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一人で生き残るつもりだった。死に戻って最強の離島シェルターを築いたら、仲間と未来を作ることになった。  作者: 雪凪
第1回本土進出編

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3-10 異世界へようこそ

今回は陽菜乃視点になります。ちょっとうるさいです。




 はいは〜い!

 今回は、わたくし橘陽菜乃が、皆さんを異世界へとご案内したいと思います〜!


 そして、本日のパーティメンバーはこちら!


 まずは魔王ことリーダー神崎さん。

 見た目は、フツーの優男だよ。たまーに前世のトラウマのせいかダークサイドに堕ちてるけど、基本的には無害ないい人!

 準備魔で、常にBプランどころかCプランまで準備してないと落ち着かない心配性だけど、それが今はめっちゃ役に立ってるからOKかな?

 でも時々、「俺なんか……」って卑屈になるのはやめてほしい。ダルっ……じゃなくて、えっと……うん、そういう風に、常に真面目に反省してるとこが神崎さんらしくていいんだよね~。


 次は騎士団長こと田村さん。

 見た目も中身も脳筋! 以上!! 

 ……あ、ごめん、もうちょい説明すると、ミリオタで物理もメンタルもめっちゃ強くて、戦闘の時は判断がブレなくて頼もしい隊長になる。

 でー、基本的に、「ぶん殴れば解決」ってタイプ? 絶対に中高生の頃は二つ名持ってるやんちゃ系だったと思うなー。子供には激甘で、莉子ちゃんと悠真君にデレデレなのがギャップ萌えかも~? 暑苦しいけどいいパパになりそうなタイプかな? 私のパパだと嫌だけど。


 そして腹黒宰相ことレオさん。

 いつも穏やかで、「ほぅ、興味深いですね」って何でも観察してる感じ。記録魔で、全方面の知識が豊富で頼りになるんだけど、なーんか裏がありそうなんだよねー。謎の情報網も怪しい……絶対なんか隠してる! 

 あ、コーヒーは絶品だよ。ハーフで文句なしのイケメンだし、足が長くてソムリエエプロンがめっちゃ似合うんだー。カフェ店員だったら、SNSで「#激メロ店員」ってバズってるはず!


 そんな感じのメンバーで、今日は榊原さんっていう市役所のおじさんを、山奥の実家まで送り届けるミッションなのだ! Here we go~!






 車でガタガタ山道を登ってたらさ、いきなりヤバい光景が飛び込んできたの!


 なにがヤバいって、70歳くらいのお爺ちゃんが農具持って魔物と戦ってるんだけど、それだけじゃないの。謎の念仏? 呪文? を大声で唱えてるのよ!


「ナムオオミカミ、ナムホトケー、アマツユノミズ、イエタマエー、イノチヲツナイデヤミハラエー!」


 は? なにそれ? 魔法の詠唱? 呪いの呪文?

 助けなきゃって、車からみんな飛び降りたのに、それを聞いて固まっちゃったよ。


 こういう時って、田村さんがピューッて真っ先に駆け出しちゃうんだよね、神崎さんが「待って、周囲の確認を!」って言ってるのに、チラ見で「問題ない!」っていつものパターン。

 でも、今日はその駆け出そうとした足が3歩で止まっちゃって、みんなポカーンだよ。


 お爺ちゃんの呪文だけじゃなくて、その後ろにいるお婆ちゃんが、ベルみたいなのをめっちゃ独特なリズムで鳴らしてるの。


「チン、チン、チーン、チン、チチチ、チチチーンチン」


 もしかして、まさかの音ゲー?! 音と攻撃のリズムがあってるぅ~! なんかすごい!


 しかも、これが効いてるっぽくて、黒い犬型の小型魔物がフラフラになってるの。そこをお爺ちゃんが塩をパって撒いてくわでバシッと!


「ほれ、こんなもんじゃ」


 お爺ちゃん、レベチでカッコいい! 完全に隠しボスキャラじゃん~!


 神崎さんたちが 「大丈夫ですか?」 って駆け寄ったら、ニコニコして「あら、お客さんかい? 榊原さん、久しぶりじゃのぉ」って。いや、余裕ありすぎでしょ!

 レオさんがベルの音について 「周波数でもなさそうだし、リズム、いや、何かの共鳴? ……理解できない」 って、珍しく顔をしかめて考え込んでた。

 さすが異世界日本昔話。腹黒宰相すら困惑させてるよ。




 でさ、私たちがめっちゃ驚いてるのに、榊原さんは超平然としてるの。


「あぁ、昔からここらではこうですよ。猪でも熊でも、リンとお清めの塩で倒します」


 いやいやいや、おかしいでしょ! それ、野生動物じゃないから! 魔物だからね?!

 呪文唱えながら魔物退治とか、どこのファンタジー世界だよ……いや待って、野生動物でもおかしいから! え、おかしいよね……?


「都会の人には珍しいでしょうけど、これが田舎では普通なんですよ」


 榊原さん、その「普通」の基準、絶対おかしいってー!






 清水谷村は、普通の田舎の集落って感じだけど、森の中を抜けた先に広がっているから、ちょっとマップの端っこの隠し村っぽくて面白い。

 集落の北側の少し高い所にお寺があって、あとは30軒くらいの家が、いくつかの塊になって散らばってる。田んぼの稲は、なんか青々としてるし、畑にトマトやナスがなっているのも見える。


 火山灰どうしたの? なんか空気が澄んでるですけどー!!




 榊原さんの家に着いたら、めっちゃかわいい男の子が飛び出してきた!

 4歳くらいかな? ハルト君っていうらしい。


「パパー! パパー!」


 榊原さんに抱きついて、エグエグ泣いてる。あぁ、お父さんの帰りをずっと待ってたんだね。かわいぃ〜。でも、お母さんはのんびり出てきて、


「ハルト、だからパパは大丈夫だって言ったでしょ〜。オオミカミさまの言うことに間違いはないんだから」


 だって。オオミカミさま? なにそれ、怪しい宗教?


 榊原さんも苦笑いしながら、


「ひどいなぁ、かなり大変な生活してたんだよ。オオミカミさまに文句言わなきゃ、ははは」


 って、いや、笑い事じゃないでしょ! 軟禁されてたでしょ!


「ハルト、喉は大丈夫か?」


「うん! ゼーゼーしなくなった! ハルトね、アマツユを飲んでいいってオオミカミさまが言ったから、飲んだらすごく楽になったの!」


 え? 喘息が治った? なにそれチート水? 異世界の回復薬?


「そうか、じゃあ安心だな」


 私たち4人、完全にRe:ポカーン。これ、本当に現実? 異世界小説に転生しちゃった?

 オオミカミさまって、いったいなにーー!? 誰か教えてー!




 榊原さんに連れられて、集落のお寺に向かったんだけど、住職さんがまた独特な人だった。独特すぎた。60代くらいのお爺ちゃんなんだけど、めっちゃニコニコしてて、


「おぉ、榊原さんを連れ帰ってくださったか! これでハル君も安心じゃな、本当にありがとうございます」


 って、深々と頭下げてくれて、いい人っぽい。


「これもオオミカミさまのお導きじゃ。ありがたやありがたや」


 また出たオオミカミさま! って、ここお寺じゃないの? 『オオミカミ』 って明らかに仏教系じゃないよね??

 神崎さんと田村さんは、笑顔のまま固まってて、それはそれで面白い。レオさんだけが嬉々としてタブレットに何か書き込んでる。腹黒宰相はブレない。

 ちなみに、レオさんの記録魔は筋金入りで、いつもボイレコや胸元の隠しカメラで記録していて、日記風記録にまとめてくれたりする。でも、あきらかに見せてくれるまとめの10倍は何かを記録してるっぽいんだよなー。やっぱ怪しい。




 神崎さんが気を取り直して、


「少し支援物資を持ってきたんですが、必要でしたらお渡ししますよ」


 って聞いたら、住職さんの反応が面白かった。


「塩ですか? いやいや、お清めの塩なら山の岩塩を切り出して作ってますから大丈夫じゃよ」


 マイ〇ラかよ! 岩塩を切り出すって、どんだけサバイバルなの、この村!


「熱中症対策の品ですか? ありがたいのじゃが、ここは夏でも冬でもあまり気温は変わらないんじゃよ。天然のエアコンみたいなもんじゃ」


 なにその恵まれた環境! ここ日本! 日本には四季!!


「お菓子ですか! それはありがたいことじゃ!」


 住職さんの目が輝いてるよ、甘党なのかな? あ、お供え用??


「子供たちも喜ぶじゃろう。いや、大人も喜びますかな、わっはっは!」


 お菓子が喜ばれて、ほんとーによかったよ。だって、その物資はいらないって言われるたびに神崎さんから負のオーラが出るんだもん。備蓄魔王が闇落ちするとダルっ……いえ、大変だからねっ! よかったよかった。うんうん。




 で、気になってたオオミカミさまについて聞いてみたの。


「オオミカミさまというのは、昔からここらで信仰されている古いご神体でしてな。大きな樹なんじゃよ」


 樹? 世界樹? ユグドラシルキタコレーー!!


「その樹に手を当てると、不思議なことが起こると言われておりますのじゃ。ある人は予言を聞いたり、ある人は無くし物の場所を聞いたり、ある人は結婚相手を教えてもらったりと」


「それは便利な……いえ、失礼、神秘的な樹ですね」


 神崎さん、驚き過ぎて本音が漏れてるよ。


「その樹の隣の泉から湧く水は、天露あまつゆとよばれて昔からこの地で大切にされておりますのじゃ。病を治してくれ、老いても元気に暮らせると言われておりますのじゃ」


 えぇーその泉って、セーブポイント的な? もしかして、触ったらHP全回復する系?

 思わず私たち4人は身を乗り出してしまう。


「じゃが、村人以外は立ち入り禁止なのじゃ」


 住職さんが申し訳なさそうに言う。


「昔、天露を巡って大きな争いがあったそうじゃ。それ以来、よそ者は入れないことになっておりますのじゃ」


「そうだったんですか。大変ですね、いつ頃ですか? 戦前ですかね」


 レオさんがタブレットに書き込みながら聞くと、


「1000年くらい前ですかな」


 って、平然と言うけどさ、1000年って平安時代? 盛りすぎっしょ!

 でも、天露あまつゆって……さっきハルト君が飲んだって言ってたやつだよね。喘息が治るとか、チートすぎない!? エリクサー? 万能薬? 

 この村、ガチで異世界日本昔話じゃん!


 それにしてもさー、住職さんと話してる時の神崎さん、また始まったよ。 相手の話に合わせすぎて、自分の言いたい事を後回しにしちゃうやつ。 前世のトラウマなのかな? でも、それが相手を安心させるのも事実なんだよねー。 計算じゃなくて天然でやってるところが、この人の強みなのかもしんないなぁ。





 でさー、話が魔物対策に移ったら、住職さんが急にテンション上がったの!


「君たちも、あのサバイバル掲示板サイトを知っているのか!」


 えっ、知ってるの!? しかもスマホをスイスイ操作してる! お坊さんなのにIT強者!? いや、電子マネーでお賽銭とか、法事をネット予約とかニュースでみたけどさ。


「わしもダウンロードして使っとるよ。魔物探知アプリ、ほんに便利じゃのぉ」


 そして見せてくれたのが、なんか手作り感満載のごっつい外付けアンテナ。


「これで500m圏内の魔物はバッチリわかるぞい」


 500mって、エグっ! 自作アンテナの限界は200mだよね、どゆこと?! 悔しい! めっちゃ悔しい!


「素晴らしい探知範囲ですね。このアンテナは、自作ですか?」


 レオさんが興味深そうに聞くと、


「こういった工作は、チィちゃんが得意でのぉ。このサイトの技術交流板の図面を見て、すぐに作ってくれたんじゃ」


 チィちゃん? 誰それ? 私より優秀なエンジニア? 許せない!


「チィちゃんさんは今どちらに? 是非、お会いしたですぅ~」


「一度戻ってきたが、高専に戻ったのじゃ。向こうでも頑張ってるらしいのぉ」


 高専! 理系エリートじゃん! でも負けない! 絶対負けないっっ!

 正直さ……私はほとんど独学だから、たまにポカっと基本が抜けてんだー。そこはさ、ちょっと、ちょっとだけコンプレックスなんだよ。チィちゃんは高専で専門的なことをきちんと順番に習ってるんだろうなぁ。くぅー、ジェラるぅ。


 あ、掲示板サイトが私たちの運営だってことは内緒にしとこって目で合図し合ったよ。浮世離れした、異世界の集落だけど、やっぱミリの危険もおかせないからね! 




 住職さんがアプリ使ってるの見てたら、地図との連携ができてなかったの。

 チャンス! ここは、私の実力を見せつける時だよね!?


「住職さん、ちょっとアップグレードしましょうか? 私も、少し得意なんですよ~」


 ノートPCを取り出して、カタカタカタッとコード書いて、アリスに作ってもらったこの辺の地図データと連携させた新バージョンを作成。その間、7分28秒。どやっ!!


「おぉ! 探知画面に地図が表示されとるじゃないか。これは素晴らしいのぉ~」


 住職さんの目がキラキラしてる! やった! チィちゃんとかいう奴より私の方が上!(たぶん、当社比)


「これで魔物の場所が、すぐにわかるようになるのぉ。かたじけない」


 ふふん、どうよ! これが橘陽菜乃の実力よ!




 住職さん、めっちゃ喜んでくれて、


「お礼にこれを持っていってくだされ」


 って、塩を大量にくれた。普通の塩に見えるんだけど……


「これは特別なお清めの塩でしてな。黒い犬はもちろん、銀色の犬にも効きますぞ」


 田村さんが急に身を乗り出した。


「銀色の犬!? レア種にも効くんですか!?」


「そうじゃ。一撃なのじゃ」


 レオさんが塩をじーっと見つめている。あれは絶対に「分析してみたいですね。大変、興味深いです」とかって考えてる目だよ! でも確かに気になる! なんで効くんだろ?

 この村、規格外すぎない? 謎しかないんだけどーー!




 それから、村を案内してもらったんだけど、ガチでヤバい異世界だった。

 まず、普通の50代くらいのおばさんがドローン飛ばしてるの!


「あら、お客さん? 珍しいわね〜」


「あの、それはドローン……」


 神崎さんが聞くと、


「え、これ? 山にいる夫にお弁当届けてるのよ。もう歳だし、なんでも使わないとやっていけないの〜。凧揚げと変わんなくて便利なのよ」


 凧揚げと同じ感覚!? もしやオプションでデススト、配達ゲーも入っちゃってる感じ?


「科学でも仏さまでもオオミカミさまでも、効くなら何でもありがたいわ〜」


 って笑ってる。この軽やかさ、ヤバい。

 神崎さんたちも唖然としてる。そりゃそうだよね。お寺が中心の集落って聞いて、「空の母」っていう新興宗教の魔女狩りとか、そういう要注意人物がいるかもって想像してたんだもん。でもここは全然違う。めっちゃ平和。


「そういえば、魔物アプリが便利になったぞ。あとで村の掲示板に上げとくでの」


 待って、村の掲示板て何? え、Wi-Fi DirectとBluetooth Meshで村の中だけ使えるネット環境があるの? チィちゃん、レベチすぎっ!! ちょっと話してみたいかも……アリスが掲示板にアクセスしている端末を識別できてるから、おおまかなエリアを絞って技術交流板へのアクセスログをたどればチィちゃんがわかるかも……って、ダメダメ! やっぱ管理者権限でユーザーの行動追跡するのって、完全にアウトだよ! 我慢我慢!





 物質化の話を聞いたら、また面白かった。


「それぞれの家で決めましたけど、うまく分かれましたよね。なんとなく里山さん家は豚肉と小麦粉とキャベツっぽいし、三根さん家は燃料を頼みそうだわ。じゃあ、うちは作物の苗にしようかしらって感じで。なんとなく、そういう時はお互いの考えてることがわかるんですよ」


「お米や野菜は普通に作ってるし、鶏も飼ってるから卵にも困らんのじゃ」


「火山灰はどうしてるのでしょうか。この辺りは、とてもきれいですね」


「この辺は風の関係か、最初の一日目以外は降ってないですよ。火山灰が降ったら、ハルト君の喘息にも悪いし、すぐに終わってよかったわ~」


 チート村すぎる! 恵まれすぎでしょ! おかしいでしょ!!


「ハルト君の他に、健康に不安がある方がいたら、遠隔ですが医者の診療もできますよ?」


「そういえば先週、タケが魔物に噛まれたけど、なんともなかったなぁ」


「この村の人間は昔から丈夫でのぉ。怪我しても、具合が悪くてもすぐ治るんじゃよ」


 なにその体質。バグ? チート? 全員、怪しいバフかかってる?




「困ってることは?」って聞いたら、住職さんが少しだけ笑って、


「過疎化と高齢化じゃな、ははは。なるようにしかならんのぉ」


 なんか切な……くない。カラッとしてる。


「人がいなくなるなら、それがオオミカミさまの思し召しですものね~」


 ドローンを操作していた女性も、無事に本体回収して、ニコニコと笑っている。


「ただ、子供たちが学校に通えなくなったうえに、インターネットの学習サイトや動画も見られなくなったのが困っているのよねぇ……」


 よし! ここは私の出番ね、任せて!


「おばさん! 勉強プログラムならご用意できますよ!」


 秒でアリスにお願いして、オフラインでも使える学習プログラムと勉強ゲームをピックアップしてもらった。小学生から高校生まで対応してる完全版!


「これは……素晴らしいのぉ! 子供たちが喜ぶのじゃ!」


 住職さんの笑顔がまぶしい! やったー、また点数稼いだよね? チィちゃんより頼れるっしょー!!




 車に戻ってから、ヘッドセット越しに桐島ママと話してたら、


『途中で聞こえた清水谷……昔は天露里あまつゆのさとと呼ばれていた集落なんですよね……』


「え、桐島ママ、知ってるの~?」


『どこかで聞いた覚えが……学生時代かしら、論文テーマの検討中に……そうだわ、民間治療の研究をしている友人が探していた場所かもしれないわ。元気なら、隣の市の市民病院にいるはずよ。ちょっと変わり者だけど、ローカルな医療知識に詳しい人なの』


「へー、そんな有名な場所だったんだ!」


『魔物に噛まれても平気な人がいて、高齢者までみなさんお元気……これは医学的にも興味深いですね。天露の成分分析もできたら……』


 桐島ママ、完全に研究者モードに入っちゃった。血液サンプルとか水のサンプルとか、そういうの欲しいんだろうなー。タケさんの血、やっぱもらってくればよかったかな? でも山の炭焼き窯に行ってるって言ってたし。




 みんなは、清水谷村の話を熱く語っている。


「伝統と革新の融合が重要なのはもちろんだが、まずは人々の柔軟性というベースがねぇと──」


「つまり、宗教の持つ心の安定装置としての機能が、オオミカミさまという共通概念を通して──」


「やはり、コミュニティの核となるものの必要性が顕著で、それは物質的な場とは限らずネット空間でも──」


 はいはい、また小難しいことばっかり考えてるよ、この魔王と部下たちは……。この人たち、意外とバランス良いトリオなんだよね。理想主義と現実主義と、ちょっとずつズレてて、でもそれが噛み合ってる感じ。あんま話に参加しようとは思わないけどね~。




 でもさ、今日は楽しかったな~。マジで異世界に行ったみたいだった。

 不思議な呪文を唱えながら魔物退治するお爺ちゃんとか、ドローンでお弁当配達するおばさんとか、ネットを使いこなす住職さんとか。

 みんな明るくて、優しくて、不思議だけど温かい村だった。


 それにしても、チィちゃんって誰なんだろ。高専にいるらしいけど……負けないからね! 絶対負けない! 今度会ったら、私の方が優秀だって証明してやる!

 ……でも、ちょっとだけ会ってみたいかも。どんな人なんだろね。チィちゃんって、チハルちゃんかな? チサトちゃんかな?? お友達になれるかなぁ。


「陽菜乃ちゃん、何、百面相してるの?」


「な、なんでもない! 別にっ!」


 神崎さんに突っ込まれて慌てる私。




 今日の異世界日本話探訪、これにて終了!


 次回、橘陽菜乃はついに宿敵(?)チィちゃんと対決なるか!? 乞うご期待!

 ……って、誰に向かって言ってるんだろ、私。

 まぁいっか。楽しかったな~!



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 音楽バンド組んだりホログラム組んだりする住職も居るし理系ぐらい普通普通。
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