ヴァルブルガも賛同する。


「東西の架け橋じゃな」


千景が驚いた顔をした。


「わ、わらわが大使?」


「はい」フェリシアは頷いた。「東方との交流を深めるために、千景さんの力が必要です」


千景の尻尾が大きく揺れた。


「もちろん引き受ける!夫も手伝うじゃろ?」ドラーゲンを見る。


ドラーゲンが「勝手に決めるな」と言いつつも、諦め顔だ。


フェリシアは笑顔になった。千景さんとドラーゲン師匠。良い夫婦だ。


千景が最後の贈り物を取り出した。巨大な巻物。


「東方の地図じゃ」広げる。


だが。


「但し、わらわが書いたから方角は...その...」


一同が笑った。フェリシアも笑みがこぼれる。千景さんらしい。


「大丈夫、解読します」カルロが笑顔で言う。


千景が顔を赤くした。


「わ、わらわだって頑張ったのじゃぞ」


ドラーゲン師匠が近づいてきて、千景の頭を撫でた。


「ああ、助かる」


千景の尻尾が嬉しそうに揺れる。


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**【視点切り替え:フェリシア → ヴァルブルガ】**


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ヴァルブルガは千景を見た。誇らしげな表情をしている。そして、ドラーゲンに甘えている。良い夫婦じゃな。


「お姉さま」フェリシアを見る。「わらわたちも、ああなれるかの?」


フェリシアが微笑む。


「ええ、きっと」


二人は手を繋いだ。千景とドラーゲンのような、信頼し合える関係。わらわとお姉さまも、そうなれる。いや、もうなっている。


「ありがとう、千景殿」ヴァルブルガは声をかけた。


千景が振り返る。


「礼には及ばぬ。夫の弟子たちじゃからな」尻尾を揺らして笑う。


ヴァルブルガも笑顔になった。東方との絆。ノヴァ・ステラは、さらに強くなる。


窓の外では、市民たちが歓声を上げている。東方の妖怪たちと、西方の市民たちが、一緒に笑っている。東西の精神文化の融合じゃ。


神々も喜んでいるじゃろう。ノヴァ・ステラは、単なる国家統合ではない。文化と文明の融合なのじゃ。千景殿が東方大使となり、東西を結ぶ。これで、ノヴァ・ステラはさらに繁栄する。


謁見の間では、妖怪たちの芸が続いていた。新しい国の、新しい始まりを祝うように。


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