表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万古闘乱〜滅ぶのは人間か吸血鬼か〜  作者: 骨皮 ガーリック
己骨万皆
83/92

八十四話 置いてけ泥棒!

「ねぇねぇ、パソコン教えて?」

「あっボス、お疲れ様です。何を知りたいんですか?」

「いつも照っちがやってるハッキングやってみたい」

「ハっハッキングですか。それは厳しいですね」


 無茶だったか、顎に手を当てて唸る照っち。


「やっぱり初心者には難しいの?」

「んー難しいと言いますか、俺そもそも教えられないんですよ」

「え?いつもやってるのに?」

「あれはまぁ、ボーズっていうか。カタカタやってるのはやってる風を見せるためなんですよ」

「えっ!?じゃあ、いつもどうやってんの」

「そこは俺の童質の力技です」

「へー、そういうのだったんだ」

「今の時代どこで誰に見られてるかわからないですからね。童質を悟らせない為のブラインドブラインドタッチです」

「うぉー!いつもカタカタやってたのは意味なかったんだ。かっこいいと思ってたのに」

「ま、まぁ。そうなりますね。

 Word、Excel、パワポ、PDFならできますよ。社会人だったので」

「ならいいや」

「そ、そうですか…」




 というわけで今日は銀行強盗強盗。

 照っちがハッキングして銀行強盗の情報を覗き見して合わせて動く。


 実行部隊はファンドマリンとボクの四人。照っちが家から司令役として参加して安堂は夜ご飯の買い出し。

 大人五人子供一人分の食事となるとそれなりの量が必要になるから車で行ってる。

 身分証を持ってて気軽に出せる安堂と子供のボクで買い物に行く事が多い。


 吸血鬼は不老であって不死じゃないから食事は大切。特に好物を食べるとやる気がでる。

 そんなわけで今日はシチューにしてくれるって約束してくれた。




 そんなこんなでボクたちは銀行の前で待ち伏せしてる。

 たった今、目出し帽を被った人間六人が目の前の銀行に押しかけた。


(ダダダダっ!)


 軽快に発砲していく強盗。


『おぉう、派手にやってますね』


 いつものようにパソコンで銀行のカメラを覗き見してる照っちの呟きがイヤホンから聞こえる。



「人撃ってんの?」

『威嚇ですかね、天井にドカンと撃ち込みました』


 銃を使って威嚇なんて誰でもできる。所詮は人間だね。



 10分もしないうちに強盗団が銀行から出てきて黒いワゴン車に乗り込んだ。警察はまだ来てない。このままだと逃げられちゃうけど。



「それじゃあ行こうか。ボクたちの糧になってもらおうか」

「「「はい、ボス」」」


 対面のビルの屋上から飛び降りて走りさろうとしてる車に突っこむ。



「ヒーローは遅れてとうっ…じょうっ!!」


 飛び蹴りで車を歩道まで吹き飛ばし建物の壁にぶつかってさらにひしゃげた。


(ドカァンっ!!)


 やばっ、街灯折っちゃった。この人たちの罪が増えちゃったな。


 銀行強盗に器物損壊に銃刀法違反、それに歩道に乗り上げるのは道路交通法違反とかなんじゃない?知らないけど。あと路上駐車、というか外壁駐車だけどね。


「ぐっ…な、なんなんだこりゃ。

 お前ら大丈夫か!」


 運良く車のドアが開いて外に出てくる強盗団。


「いってぇ。何が起きた」


「ボクが来た。それだけだよ」


 礼儀は大事、潰される相手の顔を頭に刷り込ませてあげないとね、牢屋で退屈しちゃうから。


「あ?なんで子供が?」

「おい!いいから行くぞ!」

「あ、ああ。お前ら金持って逃げるぞ!」


 無視されちゃったよ、参ったな。それじゃあ教えてあげないとね、そのお金はボクのなんだってこと。


(ドンっ)


 大きく振り抜いた足に逃げようとした男がぶつかって吹っ飛んだ。


「くぁっ!」


 あ、通行人にぶつかっちゃったよ。傷害罪だ。あーあ、腕が変な方を向いてる、重いよ。


「な、なにした!お前がやったのか!」


 人間には見えなかったか。そんな貧弱でよく今まで生きていけたね。

 でも残念、ここにはボクがいるから。



「ごっ!」「ぐぁっ!」「だっ!」

 吹き飛ばされた男たちが街を破壊していく。ここまで暴れたらもう一生出て来れないかもね、ご愁傷さま。

 銀行強盗したのが運の尽きだったね。ま、悪いことをしたら罰せられるのは社会の常識だから、人間として生きてるなら全うしなきゃいけない。


「な、何しやがるこのガキィ!!」

(ダダダダっ!)


 残りの片方が錯乱したように銃をこっちに向けて乱射してきた。


「危ないっ」


 弾丸の進む先には石川がいる。

 手を伸ばして何とか食い止める。弾丸は貫通することなくボクの骨で止まった。


(ジュジュっ)


「ボスっ。弾丸くらいでなんで庇ったんですか」

「ごめんごめん。なんか勝手に手が出ちゃった」


 シュウシュウとただれた手が再生していく。

 異物を押し出すように手から捻り出され弾丸が床に落ちた。

(カランっカランっ)


「ぶばっ!」「だっ」


 残りの二人はビル二階の窓ガラスを割って突き刺さった。



「よぉし!お金奪ってギャンブルに行こう!」


 この計画の要である最終作戦。最低でも二倍にして帰ってこよう作戦はこの後ファンドマリンがギャンブルで遊ぶ…けふんけふん。

 手っ取り早く資金を増やすというものである。


 なんでそんなことをするかというと、新しい拠点を確保しようというのがファンドマリンのとりあえずの課題だからだ。


 世の中に迷惑をかけて大いに結構。かけれる迷惑はかけていけ。

 レッドオーシャンはその上に成り立ってるんだ。一石二鳥というわけよ。


 社会の破壊、のちに構築。



 表立って動くにはまだまだ状況が整ってない。




『っしゃあ!三連単!!』

『くぉぉぉぉおお……』

『……まだ金はある』


 資金はきちんと三倍に増えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ