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追放された最強おっさん魔族、女勇者を鍛えていたら国が分裂! 最終課題「魔王にセクハラしてこい」でどうしてこうなった!?  作者: よん


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第63話 統合案の浮上、自然な流れ

## 【アストリッド視点】8-3 統合案の浮上、自然な流れ



海戦勝利の夜。


アストリッドは港湾地区で最も大きな酒場「人魚の錨亭」を貸し切っていた。


「さあさあ!今夜は飲んで食って騒げ!」


店内は勝利を祝う船乗りたちで溢れかえっている。アストリッドが自腹を切って、全員に酒と料理を振る舞っているのだ。


中央のテーブルには、フェリシアとヴァルブルガが並んで座っていた。その前には新鮮な魚料理が山盛りになっている。


「これは全部お二人のおかげだ!存分に食ってくれ!」


アストリッドが豪快に笑いながら、さらに料理を運んでくる。焼き魚、魚介のスープ、海老の蒸し焼き、タコのマリネ——港町ならではの豪華な魚料理が次々と並んだ。


「こんなに...!」フェリシアが驚いた。


「わあ、嬉しいのじゃ!」ヴァルブルガが目を輝かせた。


アストリッドが大ジョッキを掲げた。


「我らの勝利に!そして勇者様と魔王様、そして魔王ドラーゲン様のおかげだ!」


酒場全体が歓声を上げた。


「勇者様と魔王様のおかげだ!」


「神々の加護を破った三人に!」


「タラッサの救世主たちに!」


船乗りたちが口々に叫び、ジョッキを打ち鳴らす。アストリッドは満足げに頷きながら、二人の様子を観察していた。


---


**【視点切り替え:アストリッド → フェリシア】**


---


フェリシアは、周囲の熱気に少し照れながら、ヴァルブルガと一緒に魚料理を楽しんでいた。


「おいしいのじゃ!」ヴァルブルガが焼き魚を頬張りながら幸せそうに言った。


「本当ね」フェリシアが微笑んで、ヴァルブルガの皿に自分の魚を分けてあげた。


その自然な仕草を見ていたアストリッドが、ラム酒を飲みながらふと口を開いた。


「なあ、素朴な疑問なんだが」


「はい?」フェリシアが首を傾げた。


「君たちを見ていると、なぜ二つの国である必要があるのか分からなくなる」


---


**【視点切り替え:フェリシア → ヴァルブルガ】**


---


ヴァルブルガはアストリッドの言葉に、目を丸くした。


二つの国である必要?考えたこともなかった。


ベルント士官も同意した。


「確かに、戦闘中も完璧に息が合っていました。勇者様の光と魔王様の炎が同時に旗艦を襲った時、まるで...」


「一つの軍隊のようだった」アストリッドが続けた。「神々の加護を破ったあの連携攻撃は見事だった」


フェリシアとヴァルブルガが顔を見合わせた。


「言われてみれば...」フェリシアが考え込む。「最近ずっと一緒に決めてるわね」


「朝起きてから寝るまで、ほとんど一緒じゃ」ヴァルブルガが素直に言った。


カルロが商人の視点で補足した。


「実際、両国の通商協定も実質一本化されています。関税も撤廃され、人の往来も自由です」


アストリッドが豪快に笑った。


「だろう?海の男は単純でな、一緒にいたい奴とは一つの船に乗る」


「一つの船...」フェリシアが呟いた。


「君たちは既に同じ船に乗ってる。なら、船を一つにすればいい」


アストリッドの言葉は、海の民らしく率直だった。難しい理屈ではなく、感覚的に正しいと思うことをそのまま口にする。


フェリシアの顔が赤くなった。


「で、でも、勇者と魔王が同じ国なんて前例が...」


「前例なんてどうでもいいのじゃ」ヴァルブルガが即座に言った。「お姉さまと一緒がいい」


船乗りたちが囃し立てた。


「そうだそうだ!」


「一つの国の方が分かりやすい!」


「前例なんて作ればいい!」


---


**【視点切り替え:ヴァルブルガ → ドラーゲン】**


---


ドラーゲンは酒場の隅で、静かに酒を飲んでいた。


この展開は予想していた。いや、むしろ誘導していたと言ってもいい。


各国での反応を見て、統合への機運が自然に高まるように布石を打ってきた。グウィンの提案、バリンの経済論、そして今夜のアストリッドの率直な疑問。今日の海戦での完璧な連携も、二人の絆を周囲に見せつける良い機会だった。


全てが計算通りだった。


「確かに、一緒にいる方が自然になってきたな」


ドラーゲンが静かに言った。その言葉は、二人への許可のようにも聞こえた。


フェリシアが小声でヴァルブルガに尋ねた。


「本当に...できるのかしら」


ヴァルブルガが手を握った。


「できるのじゃ。お姉さまとなら何でも」


---


**【視点切り替え:ドラーゲン → フェリシア】**


---


フェリシアは、ヴァルブルガの手の温もりを感じていた。


統合——その言葉の意味は重い。二つの国を一つにする。それは歴史に残る大事業だ。


しかし、不思議と恐怖はなかった。ヴァルブルガと一緒なら、できる気がする。


アストリッドが大きな声で言った。


「ほら、答えは出てる。後は勇気だけだ」


カルロが既に帳簿を取り出していた。


「では仮定として、統合後の経済効果を計算してみましょう」


カルロのペンが羊皮紙の上を走る。数字が次々と書き込まれていく。


「関税撤廃による貿易拡大、通貨統一による流通効率化、軍事費の最適化...」


「どのくらいになるんです?」ベルント士官が興味津々で尋ねた。


「控えめに見積もっても、両国のGDPが3割増です」


船乗りたちが驚嘆の声を上げた。


「すげえ!」


「俺たちも儲かるのか!」


アストリッドが笑った。


「経済的にも、軍事的にも、何より感情的にも理にかなっている。やらない理由がないじゃないか」


---


**【視点切り替え:フェリシア → ヴァルブルガ】**


---


ヴァルブルガは、周囲の反応を見て嬉しくなっていた。


皆が、自分たちの統合を応援してくれている。前例がないとか、難しいとか、そういう否定的な言葉は誰も口にしない。


「お姉さま」ヴァルブルガがフェリシアを見つめた。


「本当に一緒の国にできたら、素敵じゃのう」


フェリシアが優しく微笑んだ。


「そうね。ずっと一緒にいられるわ」


「朝も夜も、ずっと一緒に相談できる」


「会議も、食事も、全部一緒」


二人が自然に手を繋いだ。周囲の船乗りたちが温かい視線を送っている。


アストリッドが満足げに頷いた。


「決まりだな。タラッサは統合を全面的に支持する」


ドラーゲンが静かに付け加えた。


「ただし、準備は必要だ。法制度の統合、民の理解、国際的な承認...」


「分かってるのじゃ」ヴァルブルガが真剣な顔で答えた。「でも、やる価値はある」


フェリシアが頷いた。


「時間をかけて、丁寧に進めましょう」


カルロが計算を終えて顔を上げた。


「詳細な計画書は後日作成しますが...これは歴史的な事業になりますよ」


船乗りたちが再び歓声を上げた。酒場全体が、新しい時代の始まりを祝福するような熱気に包まれている。


フェリシアは窓の外の月を見上げた。海に映る月光が、美しく揺らいでいる。


新しい国——ヴァルブルガと一緒に作る、二人の国。


その未来が、少しずつ現実味を帯びてきていた。


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