三日月大根、見守るサンタ
『なろうラジオ大賞5』参加作品。
テーマは「三日月」です。
今日は、大ちゃんの五回目のクリスマスパーティだ。
家族や親戚もニコニコしていて、この家は大好きだ。覗いていて心地良いな。担当サンタになれて嬉しい。
半月型の大根にまあるいニンジン。ソーセージの入ったポトフをみんなで食べているね。大ちゃんがかじった、半月切りの大根。歯型が付いて三日月になっちゃってる。
乳歯がちゃんとそろってる証拠。健やかに育ってるね。良いことだ。
大ちゃんは食べ物の形が変わるのが面白いみたい。まあるいニンジンも、太い三日月にしちゃった。ポトフに浮かぶたくさんの三日月の野菜。ソーセージはきれいに食べたね。食いしん坊さん。
ポトフも良いけれど、やっぱりケーキが気になる様子の大ちゃん。
明かりを消して、「メリークリスマス!」でふーっと息をかけたら切り分けよう――――おやおや大ちゃん何か考えているみたいだぞ……あ。
ポトフに浮かぶ三日月大根を手に取って、イチゴの横にブスッと刺しちゃった! なんて斬新なんだ、大ちゃん!
パパママみんなで、
「将来はパティシエかな?」
「いやいや、アーティストよ」
なんて話をしている。大ちゃんは、あまぁいケーキと交互にポトフを飲んでいた。こだわりなのかな。そんな大ちゃんは、食後、歯を磨いて部屋中を散歩して、眠ったよ。
……眠ったよね?
さぁ、これからが私の仕事だ。最近は暖炉が無い。だから身体や荷物袋を一度ミクロまで小さくする必要がある。トナカイさんは廃業してしまった。
窓に開いた小さな隙間から入り込む。この季節だというのに、カメムシが居てびっくりした。食べられそうになりつつ家への侵入に成功する。もとの大きさに戻って……えぇと、大ちゃんの部屋大ちゃんの部屋は……?
――――あった!
静かにドアを開ける。
(おぉーこれは、ひときわおおきな靴下だなぁ)
A4用紙をホッチキスでくっつけて……なになに、『せかいへいわ』か。難しいプレゼントだ。もうそんなことを考える年齢になったのか大ちゃん。さすがにこれは、収まりきらないぞ。
――――よし。
それなら、世界中のおひさまに伝えよう。
「人々の生きる明日をあまねく照らしてください」
大ちゃんの様な子どもたちが、それを支える人たちが、お互いの顔を見ることができるように。そしてその顔が笑っていますようにと、願って。
間違いない。地上のたいようのひとつは大ちゃん、君なんだ。その瞳と心に、光を失うことのないように。
(メリークリスマス!)
また来年!