表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された最強おっさん魔族、女勇者を鍛えていたら国が分裂! 最終課題「魔王にセクハラしてこい」でどうしてこうなった!?  作者: よん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/94

第78話 神々の宣託

---


**【フェリシア視点】**


---


到着翌日の午前。


フェリシアは市庁舎の大会議室で、ヴァルブルガの隣に座っていた。周りには、ドラーゲン、千景、カルロ、グレイウォル将軍、そして両国の高官たちが着席している。


アンブロジウス枢機卿が前に立った。「皆様、お集まりいただきありがとうございます」声が会議室に響く。「昨夜、両国の神々から直接の宣託を受けました」


フェリシアは息を呑んだ。ヴァルブルガが手を握ってくる。


アンブロジウスが神託の書を取り出す。真新しい羊皮紙。金色と銀色のインクで書かれた文字。書から淡い光が漏れ、室内が神聖な雰囲気に包まれる。


「お聞きください」フェリシアは息を殺して聞いた。


アンブロジウスが読み上げ始める。「アルピリアの光神とノクテルヴァルトの闇神が、初めて合意されました」


光神と闇神が?フェリシアは驚いた。長年の対立を続けてきた神々が、初めて協力するというのか。


「勇者と魔王のシステムを、対立から調和へ転換すると」アンブロジウスが続ける。


「対立から...調和へ?」フェリシアは呟いた。


ヴァルブルガが手を握ってくる。「お姉さま」小さな声。


フェリシアは握り返した。


アンブロジウスが続ける。「双星守護システム」


新しい言葉だ。フェリシアは耳を澄ませた。


「これは、新たな継承システムです」周りの人々が身を乗り出す。


「光の代表、肩書は勇者。闇の代表、肩書は魔王。この二名が選定されます。選ばれた者は共同で統治する」


「そして...」アンブロジウスが重要な部分を読み上げる。「先代が引退した場合、残った側は大御所として新しい二人を支援する」


千景が尻尾を揺らした。「東方にも似た制度がある」妖狐が口を挟む。「経験者の知恵は貴重じゃ。妖狐の世界でも、長老が若い者を導く。これは良い仕組みじゃな」


師匠が頷く。「世代交代と経験の継承を両立できる」


千景は師匠の腕に寄り添った。「夫も認めておるぞ」


カルロが質問する。「選定方法は?」


アンブロジウスが答える。「神々が適任者を選びます。血統ではありません。選ばれた者は『星の兄弟姉妹』として結ばれます」


カルロが頷く。「世代交代がスムーズなら、経済的にも安定します」


フェリシアは考えていた。寿命差の問題。これで解決するのだろうか。いや、解決ではない。別の形での答えだ。


私が引退した後、ヴァルちゃんは新しい勇者と魔王を導く。そして、いつかヴァルちゃんも引退する時が来たら、その次の世代が...永遠に続く、継承の輪。


「私たちが最初の例となるのね」フェリシアは呟いた。


ヴァルブルガが頷く。「いずれは後進に道を譲り、支える側に回るのじゃな」


二人は顔を見合わせた。そして、微笑んだ。


師匠が口を開く。「世代交代の時期も重要だな。早すぎても、遅すぎても良くない」


アンブロジウスが頷く。「その通りです。適切なタイミングを見極める必要があります。神々の加護が、その判断を助けるでしょう」


グレイウォル将軍が質問する。「軍の指揮系統は?共同元首が引退した場合、軍はどうなるのですか」


アンブロジウスが答える。「新しい勇者と魔王が、軍の最高司令官となります。大御所は助言者として支援しますが、実権は新世代に移ります」


グレイウォルが頷く。「了解しました」


明確な回答だ。フェリシアも安心した。これなら混乱は避けられるだろう。


---


**【視点切り替え:フェリシア → ヴァルブルガ】**


---


ヴァルブルガは胸に手を当てた。いずれ、引退する日が来る。そして、お姉さまはもっと早く引退することになる。


寂しい。だが、それが自然なのだ。人間と魔族。寿命が違う。でも、お姉さまとの絆は消えない。引退した後も、一緒に新しい世代を支えられる。


「お姉さま」ヴァルブルガは声をかけた。


フェリシアが振り向く。


「わらわ、頑張る。新しい世代を、お姉さまと一緒に導くのじゃ」


フェリシアが微笑んだ。「ええ、一緒にね」


アンブロジウスが会議を締めくくる。「具体的な統治システムの協議を始めましょう」


カルロが経済面を説明する。「通貨統合は段階的に進めます」


グレイウォルが軍事面を説明する。「両軍の指揮系統を一本化します」


両国の高官たちが、詳細を詰めていく。


ヴァルブルガは窓の外を見た。空が晴れている。双子星が、昼間でも淡く輝いている気がする。


アンブロジウスが言った。「明後日の調印式で、神々の祝福が顕現するでしょう」


ヴァルブルガとフェリシアは、希望に満ちた表情で頷いた。新しい時代が、始まろうとしている。


会議が終わった。


ヴァルブルガはフェリシアと並んで窓の外を見た。


「お姉さま」


「ヴァルちゃん」


二人は手を繋いだ。


「寿命差の問題、完全に解決したわけじゃないけど」フェリシアが言った。「でも、道が見えたわ」


「うむ」ヴァルブルガが頷く。「わらわたちは、新しい継承の形を作るのじゃ。そして、いつか後進に道を譲る。それまでは、全力で国を守る」


フェリシアが微笑んだ。「ええ、全力で」


二人は窓の外を見つめた。ラゴマジョレの街が、活気に溢れている。市民たちが、笑顔で働いている。


「明後日、調印式じゃな」


「ええ、楽しみね」


二人は手を繋いだまま、未来を見つめた。新しい国の、新しい始まりを。そして、いつか来る世代交代の日を見据えて。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ