綺麗とか、可愛いとかじゃねーけれども
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
作者が異性にモテそうな子を書いて。と言われたらこんな感じ。
奇抜で派手な子も可愛いんですよ。
でも日の目に当たらないところで、ひっそりと穏やかにしている子も、抱き締めたいくらい好き。
他の奴らが、どんな人を好むかは昔から知らない。華美で目立つ女性は一定の人気があるだろうし、一種の憧れであるだろう。けれどもその対極に位置する彼女が、誰かの目に止まらないとは到底思えなかった。
彼女は人目を引く容姿という訳ではなく、一言で表すならばパッとしない。けれども何処か憂いを帯びた瞳は何時も凪いでいた。そしてその風貌に違わずに、穏やかだった。
――後は此方でやっておくから、貴方はもう手放して大丈夫。
――好きにしていいよ。決定に意義は無いから。
決して声を荒立てず、ひっそりと、ただ囁く様に。
ある時、催し物の準備をしている時に、二人きりになった。彼女は特段無駄口を叩かず、何時もの様に与えられた仕事を黙々と粉していた。
「あのさ」
思わず声を掛ける。書き物をしていた手が止まり、面が上がる。凪いだ瞳が此方を捉える。
「面倒じゃない。これ」
口を着いて出たのは、全く別の言葉だった。そんな話がしたかった訳じゃない。もっと何でもない、彼女が喜びそうな話題を提供したかった。
今の言葉を撤回しようと慌てて口を開くと、彼女は惚けた様に此方を見詰め、それから『ふふっ』と笑った。
「私は無心になれれば何でも良いから。面倒には思わないかな。退屈もしないしね。だから真っ赤になって、慌てなくても大丈夫」
耳に染み入る声だった。波が浜を浸食する様に体の中に流れ込む。そうしていると、今まで面倒だと思っていた作業までも、どうでも良いと思える程に。
たじろぐ俺を面白いと思っているのか、彼女はしばらく俺を見詰めていた。
「可愛いね、貴方」
ただそれだけを伝えた。
男同士の恋バナで、誰が好きかの話題になった。皆、派手で可愛い女子達の名前をあげている最中、同席していた男子の一人が、薄ぼんやりと呟いた。
「なー俺、あの子の事好きかも知んない。ほら、実行委員の」
空気が変わる。此処にいる奴らは気が多い。派手で可愛い女を傍に置きたい事は嘘じゃない。けれども今、名前が上がったあの子の事が気にならない訳じゃない。
すると自分の趣味が悪いと思ったのか、突然声を荒あげた。
「良いだろ、別に!! 物静かで穏やかで、支えてくれて!! ……綺麗とか……可愛いとかじゃねーけど……その……なんか良いだろ!!」
それはその場にいた者全ての総意だった。
高校生以下の子には刺さらないかな。こんな子。
やっぱりその時代の子って、華美で奇抜、相手に自慢出来そうな子を選びそうな感じがするので。
だから多分、社会人になってから、『この人良いな』って思われてそうな感じの子。
華美で可憐な子も好きなんですよ。
鏡花ママとかその筆頭だし。ギャルにしたし。
でもこう、陰日向で全く目立たない、けれども静かに寄り添ってくれる。そんな子も抱き締めたくなるくらい好きなんですよ。
というか、私が男なら好きになってる。間違いなく。なんか良いんですよ。うん。
人が面倒だと思う事も真面目にやってるし、自分が苦手だと思うことも向き合って解決しそうだし。
そういう人は地道に成長するので、傍で眺めていても飽きない。
※人に飽きるとか失礼の極みですけど。