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11.そのあと

 勇者一行が戻ってきた。


「ついに、敵を討つことが出来ました」


 女賢者であるエルフは地に跪いて墓地で眠る過去の仲間に報告をした。

 国王への報告のあと、盛大なパレードが行われることになった。


「勇者様、万歳!」

「聖女様、万歳!」

「魔法使い様、万歳!」

「賢者様、万歳!」


 祝福を浴びる勇者一行。この日ばかりはすべての住民が窓から顔を出したほどだと言われている。

 紙吹雪が道路を舞い、馬車が進んでいく。

 王宮の音楽隊も立派な演奏を次々と披露して、盛り上げるのに加わった。


「いい感じじゃん」

「そうですなのじゃ」

「もう神託とか要らない感じ?」

「まあ、そうなのじゃ」

「なんか、さびしいって顔してるね」

「別にいいなのじゃ」

「もうこの星は彼らの惑星だもんな。俺たち神が下手にいじくりまわすものでもあるまい」

「ふむ」


 さて次に神託が必要になるときが来るだろうか。

 そのときまでアイテール教は存続しているだろうか。

 勇者一行が魔王を打ち、世界に平和が訪れた。


 一応平和ではある。

 ただちょっと帝国のメンツが王国に丸潰れにされたのを根に持っている気配はある。


「パレードも終わったな」

「そうですね。勇者様」


 勇者は彼女たちを嫁に貰って、ハーレム生活をしている。


「勇者様、おやすみなさい」

「おやすみ」


 毎日、お休みの挨拶をして、おはようの挨拶をする。

 充実した平和な日々。これのなんと尊いことだろうか。

 自分好みの美少女たちを集めただけあって、充実した新婚生活をしているらしい。

 こうしてまだ子供が生まれ、世代を重ねていく。


 魔王は討伐されても、ダンジョンや魔物はまだ残っている。

 ダンジョンは管理されて冒険者たちが生活するのに必要な物資を吐き出している。

 森などの魔物も同様にお肉や魔石が有効活用されていた。


 地球世界と異なり、魔法もポーションもある世界。

 同じようでちょっとずつ違いがある。

 魔道具の発展も、最近は目覚ましい。


 過去に使われいたとされる、冷蔵庫、扇風機、冷暖房機なども普及しだしていた。

 そして洗濯機。

 なぜ今までなかったのか、とさえ言われた。


 少しずつ、ほんの少しずつ、生活は豊かになっていく。

 世代を重ね、技術が進歩していき、新しい改革や革命が起きていく。


 もちろん戦争が起こることもある。

 皮肉なことに戦争によって発展した技術も存在する。


 それでも人類はあきらめない。

 世界が豊かに、発展していくことを、今後もやめることはできない。

 未来のために。将来の子供たちのために。

 自分たちができることはなにか、まだまだ試行錯誤は続いていく。


 ここから産業革命、ラジオ、テレビ、IT革命など、地球人類と同じような歴史をたどると考えられる。

 鉄筋コンクリートのビル群、高速鉄道、飛行機輸送。

 目まぐるしい時代へと突入していくのだ。

 戦争で星が崩壊してしまわないのだろうか。

 核ミサイルの乱用など人類に自制心があることが前提だろう。


「打ち上げ、五秒前、三、二、一、発射」


 そのうち、ついに宇宙ロケットが惑星を離れて飛んでいく時代になる。

 最後、惑星シミュレーターとしては、宇宙コロニーなどから外宇宙へと旅立っていくと一つのマイルストーンを迎える。

 一つの星としては、完成系を迎えたともいえる。

 その前に文明の崩壊が発生し、振出しに戻る場合もある。

 はたしてそこまでの発展をするのかは、これからの謎だろう。


「ほら、いい感じの話になった」

「そこ茶化さないなのじゃ、ルンガ様」

「そういうアイテールだって涙なんて流しちゃって」

「ちっ、違うなのじゃ」

「あはは」


 俺たち神はなにができるのだろうな、干渉しなくなった世界において。

 ただじっと見守るのみだろうか。

 それはそれで悪くはないかもしれない。


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