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カウンセリング


千尋side


「うわ…すごいな…」


「こっちがティーガー1、これはパンターG型、重駆逐戦車エレファント」

「うそぉ…空冷ディーゼルの戦車は何処へ…?」


 現在ファクトリーの地下に潜って、戦車を見学中。

でかい。馬鹿でかい戦車が三つもある。

ファクトリーの財政どうなってんだ?

 と言うか、今ある戦車は碧の好きな空冷とやらじゃないみたいだ。



「空冷は時代遅れなんだよ。今は液冷に変遷してるぜ。お前の大好きな空冷はお払い箱だ」

「ガーン…そうなの?エンジンはマイバッハだっけ…」


「そうだよ。戦車はドイツがいいだろ?ティーガーなんかロマンだぜ。大砲が貫通しねぇんだから」

「そうだけど…そうだけどぉ…」


 


「おーう、待たせたな。随分すげぇ地下にあるんだな。相良は外部に連絡しに行ったぜ。うぉ!?」

「土間さんっ!!」


 蒼が土間さんにも飛びつくのは恒例だな、もう。相良は外部連絡…警察へ情報収集に行くと連絡があった。蒼に触発されたようだけど……手足が出なきゃ良いな。


 外からやってきた土間さんに飛びついて、蒼は微妙に眉を下げた。


「液冷エンジンしかないんです…土間さん…」

「いきなりなんだよ…全部ガソリンで動くんだから仕方ねぇだろ?しかしでかい戦車ばかりだな…まさか蒼が動かすんじゃねぇだろうな?」


「やらせねぇよ。大体の整備は俺がしてるが、流石にもう手が回らねぇんだ。頼むぜ、土間」

「あぁ、まぁエンジンならわかるが。駆動はどうなってるんだ?」

「説明する。こっちのは、電動のモーターがあってな…」


 


 土間さんが蒼を抱えたまま、宗介と戦車を見て回ってる。昴と慧がハラハラしながらそれを見守ってるし。

 土間さんは落っことしたりしないよ。よく鍛えられて柔軟性がある筋肉持ちで、蒼を抱えていても動き変わらない。


 しかし、宗介は出来ない事がないのだろうか?戦車の整備もして居たとは驚きだ。

 感心した心持ちで二人を眺める。良い年になってもあそこまで動けるようにしていたい、と改めて思った。



 

「先生は戦争屋してたんでしょ?何でも出来ないと生き残れないんだろうね」

「そうだな…」


 俺の足元から桃が喋ってきた。桃とはお互い、そこまで喋ったことが無かったんだよな。拳では語り合った過去があるけれども。


 

「宗介は本当に何でもできるし、蒼もやりそうで怖いよ」


「整備なんかすぐ覚えそうだね。すごいね、蒼は…本当に何でもできる。

 ファクトリー出の人が並外れている事は知ってたけど、ここまでなのは初めてだ」

「ファクトリー…銀か?」


 ちらっと目線を下にすると、桃は蒼を見つめたまま頷いた。

 毛先に染めたピンク色でピンキーなんだと思ってたが、本名の桃太郎が由来とは驚きだったな。最近は忙しいから髪の毛の先端に染めたピンク色は、ほとんど消えかけている。



「そうだね。ボクは銀と同期だからさ。だいぶ実力差がついたけど」

「ほぉ…そういや前の組織で一緒だったしな」


「懐かしいね。銀は鼻と耳がいいし、荒事の腕もあるから最初からエースだった。二人で組んで、ボクは情報屋と暗殺の仕事ばかりだったけど…銀は襲撃と乱闘が主だったかな。たまにやったいた外交は、御破算にする時だけだった。

 怪我してばかりでツンケンして扱いづらくてさ。あんなに丸くなるとは思わなかったな。

 でも、いつも助けてくれた。何度命を救われたかわからない。銀も優しい奴だから」


「そうか…」




 銀と桃は二人とも外部から拾ったんだ。俺と昴で潰した組織の中にいた。

 全員殺す予定だったのに、怪我をした二人の挑んでくる戦いが余りにも凄くて、俺がスカウトする形でそれを終わらせた。

 あの体で重い拳が繰り出せるんだ。そして、何より『相手を必ず生かして逃す』と言う覚悟が伝わってきて、こう言うメンバーが欲しいと思わせた。

 桃も元々優秀な戦闘員なんだが、最近は規格外ばかり見てるから自信を無くしてしまったんだろうとは思う。



「千尋にスカウトして貰ったのに、大して役に立ってないね。ごめん」


「そんな事ないだろ?桃はウチでもずっと情報屋を引き受けてくれた。

 昴の負担が減って、組織の仕事が楽になったのは桃のおかげだよ」



 情報を集める仕事は、下っ端の頃から昴がこなしてた。俺たちは一番下っ端から犯罪組織に潜入して、のし上がったが何をするにも情報がなければ動けないのが鉄則だし、情報屋が実は一番危険なんだ。 

 武力行使したくても出来ない、嫌な奴と付き合う、媚を売る…それをそつなつこなせてコンスタントに続けてきた桃だって、立派な組織のメンバーなんだけどさ。



 


「雪乃の情報だけじゃ足りないだろうし、そのうちダスクに潜る事になる。その時は頼りにしてるからな」

「うん。そうだね。蒼もついて来そうだけど」


「それは良くないな…秘密で動いてもらうしかないかもな」

「そうした方がいいよ。蒼は心配するだろうから。蒼に何かあればボクたちは総崩れになる。一人で全部、支えてくれているから…ボクは本当に役に立てないな…」



 うーむ。まいった。結構根が深いネガティブな空気だ。暗に蒼がいるんだから自分がいなくても良いんだ、と言う言葉が含まれている。

 うーん、うーん。俺、人を励ますの苦手なんだよな…。


 

「桃、そんな落ち込むなよ。銃だってグルーピングの話が出てくるくらい成長してるだろ?努力じゃないか」


 俺の言葉を受けて、桃が真っ直ぐ見てくる。


「努力するなんて当たり前だよ。元々能力値が低いボクが足手纏いになるのは目に見えてる。誰も彼も天才じゃないのだってわかってる。

 蒼だって辛い目にあって、今があるんだ。…それに…追いつけやしないのが悔しいよ」

「そう、だな…」


 む、難しいな。どうしたら良いんだ。


 桃がみんなの元へ歩き出す。

 俺は敗北した気分でトボトボ後をついていく。……励ますって、難しいな。うん。



 

「蒼、戦車は動かしちゃダメだよ?」

「桃!?いきなりどうしたの?う、うう動かさないよ!」

「怪しいな…?」


 桃に言われて蒼はそっぽを向いてる。

 土間さんと宗介が苦い顔になった。


「大体理解できた。あとはヘリか?」

「ヘリも似たようなもんだし後でいいだろ。それよりな、こっちを見てくれんか。正直難しくてわからんが、あれば安心だろう」


 宗介がわからない物なんてあるのか?なんだろう。


 地下に並んだ数々の物資を通り抜け、さらに奥へと足を踏み入れる。

 機関銃まであるのか…船の操舵室を模したシュミレーターを横切って、一番奥にある大きな砲台のような物をぺちっと叩く宗介。



 

「レールガンだ。知ってるか?」



 ハテナマークが浮かぶ。

 聞いたことはあるが…実物は見てないしよく分からん。四角い砲身に線がたくさん繋がって…砲弾を装填する部分が見当たらない。下に滑車がついてるけど…キコキコ動かして撃つのか?

 それにしたって砲弾がなくてどうするんだ?


「レールガンは電磁気力で発射する大砲でしょ?日本でも防衛庁が開発してたのは知ってるけど…もう出来たの?これ実用可能?」


 桃!知ってたのか!活躍できるな!!

 桃は訝しげな目で宗介を見つめてる。


「そうだよねぇ?弾が小さくて索敵できないから、迎撃とか索敵しづらいんだっけ?まだ実験段階じゃないの?」


 くっ、蒼も知ってた…。思わず桃を応援してしまう。がんばれ…。




「こいつは試作機だが、実用可能だ。何発かすでに使ってるぞ。北の方からよく飛んでくるだろ?アレにな」


「「あー」」

 蒼と桃が頷いてる。この話題が大丈夫なのか俺はドキドキしてるが。


「砲弾入れるところはないのか?」

「千尋…んなわけ無いでしょ。よく見て、ここにある」


 桃が小さめの入り口を指さしてる。

へー、そんなところから入れるのか…。


「そこ硬ぇんだよな…毎回開けるのに苦労してるんだ」

「そんなことある?武器だよね?」

「都度装填じゃなく十五発までは一気に入るからな。一発で命中してりゃ今のところ問題はねえが…」


「磁力の問題で砲身が痛みやすいのに連射できるの?」

「お、桃はよく知ってんな。そこが問題だ。威力も微妙だしな」


「威力を上げれば必要電力が増えるし、弾数を増やせば砲身が痛むし…でも迎撃ミサイルがあるのは良いことだよね…っと、開いた。ソケットの蓋が逆だったんじゃん」

「マジか…俺とした事が…」


 桃が蓋をあっちこっち押して砲身を入れる部分が開いたが、宗介がミスして居たとは珍しい。そんな事がもあるんだな。


 


「桃!血が出てる!」


 蒼が桃の手を握ってびっくりしてる。


「ありゃ、引っかけたかな。」

「爪割れちゃってる。痛かったでしょ…」

「大したことないよ」


 蒼がよし、と立ち上がる。



「私の本職を披露してしんぜましょう!」

「本職?ボクぶたれるの?」

「ちっ、ちがうの!爪、直してあげるから」

「???」


 蒼の本職って…あっ、ネイリストの事か。忘れてた。でも、ここに道具はないだろ?


「千尋!ここには歯医者さんがあります!」

「えっ?はい…」


 びっくりした。心の声を読まれた。



偽歯(ぎし)を作る道具があるはず。…あるよね?宗介」

「あるが…そんな怪我なめときゃ治るだろ?」

「だめ。私がいる限りそんなことはさせません」


 蒼が桃と手を繋いで、歩いていく。

 うーむ。どう言う展開になるんだ?




 ━━━━━━



 研究者達の建物に移動して、真っ白な人たちに囲まれた俺と蒼と桃。

 昴達はみんな他の機械を見に行ってるんだが、俺はジャンケンで勝ったから付き添いだ!




「モノマーとパウダーはこちらです。筆はこれを使ってるんですが…」

「ありがとう、大丈夫です。プライマーはありますか?」

「ありますが、爪の成分に有効かどうかは…」

「ですよねぇ、私もちょっとわかんないです」


 蒼がカバンの中から筆箱を取り出して、中から細長いヤスリとスポンジを取り出す。

 蒼が毎晩使ってる爪やすりだな。俺たちもやってもらってるんだ。ふふん。



「歯に使ってるなら爪と同じじゃないの?」

「桃、残念。歯と違って爪はケラチンなの。タンパク質だから髪の毛と同じ。とりあえずプライマーは酸が入ってるみたいだから使えるとは思うけどね」


 薬剤の瓶の裏面を眺めてる。仕事で薬品の名前も知ってるって言ってたな。

 ネイリストの参考書の中にあった薬品名だけでもかなりのものだったし、ネイリストさんは博識だ。




「マジ?カルシウムじゃないんだ?」

「俺も知らなかった…」

 思わず呟くと蒼が得意げに笑う。


「みんなそう思ってるみたいだね、昔からお客さんにもよく言われたもん。さて、じゃあよろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いします…」




 タオルを巻いてクッションみたいにした上に桃が腕を置いて、蒼が爪を観察してる。

 これが蒼の仕事姿か!初めて見た…。

 桃の爪を観察して、ふんふんと頷く。


「桃は乾燥しにくいみたいだけど油分が少なくて爪が薄いね。ハンドクリームかオイルを塗ったら爪も頑丈になるよ。また怪我したら良くないから全面保護にしておくね」


 ゴツい爪切りでぱちぱちと爪を切って、やすりがけしていく。

 指の使い方が綺麗だ。足元がガッツリ開いてるのは上半身を支えてるんだな。

 キッチンペーパーを下に敷いて、ゴミ受けにしてる。



「ハンドクリームで頑丈になるの?」

「そう。爪は縦横の繊維が三層構造で重なってるの。繊維は油分と水分があれば弾力が生まれてショックを受け流してくれるけど、なければ脆くなって欠けやすくなる。戻した椎茸と同じ原理かな。乾いていると踏んだら割れるけど水で戻せば潰れても割れないでしょ?」


「面白い例えだね。ちゃんと保湿したほうが安全でいいって事?」

「そうそう。爪を切った時に角を落としてあげると余計に良いの。力学的に割れにくくなる形だから」


「爪の仕事も意外に物理化学なんだ…」

「そうだよー。専門書が5000円くらいするんだけど、医学とか色彩学とかがあって、部位名なんて日本語と英語が両方あるんだよ。それでも筆記で落ちる人なんか殆どいないけどね」


「へぇー。蒼はお仕事の資格持ってるんだっけ?」

「そうそう。最近だと国家資格にしたいらしくて、団体が色々画策してるけど…美容師さんと違って生活になくてはならないものじゃないから…難しいだろうなぁ」



「国家資格じゃないんだ?」

「うん、だからお店開く時も助成金ないの。美容師さんはあるけど」


「あぁー。管理美容師になって長年やれば、返す必要のないお金貰えるんだっけ」

「そう。ネイリストはないから小さいお店が多いのはそのせい。私も最初は本当に苦労したよ~」





 蒼がサクサク爪を整えて、消毒液を手に桃の顔を見つめる。


「無水エタノールで血を拭いて、プライマーつけるんだけど酸が入ってるから…。両方沁みるとすっごく痛いけど、覚悟はいい?」

「大丈夫。痛いのには強いから」


「本当に痛いよ?」

「大丈夫だって。拷問される方も得意だよ?ボク」

「嫌な得技だね…では…3.2.1」


 蒼がカウントして、エタノールを浸したキッチンペーパーで爪の血を拭きとる。



 

「おぉ、結構痛い」

「結構なんてもんじゃないと思うけど…ごめんね」

 プライマーを取り出すと、研究者がマスクを持ってくる。


「お腹の子に悪いですから…」

「ありがとう」


 蒼が受け取ったのは医療用の分厚いマスクだ。薬剤はあまり良くないんだな。

マスクを持ってきたその足で、研究者が部屋の窓をガンガン開いて行く。何事だろう?




「おぉ…なかなかだね」

「ごめんねぇ…」


 眉を下げながら蒼がプライマーの蓋を開ける。まぁまぁ癖の強い匂いだ。


「匂い強いから、気持ち悪くなったら言ってね」

「ほ?はい」


 蒼が何かの液体の蓋を開けた瞬間、窓が開けられたのを理解した。ケミカルな…ツーンとした匂いがものすごい勢いで広がっていく。


「結構臭うね。銀なら鼻を摘みそう」

「すごい匂いでしょう?これはネイリスト検定一級の試験で使うんだけど、正直言って練習中中毒になるんだよ。」


 蒼が喋りながら液体に筆をつけ、面白い仕草でそれを扱き、粉をちょん…とつけて爪の上に乗せて行く。

 面白い…なんだこれ。



「うわ、面白い…」

「ふふ、そお?これができるようになるまで液体と粉を取るだけで一箱使い切るよ。高いんだよ…この粉。500グラムで卸価格3万超えるんだから」

「えっ高!そんなに…?わー、すごい!そうやって広げるの?」


 ニコニコしながら蒼が次々に爪先に粉と水を混ぜたものを載せて広げて行く。


「爪の仕事は、歯医者さんと同じような薬剤をたくさん使うの。ギターを弾く人なんかも爪の強化でこれをつけたりするよ」

「すご、すごい…語彙力なくなる…」


 簡単そうにやってるけどめちゃくちゃ難しいと思う。爪は小さいし、筆一本であれをやるのか。


 片手分載せ終わったところで爪の両端を親指で挟んで、ぎゅーっと抑えてる。

 何それ?




「千尋の目線が凄い…これはピンチって言うの。7割固まったら爪の側面に沿って丸めて、強度を上げるんだよ」

「…凄いしか言えないんだけど」


 俺も言葉が出ません。


「蒼はなんでもできるね…凄いよ」


 

 桃がため息をつきながら、蒼の作業を見守る。

 蒼は、爪の作業をしてるから桃と目線を合わせる事は無い。でも、なんとなく…桃の心が開いている気がする。さっきよりもずっと優しい声だ。




 蒼の手元が爪やすりに変わった。ものすごい勢いで削ってるのに操作が正確で力が入っていない。

 削り終わった爪は元々の爪と見た目が変わらないくらい自然になってる。

すごいなぁ。こう言うものなのか…。



「何事もはじめは初心者だし、私も苦労したよ。これができるようになるまで毎日8時間練習して、その前に10時間勤務して。」

「ま、待って…一日24時間しかないよ?」


「そうだねぇ、初めの頃はずっとそんな感じだったの。営業中は練習できないから、終業後から始発までサロンで練習して…爪やすりを持ってデスクの上で涎垂らして寝てたよ。始発を逃したらそのままお仕事始めなきゃだから、24時間サロンに居たこともあるしねぇ」

「凄まじいな…」


「ふふ、そうでしょう?でも、努力は裏切らない。どんな形でも必ず自分に返ってくるの。

 誰かの期待に応えるためじゃなくて、自分のために努力するんだ。下を見ても上を見ても限りがないから突然自分の位置を自覚してしまうと…落ち込んじゃうけどね」


「…うん…」



「『結果が全てじゃない』って言うのは大人になると通じないけど、その過程でしてきた苦労は、必ず自分の財産になってる。

 やってきた一つ一つの事が全部報われなくったって、自分の中に努力した結果が必ずある。いつかそれが芽吹いて、思わぬところで役に立つの。

 ……こんな風にね」


 蒼が濡れタオルをもらって、桃の爪先を丁寧に拭う。

 綺麗になった爪先にポケットからオイルを取り出して、マッサージを始めた。




「気持ちいいね…すごく上手」


「そうでしょうとも。旦那様達もこれが好きなの。お仕事としてはこの先やる機会はないけど、役に立てるなら嬉しいな。爪が伸びたらまたしてあげるから、言ってね」


 桃が爪を見て、頬を染める。

凄いスッキリした顔になって、微笑んでる…。




「ありがとう…。なんか、すごく元気になった!ちゃんと寝て、また頑張る!」

「うん。お昼食べて、しっかりお風呂に入って寝てね」


「うん!ボクもう行くね。蒼、ホントにありがとう!」


 笑顔で走り去って行く桃。

道具を片付けながら蒼が俺に目線を送ってくる。




「蒼…すごいな」

「ふふ、これは私の専売特許だからねぇ。旦那さん達にはちょっと話が必要かな。夜にみんな時間とって話そうか」

「うっ…はい」


 若干の説教の気配を感じつつ、片づけを手伝う。



「お説教か…?」

「うーん。そうして欲しい?」


 イタズラな顔で笑う蒼。蒼のお説教…ちょっと…イイな。


 ほわほわと妄想を浮かべながら、苦笑いする蒼を見つめた。


 

2024.06.19改稿

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