第75話 魔王の参戦、姉妹の連携も及ばず
## 【フェリシア視点】9-7 魔王の参戦、姉妹の連携も及ばず
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**【視点切り替え:フェリシア → 千景】**
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千景は二人の連携を見て、さらに怒りを募らせた。
息がぴったり合っている——それは、長い時間を共に過ごした証だ。
二人が《調和の螺旋》を再び試みようとする。光と炎が螺旋状に絡み合い始める。
しかし千景は冷静だった。
「その技、既に見た」
千景の尻尾が地面を叩き、衝撃波が二人を襲う。陣形が崩れ、螺旋が乱れる。
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**【視点切り替え:千景 → フェリシア】**
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「くっ...読まれてる」
フェリシアが別の角度から光の矢を放つ。ヴァルブルガが上空から炎のブレスを吐く。タイミングをずらした連携——しかし千景の九尾はそれぞれが独立して動く。
三本の尻尾がフェリシアの攻撃を防ぎ、別の三本がヴァルブルガの炎を相殺し、残り三本が反撃の妖術を準備する。
「千年の経験を舐めるな」
反撃の妖術が二人を襲った。氷の槍がフェリシアを、雷の鎖がヴァルブルガを捕らえる。
「うあっ!」
「お姉さま!」
二人が地面に叩きつけられた。
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**【視点切り替え:フェリシア → 千景】**
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千景が巨大な妖術陣を再び展開し始めた。
「千年妖術・九尾嵐華」
詠唱が始まる——荒野一帯を吹き飛ばす規模の妖術だ。そしてその余波は、おそらく街にも届く。
「40年も...いや、正確には40年じゃ。40年も想い続けたわらわの気持ちを踏みにじりおって!」
千景の声に、怒りと悲しみが混ざっていた。
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**【視点切り替え:千景 → フェリシア】**
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グルカが遠くから叫んだ。
「まずい!このままでは余波が街に...!」
フェリシアとヴァルブルガが必死に阻止しようとした。
しかし千景の妖力場が二人を弾く。近づけない——触れることすらできない。
「無駄じゃ。わらわの本気に、小娘二人では...」
フェリシアが苦渋の表情でヴァルブルガを見た。
「ヴァルちゃん...私たちでは」
ヴァルブルガも悔しそうに頷いた。
「わらわたちでは...勝てぬ」
二人が同時にドラーゲンを見た。
ドラーゲンが深いため息をついた。
「やれやれ...40年逃げ続けたツケか」
ドラーゲンが影から立ち上がり、前に出た。
千景の詠唱が一瞬止まった。
「ドラーゲン...」
ドラーゲンが真剣な表情で言った。
「千景、話を聞け。全ての誤解を解いてやる」
千景が再び詠唱を続けた。
「今更何を!お主がわらわから逃げ続けた事実は変わらぬ!」
ドラーゲンが覚悟を決めた表情で言った。
「分かった。逃げるのはやめる」
千景の詠唱が止まった。妖術陣がゆっくりと消えていく。
「...本当か?」
千景の狐耳が揺れた。
40年間待ち続けた——そして今、ドラーゲンがついに逃げるのをやめた。
千景が人型に戻った。巨大な狐の姿が消え、銀髪の女性が立っている。
「...話だけじゃ。騙したら、次こそ本当にお主ごと吹き飛ばすぞ」
ドラーゲンが苦笑した。
「分かってる」
フェリシアは、師匠がついに覚悟を決めたのだと感じた。
そしてこれから何が起こるのか——まだ誰も知らなかった。




