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万古闘乱〜滅ぶのは人間か吸血鬼か〜  作者: 骨皮 ガーリック
万天遊園
54/92

五十五話 ヒクラシスの花園

時間がかかってしまいました。

 東京上空、晴れ時々、曇天降堕

 雲の(そら)が降りかかり堕ちるでしょう。



 太平洋。千葉県房総半島からおよそ数十km先の海の上空。

 分厚い雲がその場に留まっている。

 風は吹けども雲は流れず。けれど周囲の雲は正常に流れている。


 遡ること二十年前。

 突如としてその場所に消えない雲として現れた。

 その場所を通過するはずの飛行機は謎の墜落。墜落した飛行機を調べたところ、先端に大きな衝突痕を発見し、航空路から外れることになった。


 衛生からの映像により、雲の上に人を観測した。さらにありえない事に、人が生活している様子がモニターに映し出された。

 

この事実は公に発表されること無く、蓋をされた。


 (とぐろ)

 龍が丸まったような形から付けられた名前。





 (とぐろ)雲。人魔共生団体ヒクラシスの花園拠点。



 綺麗なガーデンに囲まれたテーブルに着く五人。


「二日後、東京都上空に到着する手筈が整いました。ボス」

 一人が席を立ち、緊張した面持ちで向かい側に座ってティーカップを啜っている人物に報告した。


「委細上々…だけども」

(カチャンっ)

(ごくり)

 その人物がティーカップを置くとその場に緊張が走った。緊張しているのは報告した人物のみだが。


「私の事はマスターアダルトと呼びなさい」

「はっ!!失礼しました。マ、マスターアダルト」

 肩を震わせて声を上ずらせながらその名を口にした。


 マスターアダルトと呼ばれた妙齢の女性。

 赤髪ウエーブが腰まで伸びていて男が好む肉付きで出るとこは出ていて締まるところは引き締まっている。

 見る者の目を釘付けにするほどの美貌だ。


 そして、その格好は見る者たちを立ち上がらせる程の奇抜なファッション。


 俗に言うビキニアーマー。

 で、それよりも過度な露出をしており、股間部分は曲げられた尺が貼り付けられてるような、赤い縦長の物がギリギリデリケートゾーンを隠している。

 胸部は正しくビキニアーマーで最小面積で覆われていた。

 上下共に赤色で肌との色合いがその存在を際立たせている。


 他の四人もそれぞれ同じような格好をしている。


竜胆(りんどう)。あなたの童質が今回の作戦の鍵なの。

 わかっているわね?」

「は、はいぃ!」

 先ほど報告をした人物だ。

 かしこまった態度でガチガチになっている白のビキニアーマーを着た竜胆(りんどう)

 外見は十代後半から二十代前半。

 黒髪ボブで前髪は流していて眼鏡をしている。

 大きなおしりと小ぶりな胸が晒されている。


竜胆(りんどう)、緊張しすぎだよ。新人だからって緊張する必要ない。やれることをやるだけなんだから」

「はい。天草(あまくさ)さん」

 励ますような声をかけたのは緑の天草(あまくさ)

 黒髪ポニーテールで、健康的な日焼けをしている褐色肌で見事に引き締まった体。長い手足を持っている。

 足を組んでいるため、履いてるのか履いていないのか。


「困ったことがあったら俺に言えよ。

 そうすりゃ解決するからよ」

「頼もしいです。亜寒(あざみ)さん」

 青のブーメランビキニを履いている亜寒(あざみ)

 黒髪オールバックで、細マッチョ。

 堂々とした物言いからわかるように、足を大きく開いてどかっと椅子に座っている。

 かなり際どいがそれはみんな同じである。


「信じる者は救われる。母の教えです。

 信じるものありますか?」

「私はボ、マスターアダルトを信じます。愛美(あいび)さん」

「良き事です」

 黒のニット帽は眼を覆う程に深く被っている愛美(あいび)

 薄い唇だけが表情を読み取れる唯一の手段な程に抑揚の無い声。

 黄色のブーメランビキニで骨が浮き出るほどガリガリ。


 これが人魔共生団体ヒクラシスの花園のメンバー。

 異端な格好の団体はその思想も異端である。


 雲の上、太陽の下で行われた優雅なティーブレイク。

「人魔共生団体ヒクラシスの花園。

 その名の通り、人と吸血鬼が共生する世の中を目指すの。

 そのために、特別な力をこの世から消し去る。

 すなわち聖気の消失。聖気の無い世界を創りあげる。

 貞操の喪失。それが最も簡単だから」



「始めようか。真なる時代の創世を。

 生を持ち、性を知り、聖を操り、世を去る。

 今、我々が下すは聖への鉄槌。

 性をもってこれを制する。

 制裁だ!聖気を解放せよ」

「「「「YES。マスターアダルトっ!」」」」





 東京都。とあるビルのとある秘密の部屋。

 テーブルを囲む五人の大人たち。


「たくよぉ。久々に呼ばれて来てみりゃこれだよ。まためんどくせぇのが戻ってきたな」

「前回取り逃したのがでけぇよ」


 この者たちこそ、日本の聖童師界を背負って立つ聖童師たちだ。

 その名を五貞(ごてい)


 武力と知力を兼ね備え、認められた最も優秀な五人の聖童師。

 聖童師界での最高戦力は童帝だが、それに引けを取らないと言われている。


 しかし、童帝との隔絶なる力の差を自覚している五人。故にこの地位にいてなお、研鑽を怠ることは無い。周りからいくら持て囃されようとも一切強さへの渇望を絶やさない。


 今代は特に、知力を大きく凌駕する武力をそれぞれが有していた。

 底知れない強さへの探求。

 それもあり、このメンバーになってから十五年誰一人変わっておらず、またこの先数十年変わることは無いだろうと言われている。

 最強の布陣だと誰もが認めた。


 人々は彼らをこう呼ぶ。

 戦闘特化世代『無頼の亡者』。

 明乃森(あけのもり) 若博(じゃくはく)浄静司(じょうせいじ) 定俊(さだとし)。向ヶ(むこうがさき) 六助(ろくすけ)蓮華桜(れんげざくら) 夜空(よぞら)野呂間(のもろ) 明正(めいせい)

 


「つーか、また強くなったか?」

「ああ。この一年山に篭って新しい力を手に入れた。この歳になって童質の新しい発見ってのはワクワクすんなぁ」

「まじかよ。こりゃ離されたかな」

「ついに私と対等にやれそうか?」

「やってみないとわからねぇ」

「おいおい。大口叩くねぇ、(とし)

(そら)。お前に勝つ日もそう遠くねぇぜ。(すけ)もぜってぇ追いついて来いよ」

「言われなくてもな。俺は相手を超えるのが得意なんだ」

「未だかつてあんたが私を超えた事は無いけどね」

「お前は別」

「ひどい…」

 あっけからんとした態度で向ヶ先は否定した。

 蓮華桜は嘘臭く、目元を手で覆う。


「やっぱり君たちはまだまだ青春してるね。

 どうだい?このあと僕と一戦や━━━」

「「「断る」」」

 明乃森の緩い声音での提案を三人の冷たい声が食い気味に重なる。


「お前と戦っても楽しくねぇんだよ」

「右に同じく」「左に同じく」


「そんな断り方されたらさすがに僕も落ち込むな」

「いい加減放題に入ろうか。危機的状況なのわかってる?」

 痺れを切らした野呂間が会話を断ち切る。


「もちろん」「まあ」「おう」「そうだね」

 四人はその言葉に素直に従う。


「人魔共生団体ヒクラシスの花園についてだ」



 そうして始まった話し合いはスムーズに滞り無く進んだ。

 腐っても五貞(ごてい)に選ばれる程度の知力は持ち合わせている。

 戦いの事となれば一層、脳は筋肉となり筋肉は脳と化す。


 戦いに生きがいを感じる変態たちは戦場を整える事に余念が無い。


 頭が良い変態ほど手に負えない人種は他にいない。



 戦闘特化世代『無頼の亡者』。

 明乃森(あけのもり) 若博(じゃくはく)

 前髪をかき分け肩まで伸びたウェーブの黒髪。彫りの深い顔と穏やかな性格から、ダンディ総選挙十年連続一位を受賞している。


 浄静司(じょうせいじ) 定俊(さだとし)

 筋骨隆々でハゲ。一年間の山篭り修行で立派な髭を生やした。

 兵頭を聖童師の道に引きずり込んだ。


 向ヶ(むこうがさき) 六助(ろくすけ)

 筋骨隆々でハゲ。穏和な風貌で殴られるのが好き。


 蓮華桜(れんげざくら) 夜空(よぞら)

 着物を着ていて聖童師界屈指の美人と言われている。常に扇子を持ち歩いている。

 男と男の絡みに興奮を覚える。

 五貞唯一の正一位。


 野呂間(のろま) 明正(れいせい)

 七三眼鏡。真面目で力と力の戦いを好む。

 大の吸血鬼嫌い。

 やっぱり2作品同時は出来ませんでした。

 ということでこれからは更新頻度を以前のように戻していきます。


 それと前日譚を読んでない方はぜび、読んでみてください。短編なのですぐに終わります。

 主役が五貞なのでぜひ。


 これからもよろしくお願いします。

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